お金がない! ~ ラモスの村の生活から考える


なんとも直截なタイトルに興味を惹かれ「お金がない!(河出書房新書)」という本を手に取った。
お金は人生にとってどれだけ重要なのかを問う、29人の著述家によるエッセイアンソロジーで、これが中々おもしろいので、本ブログでいくつか紹介したいと思う。


下記はエッセイスト、酒井順子によるエッセイ「お金」。一部を抜粋する。

そんなある日、私はラオスに行く機会がありました。ラオスと言うと、国の名は知っていても、「どこ?」という感じかと思いますが、それはベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国に囲まれた、インドシナ半島にある内陸国。経済規模は、鳥取県の約四分の一ほどと、世界で最も貧しい国の一つです。
(中略)
到着した村には、電機はかろうじてついているものの、トイレやガスはありません。調理は薪や炭で。森がトイレの、川がお風呂の働きをつとめます。
(中略)
子犬と子豚と子供達がかけずりまわっているのをぼーっと眺めつつ、私は思っていました。ラオスに来るまでは、経済的に発展していないラオスを、自分はおそらく下に見ていた。ラオスの発展のために、何かをして「あげたい」と、上から目線で考えていたのです。
が、実際に来てみると、彼等はお金が無いことに焦りや絶望を感じている風はありません。鶏の声とともに起き、晩ご飯を食べたら寝る。それは単調な暮らしではあるけれど、「もっと美味しいものを」「もっとたくさん」「もっと快適に」といった、「もっともっと」という欲求からは完全に開放されています。
(中略)
風呂もトイレもない、自然そのままの暮らし。そして、スイッチ一つで暖かいお風呂に入れるし、トイレでは機会が排便後の尻を洗浄してくれるけれど、放射能を心配しなくてはならない暮らし。正解は、二つの暮らしの間のどこかに存在するのでしょうか。それとも、全く別のところにあるのでしょうか。答えを出すことはできないのだけれど、しかし習慣というものに抗うことはできず、ウォッシュレットつきトイレを夢見ながら、私は村を去ったのでした。


僕は酒井氏の心境に同意するし、僕のブログを読んでくれている人には同意見の人が多とは思うが、中には、
「先進国のように豊かな方が幸せに決まっているじゃないか!」
と感じる人もいると思う。
そこで自著「幸せの確率」からも一部を抜粋して紹介したい。


心理学者・バリー・シュワルツは、「現代の先進国においては、選択肢の多さが逆に人々の幸福度を下げている」と述べ、その理由を次のように説明しています。

一、 あまりにも多くの選択肢を前にすると、間違った選択をしたくないというプレッシャーから、人は、ストレスや無力感を感じる。
二、 自分が選んだものに少しでも不満が生じると、選ばなかった他の選択肢への未練により、満足度が低くなってしまう。
三、 選択肢が多いと、商品に対する期待値が上がってしまうので、たとえベストな選択をしたとしても、やはり満足度は低くなってしまう。
四、 自分が取った選択に満足できなかった場合、選択肢が少なければ、店や社会のせいにできるが、選択肢が多ければ、自分を責めざるをえない。

実際に、お店で商品の種類を増やし過ぎると、売れ行きが悪くなってしまう、という実験データもあります。何を買うのかを決めるために、より多くの労力が必要になるので、そのストレスを避けるため、一部の客は購入自体を見送ってしまうのだそうです。
シュワルツ氏は、「全く選択肢がないよりはあったほうがいいが、多ければ多いほどいいということではない。どれくらいが適切なのかはわからないが、現代の先進諸国において、選択肢の多さが私たちに快適さをもたらすという段階は、とっくに通り越してしまった」と結論づけています。


では現実問題として先進国で生まれ育った僕らはどうしたらより幸せになれるのか?
答えは簡単で「もっと、もっと」と欲張る癖を、意識的に減らしていけばいい。
それだけの話が簡単にはいかないのが現実なのだけれど。

明日もこの本から引用の上、考えてみたい。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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