昨日、"50歳でアーリーリタイアする方法は、手取り収入の22%を運用に回すこと"という記事を書いた。
事実だからしょうがないのだが、
「そんなのできるか!」
という悲鳴交じりの批判が聞こえてきた。
そこで今日はアーリーリタイアのための節約術を紹介したい。
数学的な理論だけではなく、生身の人間が様々な状況下でどのような行動をとるのかを究明する学問を行動経済学という。その中に「双曲割引」というモデルがある。
誘惑は近くにくると大きく見え、遠くにあるより大きな見返りよりも魅力的に見えてくる性質のこと。ちなみにこれは、人間のみならず動物にも認められる。
例えば今すぐ1万円をあげてもいいが、1か月我慢したら1万1000円に増額しようという提案を受けたとき、多くの人がすぐにもらえる1万円を選ぶ。
1か月我慢すれば10パーセント増えるということは年利120パーセントというとんでもないリターンを得られるわけだから、1か月我慢するほうが得に決まっているのだが、近い将来においては魅力の減少速度が速いため、つい目先の利益を優先させてしまうというわけだ。
ただしこれが1年後の1万円と1年と1か月後の1万1000円だとすると、今度はほとんどの人が後者を選ぶ。1年後の話になると魅力の減少速度が遅くなり、1か月待つことが苦ではなくなるわけだ。
実はここに「不都合な真実」がある。
遠い将来になるほど魅力の減少速度が遅くなっていくということは、
アーリーリタイアする場合、リタイアは一般的な退職年齢よりも早く訪れるのに、そのための蓄財は老後資金を貯めるのと同じくらいモチベーションの維持が難しいということに他ならないのだ。
しかしそこでイヤになってしまうのではなく、知恵を絞ろう。
まず手取り収入の一部(できれば20%以上)をすぐに貯蓄に回すというルールを作る。毎月の給与で余った分を貯蓄に回すのではなく、一定額をまず貯蓄に回し、残りのお金で生活するようにするというやり方を一般に先取り貯金と呼ぶ。
しかし単なる貯金だと、月末にお金が足りない時などについ引き出してしまう。そこでネット証券で投資信託の積み立てを設定し、その額が毎月、自動的に投資されるシステムをつくってしまうのだ。
一旦投資をしてしまえば、お金を引き出すためにはその一部を解約しなければならないので、例えノーロード(取引無料)の商品であっても心理的ハードルが高くなる。
一旦何かをすると、その後はよほどのことがなければ現状を変えようとしない僕らの行動パターンは「現状維持バイアス」、自分が所有するものに実際以上の価値を感じ、手放したくなくなる心境は「保有効果」として知られている。
テレビショッピングなどの通信販売で、無料の「お試しキャンペーン」を行っているのは、そのような心理現象を踏まえた上で、実際に返品する人が少ないことを見込んでいるというわけだ。
双曲割引がもつ不利な作用を和らげ、現状維持バイアスや保有効果を逆手にとるこの方法。先取り貯金ならぬ、先取り投資とでも呼ぼうか。
単純なようにみえて、実はなかなかに科学的な蓄財法なのだ。
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貯蓄は難しく、道のりは長い。
先人たちが見つけ出してくれた理論を賢く、そして幅広く利用したいものだ。
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