答えは2分の1? それとも3分の1? おもしろかった数学クイズを2問紹介する。


昨日に引き続き、Newtonの「パラドックス大図鑑」から。
はじめに紹介するのは数学者ジョセフ・ベルトランによる「ベルトランの箱」。

あなたの前に箱が3つある。それぞれ箱の中央に仕切りがあり、左右2つの部屋に分かれている。箱のふたも左右別々に開けることができる。外からはこの中身は見えない。そして、あなたに以下のことが伝えられる。
「3つの箱のうちの1つには左右両方とも金貨が、1つには左右両方とも銀貨が入っている。残る1つには片方に金貨、もう片方に銀貨が入っている」
あなたが3つの箱から1つ選び、右側のふたを開けたら金貨が入っていた。このとき、その箱が金貨と銀貨が入った箱である確率はいくつになるだろう?

その箱に金貨が少なくとも1つ入っていたのだから、その箱は、少なくとも両方銀貨が入った箱ではないことがわかる。よって箱は残り2つにしぼられたわけだ。
だから「金貨と銀貨が入った箱である確率は2分の1である」と考えていいのだろうか?
今回もこの本へのリンクを貼った後、解答を記す。



答え。
上述した考え方は間違っており、正解は2分の1でなく3分の1になる。
金貨はそもそも3枚あり、そのうち2枚は「両方金貨が入った箱」にあるので、確率はそれぞれ3分の1であわせて3分の2。
「金貨と銀貨が入った箱」にある金貨である確率は3分の1ということになる。

似たような問題をもう1問。

挑戦者の前に3枚のドアA、B、Cがある。どれか1つのドアの後ろには豪華な賞品が隠されているが、残りの2つはハズレである。司会者は当りのドアを知っているが、当然、挑戦者は知らない。
挑戦者がドアAを選んだとする。すると司会者は残された2枚のうちドアBを開け、それがハズレであることを挑戦者に見せる。ここで司会者は言う。
「はじめに選択したドアのままでも結構。ですが、ここでドアCに変更してもかまいませんよ」
さて、挑戦者はドアを変更すべきだろうか?

解答はリンクの下に。



Bはハズレなので残るはAかCの2択。だから当たる確率もそれぞれ2分の1と考えがちだが、それは間違い。
そもそも挑戦者が選んだ時点でそれぞれのドアが当りの可能性は3分の1ずつ。つまりAの可能性は3分の1、BまたはCが当りである可能性は3分の2となる。
当りを知っている司会者が、挑戦者が選ばなかった2枚のうちハズレのほうを開けてみせる。両方ハズレならどちらを開けてもいい。
しかしこの行為によってAが当りである可能性も、BかCのいずれかが当りである可能性も影響をうけることはない。
したがってAが当りの確率は3分の1のまま。
BかCが当りの確率は3分の2のままで、Bがハズレであることがはっきりした以上、Cが当りの可能性は3分の2となる。

少しややこしいが、ご理解いただけただろうか?
どうしても納得がいかないという人がいるようなら、実際に紙でも使ってやってみるといい。選ぶドア(この場合は紙)を変更した方がはるかに正答率が高いことを実感してもらえると思う。
あるいはドアを3枚ではなく100枚で考えてみる。
挑戦者は100枚の中からドアをひとつ選び、司会者は残り99個のドアの中から不正解のものを98枚開けてみせる。挑戦者は残り2枚のドアから好きな方を選べとなったら、変えた方がいいと感覚的に理解しやすいだろう。
いやはや、実におもしろい。

おもしろがっているのが僕だけでないことを祈りつつ、このシリーズは明日が最後回の予定。



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ズッキーニの香草焼き。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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