新型コロナウイルス感染症での致死率(世界)は1%と試算する!

この感染症の本当の致死率を突き止めようという本日の企み。それなりのボリュームがあるので、お時間のあるときにゆるりとお付き合いくださいな。
さあて、どこから始めようかと思案した結果、まずは6月4日付けブログから引用する。

ちなみに緩やかな封じ込め策を取るスウェーデンで5月に行われた抗体検査では、抗体保有率は7.3%。人口が1,022万人だから、調査がストックホルム及びその近郊で行われたことをさくっと無視して全人口に単純に掛け合わせると75万人が既に感染していることになる。これはPCRによって報告されている3万8千人の約20倍だ。
一方累積死者数は4500人。致死率が12%で周辺諸国より高いとされているスウェーデンでも、抗体検査の結果を信用していいのなら、実際の致死率は0.6%に過ぎないことになる。

しかしこの検査が行われたのはストックホルム及びその近郊だ。
都会だけあって、全土でのデータと比べると若干感染者数が多い。これを全国に当てはめると、感染者数が多く、すなわち致死率が低く出てしまう。
そこでストックホルム県の人口を使って再計算してみる。
ストックホルム県の人口は238万人で、PCR検査で確認された感染者数は1万2000人。ストックホルム県の死者数はみつからなかったが、国内での致死率は変わらないものと考え、スウェーデンでの感染者の28%を占めることから計算し、1300人とする。
結果、累計感染者は17万4000人。致死率0.75%という結果になった。予想していたとおり、抗体保有者率をそのまま全国にあてはめるより致死率は高くなる。
こちらのほうが実際の状況に近いはずだ。

日本ではソフトバンクグループが抗体検査を4万4000人を対象に実施し、0.43%が陽性だったと先日公表された。
これを補正し、スウェーデンのデータと比べてみる。

公開されている内訳をみると、
店頭  19,075 人  陽性 8人
オフィス  10,832人  陽性17人
コールセンター 7,076人 陽性29人
ホークス選手・球団スタッフ  陽性者ゼロ
医療従事者  3980人  陽性 67人

抗体の精度はわからないが、規模としては十分だ。
ただし職業分布が極端なので、数字を操作してみる。店頭とオフィス・スタッフの数が半々なのは、概ね妥当だろう。
次のコールセンターは密の状態で勤務することが多いため、感染しやすいと考えられており、この検査でも陽性率が高い。
検査数は全体の約33%。これをこのまま入れると母体に偏りが生じてしまう。コールセンターで働く人はせいぜい国民全体の1%程度ではと予想して、思い切って33分の1に圧縮する(これを2%にしても大差はない)。
医療従事者はさらに陽性率が高いが、コールセンター同様、このままの数字というわけにはいかない。医師・歯科医師・看護師・準看、それに受付も入れて大体人口の4~5%程度とあたりをつけ、やはり圧縮して計算する。
野球選手や球団スタッフのゼロは管理の行き届いた特殊例と考え、計算に入れない。

一方、スウェーデンの場合と異なり、検査対象の地域分布には補正がいらなそうだ。
この検査では東京、大阪、福岡といった大都市が約半数を占めている。日本の三大都市圏の人口が総人口に占める割合と大体等しい。
ずいぶんいい加減にみえるかもしれないが、両国で使われた抗体検査の精度がわからない以上、そう正確な比較にはなりえない。端からざっくりとしたものだと思っていただきたい。

そうやって計算し直すと抗体検査の陽性率は0.15%。
医療従事者とコールセンターを人口比に合わせて圧縮したため、ソフトバンクグループの発表とはかなり異なるが、こちらのほうがおそらく実態に近い。これに日本の人口を乗じたもので公表されている死者数を割ると、致死率は0.48%となる。

ただしここには人口の40%を占める老人や子供が含まれない。特に子供は生活範囲が狭く、抗体保有率が低いはずと考えれば、致死率はその分高くなる。
とりあえず0.6%としておく。

これはスウェーデンの致死率0.75%よりは低い。
しかしスウェーデンでは、
・高齢者施設でクラスターが起き、高齢の感染者が多い
・高齢の重症者をやみくもに救おうとしない医療上の慣習がある
・患者数が多い状態が続いており、医療現場が疲弊している
ことより、致死率は日本より高くて当たり前。この2国を比較する限りでは、「人種的・体質的」な致死率には大差がないように思える。

