「中韓とは別の道を模索」「マスクについて新たな論文」の新コロ記事2本立て。

これは日中韓の新規感染者数。
特に日本と韓国は最近似た動きをしている。

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フィナンシャルタイムズHP

そんな中、韓国では5月29日から首都圏に発出していた外出自粛を無期限に延長することを決定。
一方の日本はご存じの通り、6月19日からすべての自粛要請が解かれた。
これにより7月の日韓での感染動向がどのように変わるか、引き続き注視していきたい。

僕個人としては日本のやり方でいいと思っている。
北京での新しいクラスターを見ても、このウイルスを完全に封じ込めるのは難しい。
ニュージーランドやベトナムのように、きわめて早期にゼロにできなかった以上、今後も付き合っていくしかない。

それに近い将来の鎖国解除も課題だ。
世界主要諸国はある程度のところであきらめて、人の往来を再開するだろう。
そのときは、(以前も書いたが)逆に封じ込め国だけが国境を開けず、ジレンマに陥る可能性もある。
ある程度のところで経済を再開しないと、結果としてより多くの人が苦しむことになりかねない。

では中国や韓国はなぜ封じ込めに躍起になっているのか?
両国とも国民の利益ではなく、面子にこだわっているようにみえる。
中国はそもそもの震源地であり、今後さらに国際的非難が高まる可能性がある。
そんな中、「わが国では封じ込めた。うまくいかないのなら、それはそれらの国の問題だ」というスタンスをとりたいはずだ。
韓国も「K防疫が世界スタンダード」とコロナを国威発揚に利用している節がある。
経済もだめ、対北交渉もだめとなれば、政権にとってコロナ封じ込めが生命線にならざるをえない。
ここから先、日本は両国と違うアプローチでいいと思う。
そしてどうやら政府も「経済優先」に舵を切りつつあるようだ。

もちろん外出・往来自粛の解除により、感染者は再度全国に広まるだろう。
そのつど、強化された(はずの)クラスター班が火消しに走る。
それが追いつかなくなり、医療崩壊が起きるような事態が間近に迫らない限り、緊急事態宣言が再度発出されることはないだろう。
医療・高齢者施設のスタッフに負担をかけ続けることになるが、他に策がない以上、がんばっていただくしかなさそうだ。


そんな中Renyi Zhangらによって興味深い報告がなされた。
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/10/2009637117
武漢、イタリア、ニューヨーク市の感染者数と対策とを分析した結果、マスク着用の義務付けが決定的要因であることが明らかになったとのこと。
マスク着用が最も効果的な手段であり、ソーシャル・ディスタンス、検疫、接触者追跡と組み合わせることによって、パンデミックを止めるもっとも有効な手段となるようだ。
また、一部では限定的と言われていたエアロゾル感染が重要だと指摘している点でも興味深い。
以前から散々書いてきたことだが、僕にはやはりマスクが鍵に思えてならない。

多くの国で外出時のマスク着用が義務付けられている。
日本はそもそもマスク文化が定着していたため、初期の爆発的感染増加を食い止めることができた。
ところが最近はそのメリットを自ら放棄しているようにみえる。
スーパーなどの屋内施設で、マスクをしない人の姿を多く見かけるようになってきた。
交通機関やスーパーでのマスク着用を、よりしっかり国民に求めるべきだと思う。

そこさえ抑えれば、あとはマスクをできない状況のみが課題となる。
言わずと知れた「飲食」だ。
一部飲食業界に出されていた休業要請が解け、今後人々の自粛意識が緩むにつれ、ここからクラスターが続出すると考えて間違いない。
考えるべきはもはや封じ込めではなく、どうやったら傷を小さくできるか、だ。

新しい「飲食」様式を考えていく必要がある。




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苺シロップ作成中。
このかき氷がないと我が家の夏は始まらない。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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