あなたが今50歳以下なら100歳まで生きる公算が高いらしい。その時お金はどうにかなるのか?


少し前のベストセラーではあるが、今日引用して紹介するのは「ライフシフト(東洋経済新報社)」。この本からきた「人生100年時代」という言葉は、その年の流行語大賞候補に挙げられている。

現在まで人類の平均寿命は伸び続けてきており、データ上はそれが頭打ちになる兆しはない(つまり、伸び率の鈍化がみられない)。
このまま寿命が伸び続けるとすると、現在50歳未満で先進国に住む人は100歳くらいまで生きる公算が高くなるのだそうだ。
僕だって、当てはまる。となると80歳程度の平均寿命を前提に〈教育〉〈仕事〉〈引退〉の3段階で考えられてきたライフコースは抜本的に考え直されなければならない。
我々は長寿とどう向き合うべきかを、英国の経営学者と経済学者のコンビが、資産、雇用、余暇、人間関係など、あらゆる角度から掘り下げ、検討している。

ふたりが提唱する新しい生き方を知りたい方には本を手に取ってもらうことにして、今日の記事では文中で示されているデータのうち、興味深く感じたものを紹介したい。

“p23
著者たちはロンドン・ビジネススクールのMBAプログラムの授業で100年ライフについて話すとき、学生たちに自分の人生のシナリオを考えさせる。学生たちの頭に真っ先に浮かぶのはお金の問題だ。そこでこう尋ねる――「100歳まで生きるとして、勤労時代に毎年所得の約10%を貯蓄し、引退後は最終所得の50%相当の資金で毎年暮らしたいと考える場合(内山注;かなり質素ということになる)、あなたは何歳で引退できるか?」
詳しくは第2章で論じるが、この場合は80代まで働くことが求められる。教室は静まりかえる。長寿化の恩恵に最大限浴したければ、70代、ことによると80代まで働かなくてはならない。それが厳然たる事実なのだ“

80代まで働く・・・なんとも絶望的な話だ。確かに教室は静まりかえるだろうな、と思う。
ということは、長寿を豊かに真っ当するためには、貯蓄率が10%では足りないし、ある程度の資産運用も必要になってくるということになる。
この辺の対策は、自著“幸せの確率~あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ”のⅠ章で書いた内容がそのまま応用できるので、興味があれば読んでみてほしい。

“p77
興味深いのは、歴史を振り返ると、比較的最近まで引退年齢がもっと高かったという点だ。1984年のイギリスでは、65歳以上の男性の8%しか職をもっていなかったが、約1世紀前の1881年には、この割合が73%に達していた。1880年のアメリカでは、80歳の人の半分近くがなんらかの職をもっていて、65~74歳の80%がなんらかの形で雇用されていた。“

1980年から2000年あたりまで、日本をはじめ、先進国では65歳以上になって働く人は少なかった。それが21世紀に入り徐々に増えてきているのは、みなさんも実感のあるところだと思う。
1世紀前はほとんどの男性が65歳以降も働いていたし、今後、多くの人が長期間働き続けなければならなくなるのだとしたら、未来から振り返った時、65歳で引退できたこれまでの数十年のほうが人類の労働史において極めて特殊な時期だったことになるのかもしれない。

“p293
西洋で1日8時間労働がほとんどの人に当たり前になったのは、ようやく20世紀の初頭から半ばにかけてのことだ。産業革命の時代には、大人も子どもも1日に10~16時間、週に6日間働くのが標準的だった。イギリスで1日の労働時間を最大10時間に制限する法律が制定されたのは1847年のことだが、その対象となったのは女性と子どもだけだった。“

昔の人はよく働いたんだなあ、としみじみ。幸いなことに労働時間に関しては、その後現在に至るまで概ね右肩下がりに推移してきている。
そうすれば、当然余暇時間は増えるわけで、次。

“p300
ある研究によると、1900年には1週間当たりの余暇時間は推計で約30時間だった。それが1950年代には40時間になり、80年代には45時間まで増えた。そしてその後、余暇時間は減少に転じ、2000年には40時間に逆戻りしたという。しかし、ほかのさまざまな研究によれば、余暇時間はもっと大幅に延びている。1965年から2003年にかけて、男性の余暇時間は1週間に4~8時間増加したという研究もある。“

余暇時間は明らかに増えてきている。
なのに僕ら現代人が、十分な自由時間に恵まれていると感じることができないのはなぜだろう?
恵まれた環境に慣れてしまったのか?
あるいは娯楽の供給が多過ぎて、余暇時間の増加がそれに追いつかないのか?

僕には僕なりの考えがあり、それは著者らのそれと一致したり、しなかったり。
この本を通じて価値観を揺るがされるような大発見があったわけではないが、知的ゲームとしては大いに楽しめる1冊だった。

しかし人生100年かあ。
本当かなあ?
長いなあ・・・。
そしてなんとも気が重い(?)ことに、アーリー/セミリタイアの資産設計には「100歳まで生きる」ことを想定する必要があると言えそうだ。





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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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