今日紹介するのは池谷裕二著「寝る脳は風邪をひかない(扶桑社)」。
相変わらず池谷氏の著書にはハズレがなく、この本も興味深く読ませていただいた。
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そこで何回かにわけて僕が個人的に勉強になった部分を紹介する。
今日は「ゲームの中毒性が自己管理能力を促進する!?」から。
TVゲームやSNSなどのデジタル技術は脳にとって悪影響でしょうか。ゲームで遊ぶことで認知能力が高まるとするデータもあり、専門家の間でも統一的な見解は得られていません。『ネイチャー』誌の論説でも、オレゴン大学のニック・アレン博士が「デジタル技術の是非を問うのは、車が運転者を事故死させうるかを問うのに似ている」と問題設定の不備を指摘しています。
(中略)
嗜好の強さにも表裏があります。
たとえば、ゲームの中毒性が自己管理能力を促進することがしばしば指摘されます。ゲームにはまった経験から、自己の危うさに気づき、「1日60分まで」などといった制約を自ら設けるなどして時間管理や健康管理に気を遣うようになります。いわば反動効果です。
なるほど、ゲームは依存性が強いがゆえに「はまり過ぎてしまうことへの気づき」が促進され、自己管理能力が向上するということらしい。
僕自身にあてはめて考えるにあたり、ゲームはあまりしないので、やや依存気味なアルコールについて検討してみる。
僕は酒好き故、ほぼ毎日晩酌と寝酒を嗜む。しかし飲みすぎていいことはないとわかっているので、近年は飲みすぎて乱れることも、翌日二日酔いになることもない。
ここで培われた自制心が他の事象にも役立っている可能性はあるだろうか? うん、確かにその可能性はある。
とはいえ僕がこのような自己管理能力を身につけたのはアーリーリタイアしてストレスが減ってからであり、現役医師時代は飲みすぎて翌日後悔することがしばしあった。
となると僕の自己管理能力は依存性が強い趣味だからというより、ストレスの小さな生活で培われたと考える方が自然かもしれず、依存性が強い娯楽が自己管理能力に本当につながったのかには疑問符がつく。
依存性の高い嗜好と考えて次に浮かぶのは、息子たちのデジタル・デバイスへの接し方だ。
多くの家庭で同様だと思うが、我が家でも好きにさせると際限なく使ってしまうので、親の方で勝手に基準を設け、管理している。
しかし本書での知見に従えば、息子たちの成長を親が妨害してしまっている可能性があることになる。
自主性に任せれば際限なく使い続けるような気がするのだが、ひょっとしたらしばしの混乱の後で自制心が身につき、それが一生の財産になるかもしれないのだ。
とはいえ、その前に本格的な依存症になってしまっては一大事だから、制限を緩めるにしてもなかなか難しい舵取りが必要となりそうで、これについては今後、家庭内での検討課題としたい。
最終的にはそれぞれの個性によるんだろうけどね。
明日もこの本から紹介を続ける。
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