常にそのときの作業に没頭する。(前略)
その素朴さとは、こんな感じです。
日々、人に優しくして己を損なわないように戒めを守りつつ、内面を観察し、集中や無執着の訓練をする。以上!
という具合。
結局のところ、どんなに心の本質について理論的にスッキリ理解したりしても、それは教科書でスポーツを学ぶようなものです。教室で人間の体についてどれだけ学んでも、サッカーやマラソンができるようにならないことに似ています。
仏堂とは徹頭徹尾、体育というか実技なのでありまして、頭で理解して「分かったような気になる」ことは、有害極まりないという側面もあると申しておきましょう。
と申しますのは、本当にありのままの事実を観察するには、観察力と集中力と無執着のトレーニングが大切なのですが、知識として「こなっているはず」と知っていると、知識のフィルターを通してみようとしてしまうので、ありのままの観察をしにくくなりかねないからです。
そして修行においては、心が揺らぐときに「パッ」と、一瞬のうちに対処できることこそが、大切なことです。その、瞬間のいわば居合い斬りに際して、「こうで、ああで、だから、ああなって……」というような知識は、反応に時間がかかるだけで、ちっとも役に立ちません。
ですから、①内面への気づき、②集中、③無執着の「ま、いっか」、の三つだけで十分なのです。
(後略)
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内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。