今日は、「にんじん」で有名なフランスの小説家、ジュール・ルナール(1864年- 1910年)による言葉。
“幸福であるだけでは十分ではない。 他人が不幸でなければならない。”
「人の不幸は蜜の味」と同義ととらえていいだろう。もちろん言いたいことはわかるが、ここはあえてナイーブに問いたい。
自分が幸福感を高めるために、本当に他者の不幸がスパイスになるのだろうか?
もしその通りであるとするなら、ある程度の貧富の差は、幸福度を上げるということになる。不幸な人も出るだろうが、それがなければ優越感による幸福感は生じない。
それに関して、興味深いTEDのプレゼンテーションがある。
経済学者、リチャード・ウィルキンソン(1943-)によるものだ。
ウィルキンソン氏によると、健康被害や社会問題は、格差の大きさに比例するとされている。興味深いのは、スウェーデンのような、大きな所得格差を課税によって是正している国も、日本のように税込み所得の格差がそもそも小さい国でも、それは一緒だということ。
手段はなんであれ、結果として国民が経済的に「ある程度」平等であることは、よりよい社会環境をもたらすというのだ。であれば、他者の不幸は回り回って、自分の幸福感に影を落とすことにならないだろうか?
宮沢健治(1896年 - 1933年)はこう言っている。
“世界全体が幸福にならないかぎりは、 個人の幸福はありえない。”
冒頭で上げたルナール氏の言葉と真逆の内容だ。
普通に考えたら、ルナール氏の言葉のほうが理解しやすいと思う。宮沢氏の言葉は、きれいごとに聞こえなくもない。
でも所得格差と幸福に関するデータを見た後だと、ひょっとして宮沢氏の説に軍配が上がるのでは? という気がしてくる。
「人の不幸は蜜の味」
なんて言っているうちは、幸せとはほど遠いところにいるということかもしれない。
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