ちなみにこの効果は、男子生徒に目立って現れたとのこと。まず、毎日体育の授業を受けた生徒は、週に2回の生徒よりも体育の成績がよかった。これは当たり前の結果だ。予想外だったのは、この生徒たちが特別な指導を受けたわけでもないのに、算数や国語、英語でもよい成績を取ったことである。しかもその効果は何年も続いた。
p289子供の集中力を維持するには、最低どのくらい運動をすればいいのだろうか。(中略)
10代の子どもたちが12分ジョギングしただけで、「読解力」と「視覚的注意力」がどちらも向上したのである。そして、その効果は1時間近くも続いた。
それだけではなく、たった4分の運動を一度するだけでも集中力と注意力が改善され、10歳の子どもが気を散らすことなく物事に取り組めることも立証された。
p291毎日たくさん歩いた子どもは、あまり歩かなかった子どもに比べてストレスを感じにくく、精神状態も安定していたのである。
p292スポーツをまったくせず、自由時間には座ってばかりいる肥満気味の小学生たちを集めて、放課後に運動させたのだ。参加しやすいように、好きな運動を自由に選ばせた。
その結果、特別な勉強は一切していないのに、みな一様に算数の試験の得点が上がっていた。また活動量が増えれば増えるほど、試験の得点も高くなった。じつは、たった20分でこのような効果があったのだが、とりわけ試験の得点が大幅に上がった子どもたちは40分以上、息がかなり切れる運動――心拍数が1分間で最大150回まで上がる運動をしていた。
p298(運動の)効果は1時間から数時間続いたのち、少しずつ薄れていく。だが大人と同じように、運動を定期的に数か月続けると(要は習慣にしてしまえば)、効果は増大して長続きする。
学生時代を思い出してほしい。数学が得意な生徒の中で、問題に熱中すると無意識に席から立ちあがり、中腰になって問題を解き続ける子はいなかっただろうか?7年生を対象に、認知機能を測る各種のテストによって子どもの学力調査を行ったところ、立ち机を使うと、テストの結果が平均で10%も上がっていたのである。
p218~総合的に見れば、あらゆるデータは同じ結論に行きつく。運動をすれば頭がよくなる。だが、知能指数の高さと相関性があったのは持久力のみで、筋力とは無関係だった。
p219実験では、記憶力のテストで一番よい成績を挙げた被検者たちは、テストの直前に運動をしていた。身体のコンディションが万全とはいえない被検者でも、テストの直前に運動をした場合、ほぼ全員がよい成績を挙げた。
つまり運動すると、すぐに記憶力が上がると考えられる。
漫画「ドラゴン桜」でも同様の暗記法が紹介されていた記憶がある。もし暗記力を最大限に上げたいのであれば、運動と暗記を同時に行うことをお勧めする。たとえば、トレッドミルの上で歩きながら暗記するのである。
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内山 直
作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。