①内面への気づき、②集中、③無執着の「ま、いっか」。瞑想修業はこれだけで十分!(というかこれだけでも大変)


小池龍之介著「解脱寸前」の紹介。今回が最終回。


今日は日々を「瞑想的」に生きるための、僕が知る中でもっとも実践的なアドバイスを紹介する。

p217 解脱寸前――おわりに より

(前略)
その素朴さとは、こんな感じです。
日々、人に優しくして己を損なわないように戒めを守りつつ、内面を観察し、集中や無執着の訓練をする。以上!
という具合。
結局のところ、どんなに心の本質について理論的にスッキリ理解したりしても、それは教科書でスポーツを学ぶようなものです。教室で人間の体についてどれだけ学んでも、サッカーやマラソンができるようにならないことに似ています。
仏堂とは徹頭徹尾、体育というか実技なのでありまして、頭で理解して「分かったような気になる」ことは、有害極まりないという側面もあると申しておきましょう。
と申しますのは、本当にありのままの事実を観察するには、観察力と集中力と無執着のトレーニングが大切なのですが、知識として「こなっているはず」と知っていると、知識のフィルターを通してみようとしてしまうので、ありのままの観察をしにくくなりかねないからです。
そして修行においては、心が揺らぐときに「パッ」と、一瞬のうちに対処できることこそが、大切なことです。その、瞬間のいわば居合い斬りに際して、「こうで、ああで、だから、ああなって……」というような知識は、反応に時間がかかるだけで、ちっとも役に立ちません。
ですから、①内面への気づき、②集中、③無執着の「ま、いっか」、の三つだけで十分なのです。
(後略)

常にそのときの作業に没頭する。
たとえば歯磨き。しっかりと集中して歯を磨くのは歯科で歯磨き法を指導された直後くらいで、ほとんどの人は考え事をしながら漫然と行っているのではなかろうか?
歯磨き、着替え、食事、会話。とにかくできるだけ集中する。
それでも思考はさまよい、時に感情的になったりもするが、それに対しては出来るだけ迅速に「気づき」を入れる。ついで思考や感情に対する執着を一瞬でも早く手放す。
そうやって生活してみると、いかに自分がどうでもいい思考で疲弊してきたか、あるいは自分が「自分のもの」として尊重していた感情がいかにテキトーなものだったか、時折ふと気づいたりする。
そのうちに過剰な不安、プレッシャーも減り、毎日をより楽しく満喫できるようになる。
そしていずれは自利の精神が減り、より世界と緩やかに繋がる心持ちになる……らしいのだが、僕にはそこまではわからない。
でも僕レベルであっても(つまり出家もせず、毎日2時間座禅を組み、できるだけ瞑想的に生活しようとするレベル)、効果は十分に実感できている。
少なくとも日々、頭の中で自動生成される妄想に突き動かされるようにして行動し、作話を繰り返すような状態からは解放されたと感じている。
ほとんどの場合、人は単なる妄想を自我による思考と錯覚し、自分と周囲を欺くための作話を無自覚に繰り返しているのが実情で、これは信じてもらうのが中々難しいのだが、ある程度瞑想を経験した人にとってはもはや「常識」と言っていい。
多くの瞑想者は、自分がかつて見ていた世界は現実を激しく歪めた虚像であり、瞑想によってはじめて物事が明晰にみえるようになったと感じている。
まさに映画、マトリックスの世界。
僕らには「妄想を生き続けるか」「現実に目覚めるか」との選択肢があって、後者を選ぶならキアヌ・リーブスが演じるレオのように「赤い薬」を飲んで妄想の覆いを突き破る必要がある。
ちなみにこのエピソードは多くの瞑想者に「自分の瞑想体験と酷似している」との驚きをもって迎えられ、マトリックスは一躍「ダルマ(法を意味する仏教用語)映画」として知られることになったことを申し添えておく。

「赤い薬の内服効果」に興味がある方は、ぜひこの本を手に取ってほしい。
瞑想のお話し、ひとまず終了。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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