“ウイルスの突然変異で、欧米では流行しやすく死亡リスクが高い株、日本では流行しにくい株だった、という説もあります。
が、これを支持するデータはあまりありません。“
“日本人の抗体産生の仕方、すなわち免疫反応や、抗体など免疫記憶に依存しない免疫機構(innate immunity, 日本では自然免疫というちょっとよくない和訳がついています)にその原因を求める声もありますが、これも確証的なデータはありません。”
と、ここまでは僕とほぼ同意見。“BCGワクチン接種など、免疫学的な違いを根拠と考える説もあります。
しかし、イスラエルで行われた研究でBCG接種者と被接種者でCOVID-19発生に違いが認められなかったこと、ブラジルなどBCG接種国でもCOVID-19感染者、死亡者が非常に多くなっていることから、ちょっとBCGが「決め手」と考えるのは無理があるように思います。“
これはその通りだが、ここからが問題。“よく知られているように、医療用マスクの効果は「感染者が感染を広げる」のを防ぐことであり、「非感染者が感染しない」効果はないか、ほとんどないことが示唆されているからです。布マスクについてはもっとデータが少ないですが、基本的には評価は同じです。”
つまり、マスクによる予防効果は感染者がマスクをすることによって生じるものだから、感染者がそもそも少なかった日本ではあまり意味がなかったと言うのだ。“マスクの効果は「ある程度感染者が多くて、無症候感染者がまわりにうようよしていて、そうした感染者がみんなでマスクを着けることによって感染リスクをヘッジする」という戦略に基づいています。
でも、実際の日本は「だれもが感染者」ではなく「ほとんど感染者ではなかった」状況でした。もちろん、クラスターの内部では別ですが、日本でのクラスターはほとんどが俗に言う「三密」の条件を満たす閉じた空間内であったか、医療機関の感染がほとんどでした。市中の路上など、一般的な空間には感染者はほとんどいなかったのです。だから、稀有な感染者がマスクを着けることで感染対策に成功した、という仮説はちょっと成立しにくくなります。“
にすぎないと述べている。“スタート地点が違っていたから”
スポンサーリンク
内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。