お金は幸福を増やすよりも悲しみに対する緩衝材としてのほうが効くようです ~ 「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」のご紹介4


ビル・パーキンス著「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール(ダイヤモンド社)の続き。


この本の論説にあまり共感できなかった点について、今日も続ける。

p81
多くの人が、死ぬ前に金を使い果たすのは怖いと考えている。私もそれには同意見だ。晩年を金の心配をしながら過ごしたい人などいない。
誤解しないでほしいのだが、私は将来のために貯金すべきではないとは言っていない。必要以上に貯め込むことや、金を使うタイミングが遅すぎるのが問題だと言っているのだ。

この後、筆者は退職後、高齢者たちが十分にお金を使えていないことを、様々なデータを上げて説明しており、一読すると説得力があるようにも思える。
なるほど、確かに多くの人がお金の使い方に保守的である一面はありそうだ。
しかし筆者が軽視していて、逆に僕から大いに警鐘を鳴らしたいのは、「不安感」がもたらす負の作用だ。
「将来、資金が枯渇したらどうしよう」
との不安は、確実にその人の幸福度を下げる。逆に、
「よほどのことがない限りお金は足りる」
と感じることができれば、将来不安から来る幸福度の低下をある程度防ぐことができる。
「不安感を防止するためにお金が必要」と考えるのなら、それを実際に使う必要はないではないか。

さらに、ブリティッシュ・コロンビア大学とミシガン州立大学の教授らが1万2291人を調査・分析した研究も紹介したい(2015年)。
結論は、
「収入(の多さ)は日々の幸福感をもたらすのにほとんど影響はないが、悲しみのようなネガティブな感情を減らすのに役立つ」
というもの。
https://www.researchgate.net/publication/271732463_Higher_Income_Is_Associated_With_Less_Daily_Sadness_but_not_More_Daily_Happiness
下記サイトから引用。
https://president.jp/articles/-/21392

なぜ、収入(お金)がネガティブな感情を減らすのに役立つのか。それは、ネガティブな感情を引き起こす事柄・事象に対して、お金持ちが(対策として)費やす時間は、お金がない人に比べて少なくできるからなのです。
例えば雨漏りが発生した場合、お金持ちはすぐに修理することでストレスを解消できますが、修理代を支払う余裕のない人にとってそれは数カ月にも及ぶ苦しみにもなる。
お金持ちは悲しい事態に対しても、それを一定程度コントロールできると感じているため、お金がない人々と比べて悲しみを和らげることができるのです。
お金は幸福を増やすものというよりも、悲しみに対する緩衝材の役割を果たすというのがこの論文の結論です。

多くの人は、結果として生涯使い切れないほどの額を貯め込んでいるのかもしれない。
しかしそのお金が予期しなかった悲しみを和らげるために使われる可能性を考えると、一概に「無駄」と切って捨てることはできないのではなかろうか。

ここから筆者は、さらに畳みかけるように「多くの貯金は不要」との主張を続ける。

P88
人々が金を必要以上に貯め込み、死ぬ間際になっても手をつけようとしない明確な理由がある。
それは老後の予期せぬ費用、特に医療費のために貯金を維持しておきたいからだ。

うん、それは大きい。間違っている?

p90
たとえば、がん治療は年間50万ドルもの費用がかかることがある。自己負担の医療費が1泊あたり5万ドルもする病院もある。
私たちが頑張って若い頃からコツコツと貯金し、1万ドル、5万ドル、25万ドルを貯めたとして、こうした天文学的な医療費が必要になったとき、果たしてそれが本当に役に立つのだろうか?

聞き慣れない新しい論説には、このような「極端」な理由が紛れ込んでいることが多い。
そりゃあ年間50万ドルかかることもあるだろうが、そうでないことのほうがずっと多いはずだ。
ましてや安価で良質な医療が受けられる日本人にとっては、まったく説得力のない主張に聞こえる。

p91
人は皆、遅かれ早かれ死ぬ。最後の数日、数カ月を生き延びるのに必要な医療費を貯めるために、人生の貴重な数年を犠牲にしてまで働きたいと思うだろうか?

今度は自説を正しくみせたいがために、大袈裟な仮定を設定している。一種の藁人形論法。
「最後の数日、数カ月」の延命治療ももちろんあるが、病気によっては何年も生きられたり、あるいは完治することだってあるのだ。
やはり僕はある程度の医療費は残しておきたい。
しかし筆者はこう続ける。

p91
私は、いさぎよく「墓場で会おう!」と言いたい。

僕は「冗談じゃないよ!」と言いたいw

明日も批判的スタンスでの論評を続ける。



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フレンチ。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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