子供たちの春休みを利用して、初の沖縄旅行に行ってきた。


僕も妻も沖縄に憧れる気持ちをずいぶん前から抱きながら、実際に訪れたことはなかった。本当は去年、10日ほどかけてゆっくりと滞在する予定だったのだが、新型コロナウイルスの感染が拡大していたため泣く泣くキャンセルした。
しかしそれから1年。世間は少しずつウィズ・コロナへの流れになっているようだし、感染状況も落ち着いている。
となれば旅行を妨げる要素はほとんどないはずなのだが、今年の春休みは子供たちにそれぞれ、欠席しにくい行事が入っていて、検討したところ5日間しか日程がとれない。
どうしたものかと少し迷ったが、こういうときこそ「パッケージ・ツアー」が便利なのではないかと思い探してみたところ(正確に言うと『妻に探してもらった』。僕はそういうのが不得手)、「沖縄本島の絶景・大自然を5日間でじっくり巡る」と謳ったツアーがみつかった。うん、5日間でちょうどぴったり。
これは良さそう、とすぐさま予約(正確に言うと、『妻に人数分予約をしてもらった』)。
パッケージ・ツアーなるものを自分で利用したことは、今までに一度もない。
若い頃はいわゆる「バックパッカー」で、いろいろな国をゆっくり、低予算で回るのが好きだったから、パッケージ・ツアーのようなお仕着せのやり方を馬鹿にしているところがあった。
しかし今回は日数が短い。それに子連れの旅だと、旅自体に手がかからないほうが子供たちとの時間をしっかりと過ごすのには適しているかも、と考えた。
というわけで僕にとって初の沖縄旅行は、初のパッケージ・ツアーにもなった。

5日かけて訪れた「絶景」ポイントは北は北端の辺戸岬、南は糸満市のビーチまで、まさに沖縄本島津々浦々という感じで、全部で20か所。
僕が一番気に入ったのは北部、やんばる国立公園にある「大石林山」。やんばるは以前から行ってみたかったところで、奇岩やガジュマルの森林が想像以上に見事だった。この春から大学に進学する長男もここが一番良かったとのこと。
妻が気に入ったのは沖縄市にある「東南植物楽園」のユスラヤシ並木。
中学新3年生の次男、この春から中学1年生生の三男は首里城が楽しかったとのこと。とはいえ理由はお互いに別で、次男は漫画「キングダム」を彷彿とさせる城壁に見入っていたし、三男は首里城再建のため、うるし塗りの原料である”ニービ(細粒砂岩)の粉”が必要と聞いて、粉づくりにボランティア参加したのがいい思い出になったようだ。
この辺はまさにパッケージ・ツアーの長所だと思う。というのも、自分たちで計画した去年の長めの旅行プランには、東南植物楽園も首里城も入っていなかったから。
自分だったらまず選ばないであろう観光スポットが、言われるがままに訪れたら意外とよかったことになる。これはレストランで「お任せ」で頼んでみたら、新しい味に巡り合えたようなもので、とても幸運に感じた。

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レストランといえば、旅行中の食事はほとんどがツアーに組み込まれていて、ホテル内のビュッフェが主だから予想通りたいしたことはなかったが、子連れの旅で、かつ5日しかないことを考えると、これもやはり楽でよかった。
そんな中、初日の夕食と最終日の昼食は各自でとることになっていたので、那覇市の国際通り近辺で沖縄料理に挑戦した(ツアーガイドから、地元の人間は国際通りではなく、その北側を流れる久茂地川近辺の店を使うと教えてもらった)。
僕も妻も一時期、沖縄料理にはまったことがあり、大体の味は知っているのだが、本土では試す機会がなかった「紅芋」、「山羊の刺身」、そして骨まで食べられる「グルクンの唐揚げ」に挑戦。

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どれもおいしく、いい食の経験にはなったが、正直に言うと「これを食べるために沖縄に戻ってきたい」と思うほどではなかった。
そんな中で偶然出会ったのが、「天然の海ブドウ」。
海ブドウはもちろん何度も食べたことがあって、「プチプチしていて触感は面白いけど、味自体はたいしたことないよね」という程度の感想だったのだが、今回の旅で天然ものをみつけ食したところ、いままで自分が知っていた養殖ものの海ブドウとは味がかなり違っていて驚いた。
とにかく味が濃厚で、海草の香りが強いのだ
この食べ方がどのくらい一般的なのかは知らないが、僕と妻は海ブドウをかつお節、それにスライスしたアボカドと一緒に海苔で巻き、少し醤油を垂らして食べる。これを天然ものでやったら大変な美味になった。
調べてみたところ、天然ものは沖縄でもあまり出回っていないとのこと。僕らはこれまたツアーガイドさんに教えてもらい、古宇利島の道の駅で買うことができた。パッケージ・ツアー万歳、だ。
これならまた食べに戻ってもいいかも! ただし沖縄に戻ったところで常に入手できるわけではなさそうなのが難しいところではあるが。

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料理のついでに酒にも触れておきたい。沖縄名物、オリオンビールについて。
今までオリオンビールにはいいイメージがなかった。軽くバドワイザーに近い印象で、僕の好みからはほど遠く、新潟の沖縄料理店に行ってもまず頼むことはなかった。
しかし旅の間はその土地のものを味わいたいし、そもそもレストランのメニューにビールはオリオンビールしかなく、他の選択肢がないことも多い。
しかし沖縄で飲んでみると、本土で試した時と違い、これがうまいのである。軽いだけでなく、しっかり旨味がある。やはり地物はその地域の天候に合うのだろう。
旅の間、オリオンビールは毎日何杯も飲んだが、日を追うごとに旨味を強く感じるようになったから、味覚というのは本当に不思議なものだと思うし、自分の居住地域から出ることなく、遠い都道府県、あるいは海外の料理を評価するのはフェアでないとつくづく感じた。

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僕も妻も沖縄を実際に訪れることがないまま、沖縄の風土全般を「日本本土と東南アジアの中間あたり」とざっくり捉えていた。
実際に訪れてみての感想はというと、僕にとっては「想像していたより日本本土寄り」だったが、妻に言わせると「想像していたより東南アジア寄り」だったそうなので、やはり大体中間という位置づけでいい気がする。
あちこちを実際に訪れただけでなく、バスの中でも終日、ツアーガイドから様々な説明があったから、この5日間で「沖縄に詳しくなった」とまでは言わないが、大体の輪郭はつかめたと思う。
あっという間の5日間。たくさん移動し、よく歩き、よく食べ、よく飲んだ。
家族5人でかけがえのない時間を過ごせたことに感謝。この春から長男が大学で上京することを考えると、家族全員で旅行できるチャンスはもう多くないかもしれない。
沖縄に行けて本当によかった。

そしてぜひまた近いうちに訪れたいと思っている。一度行ってしまえば、次からは体感的な距離がぐっと近まる。
次回はもっと長く、そして今回の旅で沖縄の「輪郭がつかめた」ところで、パッケージ・ツアーでない自由な旅に挑戦したい。
やんばるには数日滞在したいし、海遊びができる季節にも行ってみよう、なんて想像するとそれだけでワクワクしてくる。

アーリーリタイア生活の楽しみが、またひとつ追加された。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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