p28~
目の前に異性の写真が2枚あります。「どちらが好みのタイプですか。好きなほうの写真をさしあげますよ」。あなたは、好みのほうを指しました。
実は相手は手品師で、こっそりと、あなたが選んだほうとは逆の、つまり好みでないほうの写真を手渡します。
さて、あなたは手元にきた写真を眺めて、「好みでなかった異性の写真が手渡された」ことに気づくでしょうか。
以上、さすがにここまで読んで、答え。 気づかない。
なんと8割以上の人が写真の入れ替わりに気づきません。(中略)
実は、選択盲の実験は、この先が奥深いのです。「なぜその人がタイプなのですか?」と理由を訊ねると、しばしば、手元にある(つまり好みでなかったほうの)写真を眺めながら、「丸顔で優しそうだから」「目尻に知性を感じるから」などと、そこに写った人(つまり好みでなかったほう)の特徴を挙げながら、好きな理由として答えます。
脳は理由を問われると作話します。しかも、でっちあげたその理由を、本人は心底から「本当の理由」だと勘違いしています。
(中略)
ヒトは自身の虚言壁に気づいていない気の毒な存在。愛嬌たっぷりです。
「自我のおもな進化上の役割は印象操作機関になることだといっていい」
スポンサーリンク
内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。