「お金がない」なんて全然恥ずかしくない! 「あるけどもったいない」のほうが、よほどミットモナくない?


先日、ネット記事を読んでいたら、「お金がないと言って断るのは恥ずかしいので、そういう時はどうやって断れば……」という内容のものがあり、いささか驚いた。
「今は金がない」
でいいではないか、と。
僕自身はずっと、開業医として逆の経験をしてきた。たとえば友人たちと食事に行き、さて2次会はとなったときに、クラブに行こうと誰かが言い出したとする(若者が大音量の中踊るところではなく、女性がお酌をしてくれるほうのクラブ。誰も勘違いしないと思うけど、念のため)。

僕はあまりクラブの類が得意ではない。もちろん行けば楽しいのだが、料金があまりにも高い。特に医者の友人たちに行きつけとなると、地元では高級の部類に入るクラブになってしまう。
もちろん、そこそこ流行っている開業医だったから、そのくらいの金はあった。でも、もったいない。
そのような場面で、はたして正直にそう言えるものだろうか?
あまりにもケチな感じがしてみっともないし、何より、せっかく盛り上がっている友人たちの会話に水を差すことになりかねない。
だから大抵は内心渋々ながら付き合ったが、どうにも気が乗らないときは、
「ちょっと飲みすぎたから、今日は先に帰るよ」
と嘘をつくこともあった。
そういう時に限って、その後ひとりバーで飲み直していると、クラブの子たちを連れ出した友人たちと偶然遭遇してしまい、気まずい思いをしたりする。
皆、にこやかではあっても、内心では、
(なんだよ、俺たちと飲むより、ひとりのほうがいいのかよ)
と舌打ちしていたことだろう。
(いやいや、君たちのことは大好きなんだけど、僕は金が惜しいだけなのよ)
……とは、やはり言えない。

開業医の職を辞して7年。今は堂々と、「金がないから行かない」と言える。
「金がもったいない」はケチ臭く聞こえるが、「金がない」はいっそ清々しい。
ないものはない。どうすることもキャンノット。何ら文句を言われる筋合いはない。

金がないなんて、全然恥ずかしいことではないと僕は思っている。
今の日本で、後ろ暗いこともせずに羽振りがいい人なんて、どのくらいいるだろう? まっとうに生きていれば、多少金欠気味で当たり前だとすら思う。
「金がない」と言えることは、リタイアしてから得た自由のひとつだ。バーでもう一杯と勧められても、その一言を免罪符に帰ることもできる(酒の例えばかりだネ)。
妙な嘘をつかないですむと思うと、それだけで気が楽になる。

「金がない」と誘いを断れる喜び。
僕は少し変わっているのだろうか?



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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