ほうら、やっぱりお金で幸せは買えないんじゃん! と再確認 ~ “世界の学者が語る幸福” 


“世界の学者が語る幸福”(西村書店)の紹介。
編者であるレオ・ボルマンスはポジティブ心理学において、彼が考える「最も著名な専門家100人」にコンタクトをとり、それぞれの研究を世界中の人々に向けてのメッセージとして1000語以内にまとめてほしいと依頼した。
その結果、レオ・ボルマンスは50の異なる国々から原稿をうけとることに成功し、この本を取りまとめることになったというわけだ。
僕は自著“幸せの確率~あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ”の中で、お金で幸せは買えないことをさまざまな知見から説明している。
この本を通して、そのような考えは世界中で支持されていることを改めて確認することができた。
いくつか引用すると、こんな具合だ。

“富は貧しい人を幸福にし、金持ちを不幸にする。富の成長(昇給など)により、人々は短期的には幸福になれるが、その幸福は長続きしない。”

エルンスト・ゲーマッハー/オーストリア

“貧乏な時には所得は人々の幸福にとってとても重要であるが、経済的にある程度余裕があるか、裕福であれば、所得はそれほど重要ではない。(中略)所得水準がいったん社会的に決められた物質的ニーズを満たすのに十分になれば、他の要因――自由、生活の質、信頼、個人的・社会的な関係――全てが所得よりも幸福度に影響を与えることになる。”

スタブロス・ドラコプーロス/ギリシャ

“研究により、お金に私達を幸福にする力はほとんどなく、物質的な富から得られた幸福はすぐに消えていくという、意外だが説得力のある結論が出されている。”

エーリッヒ・キルヒラー/オーストリア

“所得と幸福との関係に関するこれまでの研究によると、金銭は幸福を説明するための最も重要な要素ではないようだ。”

レオン・R・ガルドゥノ/メキシコ

“幸福との関係における富の優性は、所得が高くなると低下する傾向があり、長期的な幸福に実質的には影響がないと考えられる。”

サイワラク・キティプラパス/タイ

もちろん食べるものが十分になかったり、雨風を凌いで住む家がない状況にいれば、お金は幸福度の増大に大いに役立つだろう。しかし生活水準が一定レベルに達すれば、そこからの富の増大は幸福にはほとんどつながらないことは、もはや「事実」だと言っていいように思える。
そのくらい多くのデータが集積されているのだ。
だから僕は、贅沢さえしなければ生きていくのに十分なお金はたまったはずだと判断した時点で、開業医の職を辞した。
収入には結びつきにくくても、自分にとってより興味のある分野で活動してみたかったし、長めの旅行もしたかった。家族や友人とより長くの時間を過ごし、今までよりも深い関係を構築したかった。
自分の選択を後悔したことは今までに一度もないが、それでもこういう知見に触れると、自分がとった(やや極端な)行動を是認してもらえたようでうれしくなる。

お金と幸福に関するデータ以外にも素晴らしい報告が実に多いが、中でも「10のおきて」あるいは、「14の指針」というように、簡潔にリスト化されたものは理解、応用がしやすそうだ。
次にこの本の中で、そのような形式でまとめられた寄稿文4つを、要約して紹介してみる。

“P65~
幸福の10のおきて デーヴィッド・マイヤーズ/アメリカ

1. 末長い幸福は、成功によってもたらされるものではないことを悟りなさい
2. 親密な人間関係を優先しなさい
3. 自分のスキルにあった仕事と趣味を探そう
4. 自分の時間をコントロールしなさい
5. 楽しいふりをしなさい
6. 運動に参加しなさい
7. 体が求めるだけ睡眠をとりなさい
8. 自分以外の人に目を向けなさい(特に困っている人に救いの手を差し伸べる)
9. 自分を精神的に養いなさい(信仰心の篤い人は幸福度が高い)
10. 感謝の日記をつけなさい“

“P158~
人生の意義~14の基本的な指針 ゲーリー・T・レカー/カナダ

1. より活動的でいつも忙しくしていなさい
2. 社会的な交流に時間を使いなさい
3. 意義のある仕事をして生産的でいなさい
4. しっかり準備しなさい(幸福な人は計画を立て、組織する)
5. 心配することをやめなさい(心配は不愉快な思考であり、心配事の90%は実現しない)
6. 期待や願望の程度を下げなさい(研究によれば、幸福な人の期待や願望は控え目であることが明らかになっている)
7. 前向きで、楽観的に考えることができるようになりなさい
8. 今を重視しなさい
9. 健全な人格形成に取り組みなさい
10. 社交的で、人付き合いの良い人格を培いなさい
11. ありのままの自分でいなさい
12. 悪いものを解消しなさい
13. 親密な人間関係が最も大事である(研究によれば、親密で愛情のあふれる関係、親密な友情関係、あるいは家族の強い絆ほど幸福に強い影響を与えるものはないことが明らかになっている)
14. 幸福の価値を評価しなさい(幸福な人は幸福を大事にする)“

”P245~
幸福の筋肉を鍛える~幸福を育てる12ステップのトレーニングプラン ミリアム・アクター/イギリス

1. 感謝の気持ちを表すこと
2. 自分の長所を発揮すること
3. 人生の目標を持つこと
4. 自分の力を見出すこと
5. 運動すること
6. 健康的な食生活をすること
7. 楽観主義を学ぶこと
8. 立ち直る能力を身につけること
9. 関係を改善すること
10. 精神的幸福を得ること
11. 休息して気分を切り替えること
12. 楽しみのもとを持つこと”

“P369~
冷蔵庫のメッセージ~メンタルヘルスの十戒  ドラ・グズルン・グズムンズドッティル/アイスランド

1. ポジティブに考えること
2. 愛する人を大切にすること
3. 生きている限り勉強を続けること
4. 自分の間違いから学ぶこと
5. 毎日運動すること
6. 必要以上に生活を複雑にしないこと
7. 周りの人を理解して禿げます努力をすること
8. 諦めないこと。人生の成功はマラソンであり、短距離走ではない
9. 自分の才能を見出して育むこと
10. 自分の目標を設定して夢を追いかけること“


それぞれ言っていることは違うのだが、よくよく見てみると内容は似通っていることに気づく。
まず収入や物質的豊かさ、社会的地位といったことは、まったく挙げられていない。幸福のために重要視されているのは、親密な人間関係、やりがいのある仕事や活動、運動、慈悲の心、楽観性、人格形成、ポジティブあるいは楽観的な思考、そして自分を評価し、大切にする気持ちのようだ。
このように違う国で違う研究者がデータをとっても、似たような結果がでてくる。人を幸福にするのは経済的な発展ではないのだということを、我々は真に理解すべきなのではないだろうか?
そろそろ本格的なパラダイムシフトが起きてしかるべきだと思う。
僕が自信をもっていえること。
それはもしあなたに残りの人生を生き抜くためのお金があり、今の仕事を心底楽しんではいないのなら、さっさとアーリーリタイアして、本当に自分がやりたいことに時間を使うべきだ。
資産や社会的地位には断じて拘泥すべきではない。誰にとっても時間は有限なのだから。

明日、この本からさらにいくつかの知見を紹介するつもりでいる。



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部屋に小さな露天風呂があるお気に入りの宿。海を眺め、温まりながらのビールは格別。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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