休むことも遊ぶこともない日々は案外快適 !?


今日の記事で紹介するのは小池龍之介「考えない練習」。
言わずと知れた名著であり、以前も紹介したことがあるはずだが、読み返していたら他の部分に共感したため、今回、再度紹介したい(僕は気に入った本は何度も読み返すことが多い)。


p166~
コラム 休む/遊ぶ/逃避する

この三つは、仏道的にはだいたい同じようなものと申せるかもしれません。人は充実している時には、あまり休みたいとか逃避したいとは思いません。欲や怒りで疲れている時に、そこから抜け出したいと思うのです。
現実から逃げたいあまり、刺激の強いことをするのは避けたほうが良いでしょう。それは強い刺激でストレスを麻痺させているだけで心身ともに疲れてしまいます。イライラしている時ほど刺激の強いものに誘惑されがちですが、疲れないものを選ぶことが重要です。
休める時は、体を適度に使って心をゆったり休められるようにするのが賢明です。短い休憩なら、仕事はいったん片づけて、丁寧にお茶を淹れて飲むとか、丁寧に食事に集中して味わいましょう。
(中略)
どうしても刺激がほしい気持ちになってしまった時は、せめてホラー映画よりはアクション映画、アクション映画よりは人間ドラマ、人間ドラマよりはより穏やかなほのぼのした映画など、より穏やかな刺激のものを選ぶほうが後々のためです。
(中略)
飲酒もお勧めできませんが、どうしても飲みに行きたいのなら、大騒ぎにならず、愚痴や悪口の言い合いにならず、しっとりと飲めて良い話ができる人を選びましょう。
とにかく強い刺激より穏やかな刺激にとどめ、しっかり休むことを心がけましょう。
そうしないと、脳が「面白かった。疲れが取れた」と錯覚しているだけで、実際は、疲れはどんどん蓄積していくだけなのです。


アーリーリタイアして初めて、このコラムがしっかり腑に落ちるようになった。
確かに現役医師時代は飲みに行くのが好きだったし、観る映画も、疲れているときほどホラー映画のように刺激の強い物を求める傾向があった。
しかしこれは小池氏が指摘しているとおり、これは刺激で疲れを麻痺させているだけで、疲れをとっているわけではなかったように思える。
我々はよく「ストレス発散」という言葉で、刺激の強い余暇を正当化しがちだが、抱えている問題が何も解決していないのにストレスが「発散」されるとは考えにくい。一時的な錯覚に過ぎないと考えるべきだろう。
僕は今、ほぼストレスとは無縁な静かな生活をしているので、発散が必要な気持ちにはならない。
家族やごく親しい友人と言葉を交わすことはもちろん楽しみだが、小池氏のコラムにあるように、大騒ぎになるような飲み会や、刺激の強い映画を観ることはほとんどなくなった。
もちろん時にはストレスがかかることもある(どんな生活にだって多少のストレスは生じうる)。しかしそんなときも、いわゆる「ストレス発散行動」を欲することはない。ストレスが軽減されるどころか、それによって判断を鈍らせ、ストレスの元の解決が遠のくのが関の山と、しっかり実感できるようになったからだろう。
僕の今の生活にいわゆる「休日」はほとんどない。平日であろうが休日であろうがお正月であろうが、すべき作業や勉強を適量だけこなす。日々がほどよく充実していれば、丸1日休みたいという願望はほとんど起きない、とこれまた実感している。
現役時代は大好きだった温泉旅行も、ここ数年はかなり頻度が減ってきた。そのような癒しを体が必要としなくなっているようだ。

休むことも遊ぶことも逃避することもなく、淡々と過ごす日々。
すこぶる快適なんだけど、傍から見たら退屈そうにしかみえないんだろうなあ、きっと。




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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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