やっぱり大切なのはお金より対人関係、と納得させられる数々のデータを紹介


「幸福の測定―ウェルビーイングを理解する」の今日が最終回。
今日は「幸福と人とのつながり」について紹介したい。

p85~(略しながら引用)
人とのつながりについて、幸福研究では家族、友人、隣人、そして同僚とのつながりが幸福度に対してプラスの影響を及ぼすことが指摘されてきています。興味深いことに、所得とのつながりを幸福度の観点で比較する際に、それを金銭価値で表現した研究があります。
たとえばイギリスでの研究では人とのつながりの代理変数として、友人や親戚と会う頻度に着目しています。
イギリスの人々を対象としたサーベイデータを用いた分析を行った結果、まったく会わない人と比較して月に1、2回会う人は年間世帯所得が3万1000ユーロから3万5000ユーロ増大するのと同等の幸福感を得ること(内山注;1ユーロは約140円だから450万円前後)、週に1、2回会う人は4万7400ユーロから5万500ユーロ増大するのと同等の幸福を得ること、ほぼ毎日会う人は6万2400ユーロから6万3833ユーロ増大するのと同等の幸福を得ることを見出しています。
日本人を対象にした研究でも著者らの研究で「頼りになる人」が1人増えることの金銭価値が年間世帯所得換算で39.36万円から81.42万円の金銭価値に相当することが示されています。

友人と会うことがいかに幸福度を上げるかというデータ。そう考えるとコロナ禍で多くの人は金銭価値で年間500万円前後の幸福を失った可能性がある。

続いて結婚について。

・ヨーロッパ、アメリカでの大規模調査によると、結婚しているカップルの42%が「非常に幸せ」と回答しているのに対し、離婚した人々では17%、別居中は21%、未婚者は26%にとどまる。
・イギリスの研究において、結婚は6万4000ユーロから6万8400ユーロ年間世帯所得が増大するのと同等の幸福感を得られる(約860万円)。

ただし結婚が無条件で幸福をもたらすわけではない。
ここからが重要。

結婚そのものは幸福感を高めるものの、結婚のプラスの効果は結婚してから2-3年たつと弱まることが多いという研究もあります。
これらの幸福感が弱まる研究では「状況に慣れてしまう」という解釈がなされています。ここで、(2日前の本ブログで触れた)カーネマンの「物質的なものではなく非物質的なものに対して時間を投資すべき、そして人間関係は関心を寄せ続けるものである。そうした関心を寄せ続けることができ、かつ人生を豊かにするようなものに時間を投資すべき」というメッセージは、「関心を寄せ続けて初めて人間関係から幸福感を得ることができる」ことを示唆するものであったことが確認できます。
モノ消費も人とのつながりも当然ながら平均的な人は状況に慣れてしまう、ということが学術研究では指摘されており、「ケアをし続けること」があって初めて幸福が持続していくのかもしれません。
もっとも家族や友達との交流によって得られる幸福は、ぜいたく品などの購入によって得られる幸福とは異なり、持続性があることは多くの研究で強調されてきていることです。これは日本の研究結果でも同様であり、貧困層と非貧困層を比較すると、家族間の交流が活発な貧困層の低所得世帯は、非貧困層でありながら家族間の交流がほとんどない世帯より生活満足度が高いという研究も存在します。

たとえ貧しくても家族の仲がいいのが一番。 
僕の場合も長男が中学生のときの反抗期がすさまじく、幸福度がガタ落ちした経験がある。同じような思いをしているご家庭も多いのではなかろうか?

チャップリンは「人生に必要なものは勇気と想像力。それとほんの少しのお金だ」との名言を残している。
幸福学の研究でいえることはさしずめ「幸福な人生に必要なものは家族や友人との友好な関係。それとほんの少しのお金です」というところだろうか。
本書では他に、都道府県別でみた幸福度にも多くのページが割かれており、興味深く読ませた頂いた。
お薦めの1冊。





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カルボナーラで使わなかった卵白でお菓子作り。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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