「人生で覚えておくべき数字」 これって信用していいのかな?


たまにSNSで「人生で覚えておくべき数字」というものを見かける。内容はというと、

① 第一印象は3秒で決まる
② 記憶は24時間後に74%消える
③ 6分の読書でストレスが68%軽減される
④ 行動は21日、思考は180日で習慣化される
⑤ 週2回以上の筋トレで死亡率が23%減る
⑥ 30秒のハグで33%のストレスが軽減される
⑦ 20分の仮眠で8時間分の疲労回復
⑧ 心配ごとの96%は起こらない
⑨ 集中力の限界は90分

どれも確かにインパクトのある数字で、事実であるなら参考にするにやぶさかではないが、これって本当なの? と疑問符がつくものもある。
例えば、

④ 6分の読書でストレスが68%軽減される

というのはイギリスでのデータ。読書についで音楽視聴(61%)、コーヒータイム(54%)、散歩(42%)が効果的で、ヴィデオゲームにはストレス軽減効果が弱い(21%)というもの。
https://www.theargus.co.uk/news/4245076.reading-can-help-reduce-stress-according-to-university-of-sussex-research/
この結果、僕の感覚とはちょっと違う。
一概に読書といっても、本がおもしろくなければストレスの軽減作用はあまりないだろうし、逆におもしろい場合、6分で読むのをやめるのはストレスになる気がする。
もし僕がストレスがたまった状態で6分を与えられ、何をするか選べと言われたら、コーヒーか散歩になるだろう(ただし実際に僕にストレスがたまることはあまりないし、ましてや時間が6分しかとれないことなど滅多にない)。
実はこの実験、そもそも本のプレゼント・キャンペーンがらみで行われたものらしい。眉に唾をつけて聞いたほうがよさそうだ。

さらに、

⑤ 30秒のハグで33%のストレスが軽減される

というもの。ネタ元はおそらくアメリカの論文。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4323947/
ハグが習慣として根づいている欧米ではその通りだろうが、その習慣がない日本ではそこまでの効果はなく、さらに、人によっては逆に照れでストレスが高まるかも、というのが僕の感覚。
そもそもなぜ日本で欧米ほどハグの習慣がなくここまできたかといえば、歴史上、なんらかの理由により、ハグによる幸福をえにくい形で日本人が淘汰されてきたからだと感じている。欧米では逆。
同じ人間だから大差はないはず、と主張する人も多いのは知っているが、例えば、なぜ酒の強さが民族によって全然違うのか考えてみてほしい。これまた進化の上でなんらかの必然性があったと考えるのが妥当だろう。
一部の数値は人種が変わればほとんど意味をなさない。数字は強い説得力をもつので、挙げられるとすぐに信用しそうになるが、一呼吸置く必要がありそうだ。

そんな中、僕が興味をもったのは、

⑤ 行動は21日、思考は180日で習慣化される

というもの。
行動のほうは一般に「インキュベートの法則」と呼ばれるもので、わりと有名。顕在意識から潜在意識へ移行するのが21日間という理屈らしいが、根拠に乏しいという批判もある。
また、21日ルールに該当するのは、「学習・日記・読書・片付け・節約」といった行動に限った話で、体のリズムに関わる行動、たとえば「ランニング・ダイエット・筋トレ・早起き・禁煙」といったものは、習慣化されるのに3カ月程度かかるらしい。
人間の身体の細胞が3ヶ月で入れ替わることとの関連も指摘されており、興味深い。
https://minchalle.com/blog/necessaryperiods-for_habits#2-11

ただし僕の最大の関心は後半の部分で、本当に思考は180日で習慣化されるだろうか? というもの。
「もっとポジティブ思考になりたい」
「論理的に考える癖をつけたい」
「完全主義から脱却したい」
という願望が、180日間で達成されるというもので、一瞬、「そんな簡単な話なのか!」と小躍りしそうになったのだが、すぐに疑念がわいた。
たとえばネガティブに考える癖がある人が、
「ポジティブ思考を習慣づけるために、今日から180日間ポジティブに考え続けるぞ」
と一大決心したところで、そうそううまくいくとは思えない。
数日以内に、ついネガティブ思考の癖が首をもたげ、
「ああ、やっちゃった。1日目からやり直しだ」
と失敗を繰り返すのが関の山ではなかろうか?
これに関しては元となる実験なり論理なりをみつけることができなかった。知っている方がいたらぜひ教えていただきたい。
従来から言われている通り、「人の性格はそう簡単には変わらない」のか、あるいは本当に半年あれば180°変わりうるのか、興味があるところだ。

しかし、そもそも幸せに生きたいと思うなら、自著、「4週間で幸せになる方法」が一番の近道なんだけどな、と小声でごちたところで、今日の記事はおしまい。
数字は便利だしインパクトが強いけど、その分、安易にのってしまわないよう注意深くありたいものだ。





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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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