“幸せの確率~あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ”を上梓してから早6年。色々な方からメールやコメントを通じて感想をいただいてきた。
すると興味深いことに、気に入ってもらえるもらえる個所が人によってかなり異なることがわかった。今日はそのことについて書いてみたい。
まずは、本書の冒頭である、プロローグ。人間の生存率について。ここではある日僕が実際に見た悪夢と、それによって「生存率」に目を向けるようになったことを書いている。
かなり個人的な内容だから、興味をもってもらえるか不安だったのだが、ここが一番よかったという反応が意外と多い。それだけ多くの人が、自分がいずれ死ぬのだという事実から目をそむけながら生きているということだろう。
「一日一日を、よりしっかり生きなければと思った」などと言ってもらえると、うれしくなる。
次はⅠ章。この章は「貯蓄率」の総論という位置づけだ。収入のどのくらいの割合を運用に回すと何歳でリタイアできるかということを、純粋に数学的に記している。
どうしても必要なことだから書いたが、正直に言ってここはあまりおもしろくないと自分では思っていて、だからできるだけ簡潔に書いた。
ところが、ここが一番興味深かったという人が会った中だけでふたりもいた。
ひとりは、「そうか、こんな単純なことなのかって、初めて気づきました。こういうこと、社会に出る前に、学校で教えてくれればいいのに」という感想。もうひとりは、「一通り読んだ後、Ⅰ章を今読み返しています。自分の場合に一々あてはめて、計算しながら読み進めているので、中々進まなくて」とのこと。
Ⅰ章を気に入ってくれるというのは僕にとってかなり意外ではあるが、もちろん悪い気はしない。
そしてⅡ章。幸福学の知見を中心に、生活の満足率を上げる方策について書いた。
ここは僕にとって最も思い入れの深いところで、これが言いたくて本を書いたと言っても過言ではない。予想通り、この章の反響が一番大きい。
「何であと10年早く教えてくれなかった!」と叱られたことさえある。
「久々に自分の幼少期や、亡くなった両親について思い出してしんみりしたよ」とも言われた。
人の幸せはどこにあるのか?アーリーリタイアに興味はなくても、幸福論的なものが好きな人には、ぜひ読んでほしい内容だ。
Ⅲ章のテーマはリスク・リターン率。株式による資産運用について書いた。
ここがもっとも評判が悪い。言われる意見は、主に下のふたつだ。
「当たり前のことしか書いてないじゃん。ここはいらなかったんじゃないの?」
というものと、
「難しくてさっぱりわからない。ここで読むのを挫折しちゃった」
とがある。
非好意的ということでは一致していても、その内容は真反対なのだ。
こうなることはある程度予想していた。
運用について書く場合、読者がどの程度の予備知識をもっているかによって内容は大きく変わってくる。僕が自著で目指したのは、「初心者でもなんとかついて来られて、中級者にもそこそこ面白がってもらえる」レベルだ。
ただ結果としてはどっちつかずになり、初心者には難し過ぎるし、中・上級者には退屈な内容になってしまったのかもしれない。
しかし、じゃあどうすればよかったのかと考えても、僕に妙案はない。ああいう書き方しかなかったように思える。
もちろん、ネガティブな反応だけではない。
「さっそく株の口座を開設したよ」とか、「おすすめの山崎元の本も読んでみるね」。
中には、「卒論のテーマがインデックス投資だったのに、すっかり遠ざかってました! 久々に挑戦してみます」などという意見ももらえた。
投資で大切なことは、いかにリスクを抑えながら期待リターンを上げられるかということ。本書から刺激をうけ経済リテラシーが上がったと言ってもらえれば、著者としてはもちろんうれしい。
Ⅳ章では貯蓄率について、経済行動学のデータを元に各論を述べている。
Ⅴ章はアーリーリタイアの歴史的変遷、欧米との比較、そして僕自身のリタイア後の生活について。
この部分に関してのコメントは、今のところほとんどない。
自分なりに一生懸命書いたので残念ではあるが、他の章と比べるとテーマ自体が弱いので、印象に残らなくてもしかたがないとは思っている。
といった具合に、いろいろな反応をもらっている。ひとつひとつが、とてもうれしい。
そして実際にコメントを寄せてくれた方々は、読者の中でもごく一部に違いない。僕が知らないところで、たくさんの人がさまざまな思いを巡らせてくれているはずだ。
そういったことを想像するだけでワクワクしてくる。
本を出せたことは僕の人生においてもっとも幸せな出来事のひとつだろう。商業出版までもっていくのは本当に大変だったので、今でもたまに、すべてが夢なんじゃないかと思うこともある。
拙著によって人生を前向きな気持ちで送ってくれる人がひとりでも増えることを祈っている。
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