一夫多妻や一妻多夫なんてもんじゃない。世界の様々な男女の形態を紹介する~ブループリント2


昨日の予告通り、ニコラス・クリスタキス著、ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(NewsPicksパブリッシング)から興味深く感じたエピソードを紹介する。
今日は上巻から。
アマゾン川流域などでは、子供には複数の父親がいると信じられている地域が多く点在するそうだ。
分割できる父性を信じている文化では、子づくりにおける女性の役割はたいてい否定され、女性は「容れ物」にすぎないとみなされている。一部の部族では、赤ん坊は精子が雪だるまのように固まってできると考えられているそうだ。
以下は引用。

一度の性交では妊娠するには不十分だと考えられていた。セックスは継続しなければならない。ある男性は「子供の肉をつくるために」延々と生死を提供しなければならなかった。私は思い切って、性交は一度で十分だし、私の国では一度のセックスで女性が妊娠することもあると言ってみたのだが、笑われてしまった。いずれにせよ、セックスは妊娠中も続けなければならないが、相手は必ずしも同じでなくてもよい。とはいえ、女性の妊娠中に性交したすべての男性が、単なる社会学上の父親ではなく「ジェニター(生物学上の父親)」とみなされる。したがって、一人の子供に、二人、三人、もしくはそれ以上のジェニターがいることも珍しくない。

このような考えが受け入れられている文化では、女性と子供にとって、複数の父親をもつことは、より多くの男性から支援を受けられることを意味し、生存に有利になる。
また、より多くのパートナーを惹きつける女性のほうが環境に適応しており、優良な遺伝子が子供の生存率の向上に資するのかも、との考察もできるようだ。
次はこれと反対の例を紹介する。以下は引用。

ナ族(内山注;チベット付近で暮らす山岳農民の集団)の人びとは、誰が自分の生物学的父親かなど知らないし、気にもしない。ほとんどの人は父性は重要でないとみなしている。そこには特別な権利や義務がともなわないからだ。
ナ族は、男性、そしてセックスが、女性が赤ん坊を産むために必要だと知っている。だが、赤ん坊は地面に蒔かれた種のようにすでに女性のなかに宿っていて、男性の精液によって「水やり」されるだけだと考えている。水やりするのが誰であろうと違いはないと思っている。

最初に紹介したアマゾン流域の文化とは正反対。ちなみにナ族の家庭は母系制。女性は母親、姉妹、兄弟、母方のおじと暮らす。こういう文化であれば、父親の存在は生存に必要がないことになる。
ナ族では男女ともたくさんのパートナーがおり、ときには一生のあいだに100人に達することもあるという。日本の感覚では「性的に乱れた」社会に映るが、ではモラルがないのかといえばそうではない。こう続く。

家族以外の血縁のない男性が家庭に入ることはめったにない。だが、男性は頻繁に家庭を訪れてはそこで女性とセックスする。実のところ、女性は他人の家でセックスしてはならないとされている。そうした行為をナ族は「霧のなかを突進する盛りのついたメスブタ」になぞらえる。

ううむ。ナ族、激しい(笑)。

ちなみにここまで極端でなくても、一夫多妻制や一妻多夫制は世界のあちこちで認められる。現在のアメリカでもとあるモルモン教分派では一夫多妻制を採用しており、大勢の少年と若い男性がコミュニティから追い出されるとのこと。
アメリカもいろいろすごいなあ。

明日は下巻での知見をひとつ紹介する予定だ。





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妻の実家(新潟の田舎)から送ってもらった山菜。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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