東京での抗体検査もある。東京大学などの研究チームが1000件の血液サンプルで実施した抗体検査では0.7%が陽性となった。
検体はすべて東京のものなので、東京の人口や死者数を用いて計算すると、致死率は0.4%となりソフトバンクの結果よりはかなり低い。しかし本調査のサンプルの少なさを考えれば、この程度の誤差はあっていいだろう。

というわけで、そろそろ結論・・・・・・といきたいのだが、そうはいかない(9月10日加筆。ここから先は今考えるとやり過ぎだと思う)。
ここまでの考察で決定的に足りていないものがあることに、皆さんはお気づきだろうか?
致死率の分母である「実際の感染者数」にのみ焦点を当て、分子の死者数のほうは日本、スウェーデン政府の報告をそのまま使用してきた。しかし実際は世界中で多くの「超過死亡」が報告されている。
今年の3月以降、多くの国で過去の平均よりも死亡者数が多く、ここに「隠れコロナ」が一定数含まれていると推測されているのだ。
ちなみに東京都の超過死者数は3、4月を合わせると1481人。都が発表した新型コロナによる両月の死者数は計119人。
超過死者数のうち、たった1割が新型コロナウイルス感染症が原因であった場合でも、致死率は一気に2倍に跳ね上がってしまう。
実際の死者数は、把握されているものよりどのくらい多いのだろうか。この難題には力技で臨むので、呆れずに(笑)ついてきてほしい。

僕なりの打開策は「死者数」が間違っている可能性がほぼない、PCR検査を分母とした致死率に立ち返るというもの。
日本とスウェーデンの比較から人種による致死率に違いはないとの前提にたてば、下記2つのデータを参考にできる。

1.乗船者全員に対してPCR検査が実施されたダイヤモンド・プリンセス号での致死率は1.8%であった。
感染者数でみると、致死率が高い70歳以上が全体に占める割合は46.5%。
日本全体でその世代の人口にしめる割合は21.5%で、大人では世代別感染率に大きな差はないと考える(ニューヨークのデータではそうなっている)。
21.5割る46.5で、日本全体でみたときの高齢感染者の比率はダイヤモンドプリンセス号の46%と推定。
こうれを乗じて補正された致死率は0.83%となる。

2.PCR検査による患者数の把握が良好とされる国(すなわち実際の致死率に近い数字が割り出せる国)での、PCR検査陽性者を分母とした致死率は、
タイ 1.9%
ニュージーランド 1.9%
台湾 1.6%
オーストラリア 1.4%
となっている。
ソフトバンクの抗体検査では191人の陽性者のうち、78%にあたる149人は事前にPCR検査を受けていない。つまり抗体検査陽性者の中でPCR検査を受けていない人の数は、受けている人の3.5倍だったことになる。
早期から検査体制が整っていた国々では、そういった人は日本よりはるかに少なかったはずだ。
それでも無症状感染者が多いこの感染症の特性を考えれば、陽性者と同数程度のPCR無検査・偽陰性者はいたのではないか。となると推定致死率は半分の0.7%~0.95%であり、その中間値はダイヤモンドプリンセス号と(偶然にも)ぴったり同じ0.83%になる。
この数字が日本での致死率にかなり近いと仮定して、次に進む。
0.6%を0.83%に38%押し上げているということは、日本での死亡者は公表されている922人ではなく1272人ということになり、350人の増加。
その多くは東京ではなかろうか?地方都市では市中感染者が少ないため、見逃された死者が多いとは思えない。
見逃された350人のうち半分の175人が東京と考えると、2か月間の超過死亡者数1481人中175人、すなわち約12%が新型コロナウイルスによる直接的な死亡という計算になる。
死亡診断書を書く医師の立場から考えても、新型コロナウイルス感染が疑われるのに、PCR検査を要請しない案件がそう多かったとは思えない(死体からの感染もありうるのだ)。しかし同時に、死亡後のPCR検査で偽陰性だった症例がゼロだったとも考えられない。
それらを考えあわせると、決して違和感のある数字ではない。
超過死亡者のうちほとんどは、医療体制の逼迫や、受診を避けたことにより適切な治療を受けられなかった人、あるいは外出自粛による運動不足やストレスで持病が悪化した人、すなわち「コロナ禍が間接的に作用した人々」と考えていいのではなかろうか。
また、東京で比較的多くの死者が見逃されたとすると、東京大学の検査(東京で施行)による致死率が、ソフトバンクによる検査(東京の検体は30%)による致死率より低く出たことの説明にもなりうる。
というわけで、それなりの整合性がとれることを踏まえ、日本での致死率を0.83%と推定。

