瞑想における「止」「観」、および苦しみの原因「無明」について、わかりやすく紹介……している本を紹介する


最近、坐禅・瞑想にはまっている……というかそれしか眼中にない日々を送っており、したがって読む本も関連する内容のものばかりになっている。
今日、紹介するのは「仏教の知恵 禅の世界(大法輪閣)」。Amazonの説明欄には下のように書かれている。

仏教と禅の真髄にさまざまな角度から迫る、スリリングな「知的冒険」。15人の碩学が、それぞれの立場から「仏教」「禅」を掘り下げ、語りつくす。新しい「知」のありようを提示する、珠玉の講演集!

とまあ、そんな本である。


この本から3か所を紹介する。まずは僕の敬愛する故・河合隼雄氏。

p28~
(瞑想時に)フワーとした感じでやっていると、眠たくなって意識が不明瞭になってしまいます。それではだめなんです。意識はだんだん変わっていくけれど、明晰でなければいけない。明晰性を失わずに、意識がどんどん変わっていくと、いろいろなものが一緒になって、つながっている世界がはっきり見えてくる。そうやって、ずっと意識を下げていって、しかも明晰性を保っていると、すべてのものが融合してくるんですね。そして最後には、「花」とか「河合」というような名前もついていない、「存在」そのものの世界にまで下りて行く。それを明晰に認知できるようになるんです。(中略)。井筒俊彦という哲学者がそういうことを書かれています。

なるほど、これはわかりやすい。
「瞑想とはそもそも何なのか?」と聞かれることがたまにあり、今までははっきりした答えを持ち合わせていなかったのだが、「明晰性を保ちながら意識を下げること」というのは言い得て妙に思える。
しかし、これはあくまでもサマタ瞑想、つまり思考や雑念を止める「止」の瞑想の場合。伝統仏教のヴィパッサナー瞑想、すなわち「観る」瞑想だと、この説明では十分ではない。
ヴィパッサナーに関しては、箕輪顕量氏が興味深い知見を紹介している。

p185~
ミャンマーにおける瞑想の特徴
止(サマタ瞑想)を実習せずに、いきなり観(ヴィパッサナ瞑想)を実習させる流派が存在することも一つの特徴と考えられます。実際には止を実習し、心の働きを捉まえることに習熟した上で観に進むのが良いように思われるのですが、止の段階が省略されてしまう場合があるようです。

釈尊が悟りを開く際にしたとされるヴィパッサナー瞑想。箕輪氏の論説を読むと、普通はサマタ瞑想が必須に思えるが、たとえば昨今巷で流行っている「マインドフルネス瞑想」などはサマタ瞑想なしのヴィパッサナーもどきと言っていい。
ヴィパッサナーにはその前段階としてサマタ瞑想の習得が必要なのかどうか。実はこれについては見解が分かれているようだ。

たとえば、山下良道著「光の中のマインドフルネス(サンガ)」。


p166
サマタ瞑想はいったい何を目的にしているかというと、実はそれを通して、ジャーナ(禅定)に入ることを目指しているのです。そして、ジャーナに入ったあとで、ヴィパッサナーを始めるというのが大まかな構成です。

とサマタ瞑想必須派。
しかしプラユキ・ナテラボー、篠浦伸禎著「脳と瞑想(サンガ新書)」の中でプラユキ氏は違う見解を述べている。


p102
もともと集中力のない人に対して「ずっと集中していなさい」というのは、なかなか酷だと思うんですよね。

といきなりヴィパッサナーに入ることを容認。

話がマニアックな方向に逸れてしまった。
最後に「仏教の知恵 禅の世界(大法輪閣)」に戻り、佐々木閑氏による「無明」についての話を紹介して記事を終えたい。

p73~
釈迦が、一番最後に見つけたその苦しみの本体は何かと言うと、これは自分中心の不合理な考え方。自分を中心に全てを考えていくところに不合理性があるということです。
世の中は、自分中心になんか動いていません。いろんなものが、原因と結果が組み合わさって動いていくだけの話なのに、そこに自分がいて、自分に有利にものを考えて、そして自分に都合のよいものを引き寄せて、「これは俺のものだ」と考えていく。そこに現実とのギャップの苦しみが生まれてくるんだと、こうなるわけです。
その不合理性のことをまとめて「無明」と呼びます。これが、釈迦が見つけた苦しみの原因です。しかし、無明というのがわかったところで、それを「はい、わかりましたね、消しましょうね」と言ったって消えるわけがない。それは染み付いていますから。その染み付きを消すためには毎日「消さなきゃ、消さなきゃ、消さなきゃ」ということを、考え続けることになる。これが、仏教の修行を長い時間をかけて続けなければならないという理由です。

というわけで、今日も僕は長々と座部に座るのである。精進っ!
せっかくなので明日も瞑想について書きたい。

僕の「瞑想合宿体験記」はこちらから。
臨済宗の道場での座禅合宿に参加してきた。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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