自由意志は存在せず、思考は脳の各所で自動生成されたものにすぎない!?


昨日の「イワク」解説に引き続き、今日は小池龍之介著「解脱寸前」の本体を紹介する。


p104「考えをスルーする練習」より。

この心の中に発生するいろいろな考えと見解は、自分で作っているものではなく、それゆえ自分のものでもない。(中略)
私たちにとって、優しく気配りもできると、大変に良い印象を与えている、Aさんという知人がいたと仮定します。そして私たちの家族や友人といった身近な存在がもしも、「Aさんって、良い格好したいだけの嫌な人だよね」と批判をして、同意を求めてきたとしましょう。
すると、ほとんどの場合、Aさんをの弁護をしたくなる思考と見解が、心の中に湧きあがってくるのではないでしょうか。「Aさんは〇〇で△△だから優しくて気配りもできる人である!」という見解が、電光石火で生じて、相手に反論したくなっていることでしょう。
その場合、その見解(と反論)は、私の見解(と反論)と言えるのでしょうか? なにぶんにも、これから、「私なる者」が、「私の意志により」、そのような見解を作って、相手の意見を訂正する発言をしよう、と計画する暇などは、まったくもって金輪際、なかったはずなのですからねぇ。
つまり、何をどう考えるかについて、脳の中の意識の座が介在する余地はまったくないままに、脳の中で思考を司る領野が先に処理して自動生成した見解を、意識の座は事後的に受信しているだけなのです。
(中略)
相手の言に対して「不快」を感じているのは「私」の選択ではなく、扁桃体の自動的な振る舞いにすぎません。相手が言い終わりもしないうちに、「いや、でもAさんにも良いところがあるんだよ」と言いたくなるのも「私」の選択ではなく、Aさんについての知識や体験や好悪が原因となり、Aさんへの悪口を聞くことが条件となって、原因と条件がより合って、自動発生しているだけ。
マインドフルでないと、それらの原因と条件による自動的発生にすぎないものを、「私の作った、それゆえ私の大切な考え」と勘違いしてしまうので、手放せなくなるのです。
十分な集中力と、平静さと観察力とを鍛えながら、己の思考・見解が自動生成するありさまに、気づきを向けて観察してみること。そうするなら、この刺激も考えも、脳の各所で自動生成して送信されてくるにすぎず、私の作品でも私のものでもないから、ドウデモイイヤー、と力を抜いてスルーできるようになるでしょう。
かくして、あらゆる見解は力を失うのです。

氏の言説を荒唐無稽ととる人もいるかもしれないが、実はこれらのことは脳科学の研究でも徐々に明らかになってきている。それを瞑想によって体感できるというわけだ。
僕自身の瞑想体験でも、同様のことを経験している。
1日中瞑想をした後、夜になってテレビをつけたところ、とある出演者(ちなみに僕はこの人のことを何も知らなかった)の一言に不快感が湧き、すぐに否定的な見解が浮かんだのだが、頭が非常にマインドフルな状態であったため、その主因が「嫉妬」であること、そして否定的な見解が僕自身のものというより、まさに過去の体験による原因、出演者の発言による条件がより合って自動発生した「どうでもいい」ものであることをしっかり認識することができた。
もしこれが瞑想後でなかったら、僕は自分が抱いた嫉妬心に気づくこともないまま、出演者を「不快な人物」として記憶してしまった可能性が高い。
自分のことだとわかりにくい。しかし「他人のこと」ならどうだろう?
訳のわからない持説に固執したと思ったら、次に会ったときは真反対の内容を恥かしげもなく語るような人に会い、首を傾げた経験は少なからずあるのではなかろうか?
しかし意見がその人物の自我が生み出した意義深いものなどでは端からなく、単に脳のゆらぎによって自動生成されたものにすぎないとわかれば、変節に何の不思議もないことになる。
しかし自分ではそれを「自分が考えた大切な意見」と錯覚しきっているから、「この前と反対のことを言っているよ」などと批判されると、顔を真っ赤にして反論するはめに陥るわけだ。

明日もこの本からの引用を続ける。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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