格差が広がると、中間所得層がレジャーにお金を回せなくなる理由 ~ 幸せとお金の経済学3


ロバート・H・フランク著、「幸せとお金の経済学」(フォレスト出版)から。今回が最終回。


前回書いたように経済格差が広がると、人が非地位財にお金を回しにくくなるという。
なぜか?
まず富裕層がより豊かになり、より豪華な家を建てるようになる。
そうするとそれより少し下の層は、それに近い家を建てるようになる。より大きな邸宅が近くにあれば、「さほど仰々しいと感じない家の大きさ」の基準が変わる人がでてくるというわけだ。
家は地位財(定義については前回記事を参照してほしい)だから、人は周囲と比較しながらどの物件を購入するか考えることになる。こうやって富裕層に引きずられるようにして、皆がより豪華な家に住むようになっていくというわけだ。
車、宝飾品など、他の地位財でも同様のことが起こるのはいうまでもない。
ところがアメリカでも日本でも、豊かになっているのは富裕層ばかりで中間層の所得はほとんど伸びていない。
それなのに地位財の出費が増えていくから、非地位財に回すお金がなくなっていくことになる。
以下は引用。

“このように、1980年には45坪だったアメリカの新築家屋の平均面積は、2001年には60坪を超えるまでになりました。ところが、この間、平均的な家庭の実質所得はほとんど増えていないのです。”

日本でもバブル期以降、国民の実質可処分所得は増えていないはずなのに、高級車志向は強まっているように感じる。
ネットで年収ごとの車購入費の相場を調べたところ、以下のようなものだった。

年収2000万円の人で、1000万程度の車が目安。
年収1000万円で500万の車。
年収700万円で350万。
年収400万円で200万。

僕の感覚からはかけ離れている。
単身者の車道楽ならいくら使ったって本人の勝手だが、家庭もちである僕の年収が例えば1000万円だとすれば、ぜったいに500万円の車は買わないだろう。2000万円あったとしても1000万円の車は買わない。
維持費もばかにならないことを考えれば、もっと安いものにするはずだ。
僕は地方都市に住んでいるが、ここ10年で高級な外車をみかけることがグッと増えたような気がする。
貧富の差が拡大することにより、富裕層に引っ張られるようにして、実質所得は上昇していない中間所得層の地位財支出が増え、非地位財に回せるお金が少なくなる。しかもSNSにより自分より豊かな人びとの生活を、否応なしにみせつけられる毎日。
現代の生きづらさはこんなところにも原因があるのかもしれない。

僕は貧富の差はあまりないほうがいいという意見だ。
今の日本や北欧程度が平等で、かつ競争意欲を失わせない「ほどほど」の格差であり、アメリカ、イギリスは明らかに行き過ぎだと感じている。
とはいえ、これは個人の力でどうにかなる問題ではない。
ひとりひとりにとって大切なのは「地位財」のはかなさをしっかり理解すること。地位財から得られる幸福は非地位財からのそれと比べ、はるかに持続時間が短いことがわかっている。
そうすれば周囲の支出に引きずられたり、惨めな思いをすることがなくなり、生きづらい世の中でもそこそこ快適に過ごせるはずだ。
そして地位財より非地位財と考えるのなら、その先にある究極の選択は、やはり「アーリーリタイア」だろう。
興味が湧くようなら、ぜひ自著を一読してほしい。





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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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