55歳。FIRE生活の「これまで」を振り返ってみる。


今日で僕は55歳になる。四捨五入するとめでたく100歳だ。
誕生日の記事など書いたこともないが、55歳というのもなんとなくキリがいい気がするので、今日はこれまでのFIRE生活を振り返ってみたい。

リタイアしたのが2017年2月だから、6年半の月日が流れたことになる。
リタイア生活がたった6年半というのは、にわかには信じがたい。というのも、ゆうに10年は過ぎたような気がしているからだ。
年と共に月日が流れるのが早くなり、1年があっという間に過ぎるというのは、多くの方の言うところ。ところが僕の場合、リタイアしてからの1年1年が実に長い。
つまらないわけではない。充実しているから、1日はむしろ早く過ぎる。
一般的に言われる「年と共に1年が早くなる」というのは、惰性で生きていて、刺激や学びが少なくなるからではないか、というのがちょっと辛口な僕の感想だ。
月日が流れるのが早ければ、そのぶん体感としての人生は短くなるわけだから、これは実に切実な問題。身に覚えのある方は気をつけたほうがいい。

最初の本、「幸せの確率―あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」を上梓したのが、リタイアからちょうど1年後にあたる2017年の1月。


原稿を書くのは楽しくて、初稿はかなり短期間で書き上げたのだが、本にしてくれる出版社を探すのは予想以上に大変で、あちこちで断られ続けた挙句、日の目を見るのに半年以上かかってしまった(最終的に出版を受諾してくれたセルバ出版には感謝しかない)。
しかしその半年の間、自分でもあきれるほど推敲を繰り返したため、結果として本としてのクオリティを高めることができ、結果としてみれば、出版社からノーを突きつけられる日々も決して無駄ではなかったことになる(心理的にはとてもつらかったけど)。
ちなみに断られた理由で一番多かったのが、
「アーリーリタイアの本なんて、誰が買うと思います? 市場がありませんよ」
というもの。
その後にくる「FIREブーム」を出版業界はさっぱり予見できていなかったことになる(そんなんだから出版不況に陥るんだヨ、というのは僕のルサンチマン)。
ちなみにこの本はそこそこ売れたし、ついでに言うと今でも少しずつ売れている。地元の図書館にも置いてあるので、僕としては将来、孫に話す武勇伝のひとつと位置づけている。

次の本、「4週間で幸せになる方法」を上梓したのが、翌2018年の末。


実は僕はこちらの方が気に入っていて、今でも読み返すのはこちらなのだが、残念ながらセールス的にはイマイチで、いまだ増版もなし。
なかなか難しいものだと感じたのに加え、本にしたい分量の「ネタ」も他にはなかったので、ここで「幸せ系」出版活動から撤退することになる。

翌2019年は、僕が「姿を消した」1年間。
本を出さなくなっただけでなく、それまでやっていた、この前身となるブログの更新をやめたため、多くの方にご心配頂いた。
実はその1年間、僕はひたすら「小説」を書いていた。
そもそも小説家になるのは、僕が中学生の頃からの夢。
W村上が彗星のように現れ、田中康夫が裏技のような手法を繰り出し、景山民生がどこまで本当かわからない爆笑エッセイを書きまくっていた時代で、田舎の学生からはずいぶん華やかな世界にみえた。
20代では何本か短編を書き、雑誌が主催する新人賞でいいところまでいったこともあったから、今の自分ならもっと上を目指せるはず、との自信があった。
ところが結果は惨敗。出せども出せども、1次選考すら通らない。
僕の感性が古くなったのか、作家希望者のレベルが上がったのか、あるいは50歳すぎでは書類ではねられてしまうのか? 理由はよくわからないが、とにかくどうにもならないまま撤退。
結果としては何も残らなかったが、僕はこの1年を無駄とは思っていない。
だって、もしこの1年がなければ、僕は死ぬまで、「もうひとがんばりすれば小説家になれたのでは?」と(時折とはいえ)後悔しながら生きるはめになったはずだから。
やるだけやって、自分には才能がないと骨身にしみて理解したから、今は小説家になんの未練もない。木っ端みじんに粉砕したからこそ、逆に悔いを残さずにすんだという、なんとも皮肉な話だ。

そして2020年、新型コロナがやってきた。
医師として感染症の基礎知識があり、かつ時間が自由になる僕にとって、新型コロナの啓蒙が使命のように思えてきて、4月に本ブログを開始。
欧米での感染拡大の様子や、ロックダウン、マスクの効果などを紹介していくが、発信力がないため、なかなか人に伝わらない。
悪戦苦闘している様子をみた先輩医師からツイッターへの参入を進められ、渋々ながら参入したのが2020年の7月(当時の僕は『SNSは精神衛生上よろしくないので、入らないのが吉』と考えていたし、今でもちょっとそう思っている)。
SNS慣れしていない僕が、「ファクターXはマスク」「公衆衛生目的で抗原検査の有効活用を」「エアロゾル感染だから手洗いより換気を」などと、当時はあまり一般的ではない主張を矢継ぎ早に繰り出すものだから、アカウントはすぐに炎上。わけのわからない渦に巻き込まれることになる。
しかしそんな中、徐々に新型コロナ情報発信アカウントとして認知され、結果として、行政にいくつかの貢献ができたことは、これまた孫への武勇伝になると思っている(内容は長くなるし、言えないことも多いため省略)。
この活動は2022年まで続けたが、認可された抗原検査キットが薬局で気軽に買えるようになったのを見届けて、後は特に僕がすべきこともないだろう、と撤退した。
そして今年、2023年を迎える。

僕がアーリーリタイアのとき目標に掲げたのは、以下の4つ。
① 家族との時間をもっと充実したものにする
② 本を出す
③ 瞑想に励む
④ アフリカの大自然を体験する

このうちの①、②はクリアしたので、今は軸足を③の瞑想および座禅にうつしている。
特に6月、臨済宗の道場で4泊5日の特別摂心会に参加してからはさらに熱が入り、以後、毎日45分間の座禅2~3セットを欠かさない日々を送っている。
悟りの光が現れる兆しはないけれど、少しずつ精神が安定してきた気がしないでもない。
臨済宗の道場での座禅合宿に参加してきた。

ちなみに④は子供たちが巣立ってから妻とふたりで、と考えている。
若い頃は多くの国々を旅したが、アフリカはモロッコしか行ったことがなく、「アフリカの大地」に触れた実感はない。
これは体が動くうちに、どうしても経験しておきたいと考えている。

以上、ダラダラと自分語りをしてみた。
それなりに多くの経験をつんできたとは思う。
でもやりたいことは、まだまだ尽きないのである。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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