今度は感染爆発を起こしたニューヨークに目を向ける。

ニューヨーク市の抗体検査では陽性率19.9%。市の人口や死者数を用いて計算すると、致死率は0.98%となる。
超過死亡者については、ニューヨーク市の保健当局は5000人が新型コロナウイルスによる死者と把握されてこなかった可能性があるとしている(9月10日加筆。ニューヨークに関しても超過死亡を入れる試みは不要だったと思う)。
当時のニューヨークの状況を考えれば、新型コロナと診断のつかなかった死者は日本よりはるかに多かった可能性が高いと考え、試しに全数を組み入れると死者数は29%増え、致死率は0.98%から1.26%に上がる。
この数字だとソフトバンクによる検査から割り出した致死率の0.83%よりかなり高いが、そもそもの肥満率の高さや、基礎疾患をきちんと治療していない人の多さ(アメリカでは医療保険に加入していない貧困層の死亡例が際立っている)、さらに感染爆発によって医療崩壊が起きたことを考え合わせると整合性はとれそうだ。
(人工呼吸器装着後の生還率は日本の4~5分の1とも言われている)

というわけで、今度こそ結論。
新型コロナウイルスによる致死率は、高い医療水準で支えた場合で0.8%、医療崩壊が起きた場合や住民の健康度が低い場合(ニューヨーク市程度を想定)で1.3%程度と考えられる。世界全体では1%程度といったところか。
日本人と欧米人との人種比較では致死率に大差はないが、日本人のほうが若干低い可能性がある。
その場合には、医療崩壊が起きなかったことや、国民皆保険による元々の健康度の高さに加え、肥満率の低さ、ハグ、キスによる挨拶の習慣がないため、感染時のウイルス暴露が少量ですんだこと、そして(もしかしたら)交差免疫がプラスに作用したと推測する。HLA説、BCG説には引き続き否定的だ。

以上、新型コロナウイルスの実際の致死率を計算してみた。
超過死亡者の推定が超のつく力技だったし、各抗体検査の精度がわからない以上、この数字で正しいという確信があるわけではないが、いくつかの調査を参照しても数字に大きな隔たりがないところをみると、そう的外れではないはずと期待したい。
なんにせよ季節性インフルエンザ(致死率0.1%未満)よりずっと致死率は高いと考えて間違いなさそうだ。僕らは引き続き、正しく怖がる必要があるのだと訴え、新型コロナウイルスシリーズはひとまず終了としたい。

(9月10日 加筆)
上述したように超過死亡を組み入れるやり方はやり過ぎだと今は思う。というのもこの記事を書いた後、世界は超過死亡を組み入れようという動きにならなかったから。無駄なことしちゃった_| ̄|○
その点を省いて、
日本での致死率 0.6%
ニューヨークでの致死率 1.0%
というのをこの時点での予想値と変更する(IFR)。


ちなみに。
今日は夕方から大雨の予報。 妻子は毎夏お世話になっている浜茶屋(海の家)の手伝い。僕はひとり留守番、とそんな日曜日である。
なんだかんだで日常が戻ってきているなあ。
内山


午前8時半追記 今朝の読売新聞より
感染者が亡くなった場合、多くの自治体がそのまま「死者」として集計しているが、一部では死因が別にあると判断したケースを除外。埼玉県では13人の感染者について、「死因はウイルスとは別にある」として新型コロナの死者から除外している、
とのこと。
ううむ、これじゃあ真の致死率は本当に五里霧中だ。
ちなみに埼玉県から報告されている死者は今までで55人。そしてなんと13人もの人(感染し、結果として近々に亡くなった人の約2割)が、
「コロナ感染時に亡くなったけど、死因はガンなど他のものであって、感染は『たまたま』だった」
と判断されたことになる。
新型コロナウイルス重症例の症状が多様であることを考えると、埼玉県の判断が正しかったかどうか、有識者による検証が必要だろう。
個人的な感想ではあるが、クラスターが生じた国東大宮メディカルセンターの医師か、県の担当者のどちらかが、「変わった人」だった可能性が高そう・・・・・・。



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最近はおつまみメニューが続く(笑)。

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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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