左下の学業成績でみると共有環境の影響がそれなりにあるのに対し、中央下の才能でみると外国語以外共有環境の影響はほとんどみられない。いくつかの例外はあるものの、ほぼすべての心理的・行動的特徴に遺伝の影響があり、その大きさは30~50%、ものによってはもっと大きいのもあります。とにかくほぼ普遍的にあるが、だからといって遺伝によってすべてが決まっているのではなく、同様に環境、とくに非共有環境の影響もまたあまねくあり、この寄与率も大きい。
一方、共有環境の影響は、ないものが少なくなく、あってもわずかであることが多い。
研究されてきた数多くの心理的・行動的形質の行動遺伝学的研究の成果を概観すると、おおむねこれと同じような結果が得られます。このことから「行動遺伝学の3原則」(Turkheimer, 2000)というのが言われるようになりました。それは
あらゆるこころの動きには遺伝子の影響がある(遺伝の普遍性)
家族が似ているのは環境を共有するからではない(共有環境の希少性)
環境の影響は家族でも一人ひとりみんなちがう(非共有環境の優位性)
とまとめられます。これが拙著のサブタイトル「すべての能力は遺伝である」の根拠なのです。
学力の70〜90%は、子ども自身にはどうしようもないところで決定されてしまっている。遺伝子と共有環境の両方を含めて考えるなら(広義の親ガチャ)、成績が悪かった人にとってはたしかにたまったものではない。知能は70%以上、学力には50〜60%くらいの遺伝率があります。学力の場合、さらに20〜30%程度、共有環境の影響も見られます。
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内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。