前回の記事では自由時間を有意義に過ごすための実践的なテクニックを書いた。今日はそれを補足する。
幸福度を高めるためには今あるものを増やすより、ないものを得ることの方が重要であることが研究によりわかっている。
例えば僕ら夫婦でいえば、長男が生まれてから三男が幼稚園に入るまでの10年近くの間、夫婦で外食をする機会はほとんどなかった。常に最低1人はまだ幼稚園にも行かない、幼い子供が家にいるわけだから、夫婦で出かけるためにはその子を誰かに託さなければならないことになるが、どちらの親も遠くに住んでいたし、外食のためにベビーシッターを頼むというのも贅沢に思えたからだ。
末っ子が幼稚園に入ってからはクリニックの休診日であった木曜日をつかって、夫婦で週に1度のランチを楽しめるようになり、とてもうれしかったことを憶えている。
現在は僕がアーリーリタイアしたため、しようと思えばもっとランチに出かけることもできるが(ディナーはあと数年は無理そうだ)、夫婦での外食は週1回にとどめている。
これを週2回、3回と増やしても喜びは2倍、3倍と膨らんではいかないことを、しかし、出費は確実に増えていくことを理解しているからだ。
多くのブランド品をもっている人がコレクションを増やしても、出世街道にある人が肩書のランクをひとつ上げても、あるいは高収入の人が所得をさらに1~2割増やしても、それほど多くの幸福を得ることはできない。
人間の「感覚量(心理量)」は、刺激強度の対数に比例すると考えられており、「フェヒナーの法則」と呼ばれている。
わかりやすく聴覚を例にとると、音を大きくした場合、音量が倍になったと我々が感じる時には実際の音量は10倍になっているし、3倍になったと感じるためには、音量を100倍にする必要があるのだ。
これを幸福度に置き換えれば、量を増やすことにより幸福度を上げることが、いかに大変な作業であるのかよくわかる。より多くの幸福を感じるためには増やすのではなく、今現在「ゼロ」のことを始めたり、新たに獲得したりすることが大切なのだ。
今あるものを増やすことは、比較的簡単にできる。そのためのノウハウやシステムはすでに生活習慣の中でできあがっているわけだから、それに対する時間的、あるいは金銭的配分を増やせばいい。
しかし新しい何かを始めるためには、強い好奇心と、ある程度まとまった時間とが必要になってくる。
アーリーリタイアを達成すれば時間は容易に獲得できるし、忙しい仕事で神経をすり減らすこともなくなるので、気合だって充実してくる。
新たに何かを始めるためには、アーリーリタイアが圧倒的に有利なのだ。
だから「リタイアしたら時間を持て余して困るのでは?」などという心配を、リタイア前からする必要はないと僕は考えている。
次回は僕のお勧めする、リタイア後の活動内容について書いて、このシリーズを終わりにする。
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