子どもの学力アップにどう運動を取り入れるべきか ~アンデシュ・ハンセン著「運動脳」のご紹介3


一昨日から紹介しているのはアンデシュ・ハンセン著「運動脳」。
予告通り今日は「学力と運動」について紹介したい。


まずはスウェーデンの小学校での実験。通常、体育の授業は週に2回なのだが、毎日行うクラスをつくって比較してみた。体育の授業の回数以外、条件はすべて一緒。

すると結果は、
p283~

まず、毎日体育の授業を受けた生徒は、週に2回の生徒よりも体育の成績がよかった。これは当たり前の結果だ。予想外だったのは、この生徒たちが特別な指導を受けたわけでもないのに、算数や国語、英語でもよい成績を取ったことである。しかもその効果は何年も続いた。

ちなみにこの効果は、男子生徒に目立って現れたとのこと。

その他のデータもご紹介。
p288~

子供の集中力を維持するには、最低どのくらい運動をすればいいのだろうか。(中略)
10代の子どもたちが12分ジョギングしただけで、「読解力」と「視覚的注意力」がどちらも向上したのである。そして、その効果は1時間近くも続いた。
それだけではなく、たった4分の運動を一度するだけでも集中力と注意力が改善され、10歳の子どもが気を散らすことなく物事に取り組めることも立証された。

p289

毎日たくさん歩いた子どもは、あまり歩かなかった子どもに比べてストレスを感じにくく、精神状態も安定していたのである。

p291

スポーツをまったくせず、自由時間には座ってばかりいる肥満気味の小学生たちを集めて、放課後に運動させたのだ。参加しやすいように、好きな運動を自由に選ばせた。
その結果、特別な勉強は一切していないのに、みな一様に算数の試験の得点が上がっていた。また活動量が増えれば増えるほど、試験の得点も高くなった。じつは、たった20分でこのような効果があったのだが、とりわけ試験の得点が大幅に上がった子どもたちは40分以上、息がかなり切れる運動――心拍数が1分間で最大150回まで上がる運動をしていた。

p292

(運動の)効果は1時間から数時間続いたのち、少しずつ薄れていく。だが大人と同じように、運動を定期的に数か月続けると(要は習慣にしてしまえば)、効果は増大して長続きする。

p298

7年生を対象に、認知機能を測る各種のテストによって子どもの学力調査を行ったところ、立ち机を使うと、テストの結果が平均で10%も上がっていたのである。

学生時代を思い出してほしい。数学が得意な生徒の中で、問題に熱中すると無意識に席から立ちあがり、中腰になって問題を解き続ける子はいなかっただろうか?
傍目には「一風変わった秀才」に見えるだろうが、実は立つことによって集中力が増すことを、経験的に理解していたのかもしれない。

p302~

総合的に見れば、あらゆるデータは同じ結論に行きつく。運動をすれば頭がよくなる。だが、知能指数の高さと相関性があったのは持久力のみで、筋力とは無関係だった。

p218~

実験では、記憶力のテストで一番よい成績を挙げた被検者たちは、テストの直前に運動をしていた。身体のコンディションが万全とはいえない被検者でも、テストの直前に運動をした場合、ほぼ全員がよい成績を挙げた。
つまり運動すると、すぐに記憶力が上がると考えられる。

p219

もし暗記力を最大限に上げたいのであれば、運動と暗記を同時に行うことをお勧めする。たとえば、トレッドミルの上で歩きながら暗記するのである。

漫画「ドラゴン桜」でも同様の暗記法が紹介されていた記憶がある。

というわけで我が家でもさっそく本書から得た知見を取り入れることにした。
中学3年生の次男、1年生の三男ともに(長男は大学で上京中)、学校から家に帰ってきた後はしばらくダラダラ過ごすことが多かった。疲れて帰ってくるのだから、それでいいと僕も考えていたのだが、考えてみれば中学から自宅までは早足で15分。
つまり帰宅直後に勉強すれば一番効率がいいことになるのだ!
というわけで我が家では、「家に帰ったらまず小一時間勉強」という生活スタイルを徹底することにした。
ついで指示したのは、「体育がない日の昼休みはできるだけ体を動かす」ことと「10分休みは早足で校内を散歩する」の2点。
もちろん息子達にもしたい活動があるし、友達づきあいもあるわけだから、必ずできているわけではないが、多少は意識的に体を動かしてくれているようだ。
これらの効果が今後でてくるのか、楽しみにしている。

ちなみに立ち机と、運動しながらの勉強については、まだ検討中。
マンション住まいなので、むやみに物を増やせないのが実情だが、息子たちが希望するようなら立ち机、それにエアロバイクくらいは買ってもいいかもしれない。
なぜエアロバイクかというと、トレッドミルをしながらの勉強だと視点が安定しないし、何より危ない気がするのから!

教育関係、あるいはお子さんをお持ちの読者には、ぜひ役立ててほしい知見だ。



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ズッキーニのドルマ(トルコ料理)
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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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