ラ・ロシュフコー “我々は幸福になるためによりも幸福だと人に思わせるために四苦八苦しているのである”


今日は『箴言集(しんげんしゅう)』の執筆で知られるフランスの文学者、ラ・ロシュフコー(1613年 - 1680年)による言葉。

“我々は、 幸福になるためによりも、 幸福だと人に思わせるために四苦八苦しているのである。”

最初に頭に浮かんだのは疑問符だ。人に幸福に思われたくて四苦八苦?
というのも、正直に言って僕の場合は逆だからだ。幸福話なんて退屈だろうと思うから、友人と飲むときは失敗談を冗談交じりに話すことが多い。
幸せに思われるよりも、僕の人生もそう楽ではなさそうだと思ってもらえるほうが居心地がいい。
しかし周囲を見渡すと思い当たる節もないわけではない。たとえばやたら高い車に乗る人は、豊かさを誇示したいという部分も少しはあるはずだ。
でもそう認める人は少ない。
「デザインが好きで」とか、「走行性がいい」とか、いろいろ理由を言ってくる。
本音のところはどうなんだろう?(まあ、人それぞれなんだろうな)
僕自身、今はあまり収入がないからどのみちどうにもならないが、わりとリッチだった開業医時代だって車や服に凝ることはなかった。
そして、SNS!
妻がインスタをやっているので、たまに共通の友人による記事を見せてくれる。確かに、幸せそうなものばかりだ。「リア充ぶりをアピールする」なんていう、僕が若い頃にはなかった言い回しもある。
となれば、この名言は的を射ていることになる。世の中、幸せアピールに右往左往している人が多いといってよさそうだ。

では「幸福だと人に思わせるための努力」は、はたして自分のためになるのか?
幸せに思われたいという気持ちは、すなわち承認欲求に当たり、一般的に強い承認欲求は幸福につながりにくいとされている。
人に認められることを拠り所にすれば、それは「自分が幸せに感じる日々」ではなく「多くの人が幸せだと思ってくれるであろう生活」を送っていることになり、自らの個性を放棄することに他ならない。
それに他人から賞賛され続けることは難しい。どんな偉人だって時には批判の的になることを考えれば、承認欲求に振り回されている限り、持続的に幸福感を得ることは難しいという結論になる。
しかし、である。実は幸福学の見地からは逆の見方もできなくはない。
というのも、何かがうまくいかなくて幸福感を感じられないとき、「幸せな人のふりをする」ことによって幸福度が上がるとされているのだ。
「笑顔を浮かべると幸福度が上がる」ことはよく知られている。笑顔によって脳が「自分は幸福だ」と勘違いし、実際に幸せになってしまうらしい。同様に、幸せいっぱい、自信満々な人物であるかのように振る舞うと、それだけで本当の幸福感が後からついてくるというわけだ。
となると「リア充アピール」は本当の幸福につながることになる。

というわけで、僕の結論。

“幸せをアピールすることは有益だが、それは自分の価値観における幸福に限った場合であり、決して他者からの評価に拘泥してはいけない。“


収まりが悪いから名言とされることはないだろうが、内容としてはあながち間違っていないと考えている。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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