80代まで働く・・・なんとも絶望的な話だ。確かに教室は静まりかえるだろうな、と思う。“p23
著者たちはロンドン・ビジネススクールのMBAプログラムの授業で100年ライフについて話すとき、学生たちに自分の人生のシナリオを考えさせる。学生たちの頭に真っ先に浮かぶのはお金の問題だ。そこでこう尋ねる――「100歳まで生きるとして、勤労時代に毎年所得の約10%を貯蓄し、引退後は最終所得の50%相当の資金で毎年暮らしたいと考える場合(内山注;かなり質素ということになる)、あなたは何歳で引退できるか?」
詳しくは第2章で論じるが、この場合は80代まで働くことが求められる。教室は静まりかえる。長寿化の恩恵に最大限浴したければ、70代、ことによると80代まで働かなくてはならない。それが厳然たる事実なのだ“
1980年から2000年あたりまで、日本をはじめ、先進国では65歳以上になって働く人は少なかった。それが21世紀に入り徐々に増えてきているのは、みなさんも実感のあるところだと思う。“p77
興味深いのは、歴史を振り返ると、比較的最近まで引退年齢がもっと高かったという点だ。1984年のイギリスでは、65歳以上の男性の8%しか職をもっていなかったが、約1世紀前の1881年には、この割合が73%に達していた。1880年のアメリカでは、80歳の人の半分近くがなんらかの職をもっていて、65~74歳の80%がなんらかの形で雇用されていた。“
昔の人はよく働いたんだなあ、としみじみ。幸いなことに労働時間に関しては、その後現在に至るまで概ね右肩下がりに推移してきている。“p293
西洋で1日8時間労働がほとんどの人に当たり前になったのは、ようやく20世紀の初頭から半ばにかけてのことだ。産業革命の時代には、大人も子どもも1日に10~16時間、週に6日間働くのが標準的だった。イギリスで1日の労働時間を最大10時間に制限する法律が制定されたのは1847年のことだが、その対象となったのは女性と子どもだけだった。“
余暇時間は明らかに増えてきている。“p300
ある研究によると、1900年には1週間当たりの余暇時間は推計で約30時間だった。それが1950年代には40時間になり、80年代には45時間まで増えた。そしてその後、余暇時間は減少に転じ、2000年には40時間に逆戻りしたという。しかし、ほかのさまざまな研究によれば、余暇時間はもっと大幅に延びている。1965年から2003年にかけて、男性の余暇時間は1週間に4~8時間増加したという研究もある。“
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内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。