出口
人間が物事を考えるときには母語を使っているので、僕は国語を大事にしなければいけないと考えているのですが、とある先生から、「いや、たとえばハンナ・アーレントの思想を理解しようと思えば、ドイツ語を勉強したほうがいいのでは?」と指摘されました。母国語以外の言語を深く勉強すれば、人間はその言語でも考えることができるようになる。母語と第二言語の間に、絶対的な差異はないのではないか、というのです。
脳科学的には、どちらが正解ですか?
池谷
第二言語として英語を学び、非常に流暢に話せるようになった日本人がいたとします。その人が第一言語である日本語と、第二言語である英語を話しているときの脳の様子をfMRIで調べると、使っている部位が違うことがわかります。ですから、「どちらの言語で考えても同じ」とはいえないでしょう。
もう少し詳しくいうと、実は流暢に英語を話す日本人も、脳の中では第一言語の脳、つまり日本語の脳を使いながら、第二言語の回路を活性化させて話しています。当の本人は「いちいち頭の中で和訳などしていない」というかもしれませんが、思考そのものは無意識のうちに日本語でやっているのです。
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内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。