西欧から学ぶ、自粛レベルの目安とは?

5月27日のブログ「新コロ対策での適正自粛度は?~世界の現状から紐解く」の続き。
西ヨーロッパ各国のその後の感染者数から、適正な自粛度はどこにあるのかを探りたい。

下はドイツ、イタリア、フランス、スペインでの新規感染者数の推移(対数グラフなので注意)。
順調に収束に向かっているように見える。

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フィナンシャルタイムズHP

各国の規制状況をチェックしてみよう。
緩和が一番早かったのはドイツで、5月6日に全店舗の再開を許可した。
とはいえ、まるっきり自由というわけではない。
道端でも店の中でも人との距離を1.5メートル以上空けることを求める「接触制限」が設けられているし、公共交通機関を利用する際や買い物でのマスク着用が義務付けられている。

イタリアでは商店や飲食店は利用者同士の社会的距離を守ることを条件に、5月18日から営業再開が認められている。
教会も同じころから礼拝再開が認められたが、社会的距離の維持が求められ、参列者はマスク着用が義務。

フランスはようやく6月2日からレストランやカフェが再開された。
客同士の距離を1メートル以上とるなどの対策が必要で、パリなど一部の地域では、営業できるのは屋外のテラス席だけとなっている。
この緩和策の影響が新規感染者数に出てくるのは10日程度先で、6月12日頃以降ということになる。

スペインはもっと遅い。
5月11日から感染者の少ない地域では、飲食店のテラス営業のみ再開(テーブル間の距離は2m以上)されたが、全国的な緩和はまだ先で、緊急事態宣言は6月21日まで延長されている。

感染者数推移が似通っている4カ国で、なぜここまで異なる政策がとられるのかはわからない。
先行するドイツがうまくいっているのだから、他国も真似ればいいように思えるが。
医療体制の余力の差かなと予想するにとどめておく。

僕にとって興味深いのは、規制緩和の影響がとっくに出ているはずのドイツ、イタリアでも感染者の減少速度がフランス、スペインとあまり変わらない点だ。
新型コロナウイルス対策としては現在のドイツ、イタリア程度の自粛、すなわちマスク着用とソーシャルディスタンスの確保で十分であり、それ以上の規制、すなわち「ロックダウン」や「8割削減」といったものは不要なのでは、と推察することが可能だ。
現に日本でも、感染のピークは非常事態宣言発出のずっと前、3月29日に志村けん氏が亡くなった頃だった可能性が高い。

ちなみにこれらの国ではすでに集団免疫が成立し、規制の有無にかかわらず患者数は減る運命だったという線は考えにくい。
明日取り上げる予定のスウェーデンでは人口当たりの累積患者数でドイツの2倍に達しているが、いまだに患者数が減少する兆しがないからだ。

ドイツ、イタリアの順調な経過を参考にすると、今後日本がどのような対策をとるべきかがみえてくる。
日本でも、スーパー、交通機関といった屋内でのマスク装着を徹底するようにとのアナウンスがほしい。
これは入店、乗車を拒否するくらいでいいと思う。
最近、マスクをしていない人が増えているのが気になっている。
飲食店にはソーシャル・ディスタンスの確保を強く要請すべき。
テーブルとテーブルの間を最低1メートルは空け、換気を徹底。それでは採算がとれないというのなら、単価を上げてもらうしかない。
先ほども書いたように、新規患者数が減少している西ヨーロッパでは、これを義務付けている。
日本ではしっかりと気を付けている店と、無頓着な店とに極端に分かれているようだ。
パチンコ店は稼働台を1台おきにすれば問題なし(もちろんマスク装着、定期的なレバー消毒は徹底)。
ライブは、着席、マスク装着、(客の)声援・大声を禁止を徹底すればギリギリいけるか?
「接待を伴う飲食店」と「性風俗店」は、関係者には申し訳ないがどうにもならない。
休業要請をして補償をするか、休業要請はせず、客側に利用自粛を呼びかけるかは行政の判断になるが、ここを規制しなければ、今後も「新コロ増殖の巣」になるだろう。
コロナに強い日本の生活・商習慣のうち、唯一と言っていい弱点に思える(ちなみに日本のキャバクラのような店は欧米にはほとんどない)。

以上が現時点での僕の考えだ。
明日はどうやら失敗しちゃったらしい北欧のスウェーデンを例に挙げ、引き続き適正な自粛レベルを探る。



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おやつ。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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