真の喜びをもたらす娯楽には、えてして金はかからないものだ。


自著「幸せの確率―あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ(セルバ出版)」から、余暇の過ごし方、お金、そして幸せについて書いている部分を抜粋する。
遊びへの出費が減らせずに困っているひとには、ぜひ読んでほしい一文だ。

“「お仕着せのレジャーはほどほどに ~自由な余暇を創造しよう」
いつの間にか、ちょっとした休みを利用して、他県にまで足を伸ばすのが当たり前のような風潮ができてきましたが、そこまで余暇をアクティブに過ごさなければならないものでしょうか? 少なくとも私が子供だった頃、県外へ遊びに行くなどということは、めったにありませんでした。
私はリタイアする前から、日曜日は常に家族と過ごしていますが、遠出をしたり、泊りがけでイベントを組んだりすることはほとんどありません。まずは、せっかくの休日なのだから、と家族そろって少しだけ寝坊。朝食の後、子供たちの希望を聞いて、その日のプランを立てます。近くの公園でのんびり過ごすか、郊外にある、遊具の充実した公園まで車で出かけるか、あるいは海や、芝生のきれいな公園にお弁当をもって遊びに行くか・・・って、ほとんど公園ばかりですね。
私が公園を好きになったのは、青春の一時をロンドンで過ごした経験によります。地図を見る機会があれば、簡単に実感していただけると思いますが、ロンドンにはとても多くの公園があり、市民の憩いの場として活用されています。天気のいい日曜日には、多くの人が家族や友人と共に近所の公園を訪れ、新鮮な空気と柔らかい陽射しの中で、ボール遊びをしたり、新聞を読んだり、ラジカセで音楽を聴いたり、あるいは、ただ単に寝転んだりという具合に、それぞれが思い思いのやり方で余暇を楽しむのです。How relaxing! そしてもちろん、公園の利用にはお金がかかりません。こんなに手軽で、豊かな週末の過ごし方があったのかと、目からうろこが落ちる思いでした。
子供が生まれる前は、夫婦でよく公園や海辺を訪れ、無駄話をしたり、本を読んだりして休日を過ごしましたし、子供ができた後は、子供のペースに合わせながら、よりアクティブに遊ぶようになりました。遊具も何もない公園であっても、子供たちは、例えば落ちている木の枝や、転がる一個の石から空想を広げ、無限に遊びの世界を拡大させていきます。その一員になれることは、今の私にとって大いなる喜びです。
テーマパークや遊園地、スキー場といった施設に子供を連れて行けば、もちろん子供は喜ぶことでしょう。しかし、そのような刺激の強い、そしてお仕着せの遊びに慣れさせてしまうことは、Ⅱ章で述べたように、子供にとって必ずしもいいことだとは思えません。
お金をかけずに、楽しい週末を過ごす方法はいくらでもあります。公園以外での、子供たちのお気に入りはサイクリング。この春、幼稚園に通う末っ子の三男も、私から数日間にわたる特訓を受けた結果、ついに補助輪なしで自転車に乗れるようになりました。今後、父親として子供に自転車の乗り方を教えることはもうないのだと思うと、少し寂しくはありますが、うれしそうに自転車を漕ぐ子供たちの姿を見れば、そんな感傷も吹き飛びます。以前は子供たちのサイクリングにつき合って、私がジョギングをしたものですが、上の子供たちは成長するにつれ、逆に、私のジョギングにペースを合わせて漕いでくれるようになりました。川沿いの景色を楽しみながら親子で汗を流す爽快さについては、いまさら説明するまでもないでしょう。
ヘンリー・デイヴィット・ソローは「楽しみに金のかからない人が最も裕福である」と言いました。僭越ながら、私がそれに一文を追加しましょう。
「そして、真の喜びをもたらす娯楽には、えてして金はかからないものだ」と。“


この本を出して6年。
ジョギングではもはや大学1年生の長男にかなわないが、まだまだ下二人には勝てる。しかし息子たちはそれなりに忙しく、以前のように一緒に公園で過ごすことはなくなってしまった。
ちなみに今のマイ・ブームは座禅。
座部だけはりこんで9,000円のそこそこいいものを買ったが、それ以外には費用ゼロの、実にコスパのいい娯楽(修行?)だ。
お金のかからない、しかし豊かな過ごし方なんていくらでもあるのに、遊興費で金欠になってしまう人の気持ちが、僕には本当によくわからない。






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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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