1日目 感謝の気持ちや親切心を大切にしよう
初日は誰にでも実行しやすく、即効性があるものから始めることにする。
今日1日、皆さんに常に気に留めてほしいこと。それは人に感謝し、親切にするということだ。
決して道徳の教科書のようなことが言いたいわけではない。これにはちゃんと、科学的データの裏づけがある。
ポジティブ心理学の研究において、感謝の気持ちを持つこと、親切心にもとづく行為をカウントすること、あるいは、ボランティア活動や慈善事業に参加することによって、幸福感が高まることがわかっているし、医学的にも感謝には自律神経を整える作用があるとされている。
さらに感謝を忘れない人の特徴として、エネルギッシュで希望に満ち、ポジティブな気持ちを抱きやすい傾向があり、落ち込み、不安、孤独といった負の感情に陥ったり、物に依存したりしにくいことが指摘されている。
なんともはや、いいことずくめではないか。
「自分は環境に恵まれていないから、感謝したくなることなんてない」
なんてイジケたことは言わないでほしい。家族が家事をしてくれたり、友人が有益なアドバイスをくれたり、あるいは近所の人がにこやかに挨拶してくれたりといった具合に、なにがしかの好ましい出来事がきっとあるはずだ。
たとえ今日1日、誰にも会わなかったとしても、テレビに出ている芸人に笑わせてもらったとか、なんなら温もりを与えてくれる日差しに対してだっていい。
「今日は意地でも、感謝一杯の気持ちで生きる」
そう固く心に誓って過ごせば、あなたの1日はそれだけで、より幸福なものになる可能性が高いのだ。
人に親切にすることも、同様に有益とされている。
「親切にしてばかりでは、自分が損をしているような気分になる」
なんてシミッタレた発想ではいけない。それによって相手が喜んでくれるだけではなく、自分自身が幸せになれるのだから。
親切な人のほうが、長生きをしやすいというデータだってある。幸せになった上に寿命も延びるのなら、まさに一石二鳥ではないか。
せっかく親切にしても、お礼を言ってもらえなかったり、それどころか、失礼な態度をとられたりして、不快な思いをすることも時にはあるかもしれない。そんな場合でも、親切な行いを後悔する必要はない。なぜなら人に親切にした時点で、すでにあなたの幸福度は上がっているのだから。
感謝の気持ちを持たなかったことにより、幸福度を上げるチャンスを逃したのは、あなたではなく、その無作法な相手の方なのだ(ただし、同様のことが繰り返されるようなら、あなたの親切心がひとりよがりで、恩着せがましいものになっている可能性もあるので注意しよう)。
幸せになるための行動様式を理解し、無意識でそう行動するところまで知見を落とし込む。インド独立の父、マハトマ・ガンディーは言った。
「報いを求めない奉仕はひとを幸福にするだけでなく、わたしたち自身をも幸福にする」
折に触れて思い起したい言葉だ。
最後に、注意してほしいことを1点。
親切な行動は、あなた自身にとって新鮮で、自発的なものにしてほしい。マンネリ化したり、まるでノルマのように感じながら渋々行ったりすると、退屈に感じるだけでなく、場合によっては「利用されている」といったネガティブな感情が頭をもたげ、逆に幸福感を下げることになりかねない。
親切な行いにも、ちょっとしたコツが必要というわけだ。
とりあえず今日1日、常に感謝の気持ちを忘れず、そして機会あるごとに人に親切にしてみてよう。
余力があったら、その回数をカウントしてみてほしい。
幸せになるのは案外簡単だということが、初日から早速、実感してもらえることと期待している。
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内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。