昨日からの続き。今日はブータンで幸福度が急激に低下しているらしいことに触れる。
まずは記事の紹介。
ブータン「世界一幸せな国」の幸福度ランキング急落 背景に何が?
https://www.moneypost.jp/844491南アジアにあるブータンは、発展途上国ながら2013年には北欧諸国に続いて世界8位となり、“世界一幸せな国”として広く知られるようになった。国民が皆一様に「雨風をしのげる家があり、食べるものがあり、家族がいるから幸せだ」と答える姿が報じられたのを覚えている人もいるだろう。
しかし、ブータンは2019年度版で156か国中95位にとどまって以来、このランキングには登場していない。
「かつてブータンの幸福度が高かったのは、情報鎖国によって他国の情報が入ってこなかったからでしょう。情報が流入し、他国と比較できるようになったことで、隣の芝生が青く見えるようになり、順位が大きく下がったのです」
この出来事によって多くの人が、
「多少貧しくても幸せになれるなんていうのは、十分な情報がない故の現象。やはり大切なのは経済力」
との印象をもったことだろう。
それを間違いとはいわない。でも同時に、あまり短絡的にならず、視野を広く保ってほしいとも思う。
まずはお金と幸福感。
本ブログで何度も取り上げているように、お金によって幸福度が上がるのは一定程度までで(その程度については諸説ある)、あるレベル以上になると収入や資産が増えても幸福度は上がらないどころか、逆に少しずつ下がっていくという研究データもある。
そしてブータンの人々が大切にしていること、すなわち正直であること、他者に親切、あるいは寛大であることは、幸福度の向上に大きく結びつくこともわかっている。
ブータン的幸福を否定すること、あるいは、経済的繁栄こそ幸福と断ずることは、もはや科学的見地からも難しいのだ。
ではなぜ実際にブータンで幸福度が激減したのか。
まず第一に、収入と幸福度とが比例しなくなるのは「一定程度」以上の収入がある場合であるという事実。貧しい間はもちろんだが金は大切だ。
近年まで一妻多夫制という特殊な婚姻制度が広くみられてきたブータンでは、収入を軽視していいだけの豊かさが行きわたっていないと考えるべきだろう。
さらに情報の流入が急激だった要素も見逃せない。今まで知らなかった豊かな生活をいきなり目の当たりにすればショックに陥るのも当然のことと思う。
ブータンでの幸福度が回復するのにはしばらく時間がかかるはずだ。まずはショック状態からの離脱。さらに、低すぎる所得の改善。
しかしその後は少しずつ、
「やっぱりお金より気持ちだよね」
というブータン人の元来の気質に戻っていくのではないか、というのが僕の想像だ。
先進諸国に住む人々の間で、
「経済的豊かさと幸福度は直結しない」
という考えがようやく、少しずつ広まってきている現状から一周遅れる形で、昔の良さが懐古されるようになる気がする。
この希望が夢想的だとは思わない。
だって前回までのブログで紹介してきたように、経済的尺度では計れない、ささやかな、しかし確固とした幸せがブータンにはあるのだから。
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