オーストラリアで新型コロナの感染が急拡大。これでファクターXはマスクに決定か?

今日は新型コロナの話題。
僕にとっては実に大きな発見があった。

僕は以前から最大のファクターXはマスクだと主張してきた。
以下、僕の過去の記事 “日本はなぜ感染爆発を逃れられたのか? ”(5月29日更新)から引用する。

“日本は世界でも珍しい「予防目的でマスクをする国」だ。
一般的な風邪やインフルエンザの場合、マスクによる予防効果はよくわかっていないが、新型コロナでは発症前から感染力が強いことがわかっているから、発症前の感染者が(そうとは知らず)マスクをすることによる拡散防止効果はとても大きい。
逆に欧米では、たとえ風邪をひいてもマスクをする人は少ない。
「マスクをするのは犯罪者」というイメージがあるようだ。
ちなみにスーパーなどでのマスク着用が義務づけられたドイツでは、外出規制緩和後も感染数の減少傾向が続いている。“

中国、台湾、香港、マレーシア、タイ。
封じ込めに成功した国はいずれもマスク着用の習慣がある。
そんな中、唯一の謎は、
「なぜオーストラリア、ニュージーランドは封じ込めに成功したのか?」
というものだった。
両国では欧米と同様、マスク装着の習慣がないのに、ウイルスの封じ込めは実にうまくいっていた。
先日、その謎が解けたのでご報告する。

まずは両国の封じ込め成功までの経緯。
ニュージーランド
3月19日 ニュージーランドへの渡航者の全ての入国が禁止(ニュージーランド市民および永住者を除く)。この日の新規感染者 142人
3月25日 ロックダウン開始。この日の新規感染者数 285人

オーストラリア
3月20日 オーストラリアへの渡航者の全ての入国が禁止(オーストラリア市民および永住者を除く)。この日の新規感染者 167人
3月23日 不要不急な大規模行事への参加を控え、バー、ナイトクラブ、レストラン、映画館、宗教施設、カジノ、ジム、デパート、美術館などが閉鎖。この日の新規感染者 364人

ロックダウンのタイミングはヨーロッパ各国と同時期で、特に早かったわけではない。
しかしその時点での感染者数はヨーロッパよりはるかに少なかった。
理由としてまず考えられるのは、
・暖かい季節であり、ウイルスの感染力が比較的弱かった(これは東南アジアの多くの国にも当てはまる)。
ということ。
その他にも、
・中国からの旅行者がヨーロッパより少なかった(意外に感じる人もいるかもしれないが、北京からの距離でいうと、シドニーはローマより遠い)。
・共に島国であり、周辺国との人の往来がヨーロッパより格段に少なかった。
といったことが可能性としては考えられる。

ニュージーランドは規制を続け、最後の感染者が回復した6月8日に首相が「勝利宣言」した。
その後、帰国者を中心に最大で1日4人の感染者が報告されているが、ほぼゼロの状態が続いている。
一方でオーストラリアは感染者をゼロまで減らすことなく、ある程度のところで経済活動を再開。
そして今、新規感染者数はうなぎ上りの増加し、ヨーロッパ主要国を追い抜こうとしている。
オーストラリアはオセアニアの震源地になりつつあるのだ。

ニュージーランドは感染者数ゼロまで減らしたのだから、その後も入国者に注意すれば拡大はない。
しかしオーストラリアのようにある程度のところで経済を再開すれば、ウイルスはたちまち拡散することが明らかになったというわけだ。
感染者数のグラフで見ると、立ち上がりの角度は日本の第1波より悪い。
となるとオーストラリアの第1波での成功は、当時夏だったことが大きいように思われる。
オーストラリアでは、いまだにほとんどの国民がマスクを装着していない。

これで「ファクターXはマスク」説に合致しない唯一の状況がなくなった。
やはり鍵はマスクに違いない、と僕は確信の度合いを深めている。
両国が初期に成功したのは、気候条件、地形などが味方した面が大きい。
その後、完全なゼロまで封じ込めたニュージーランドは成功したが、そこまでの対策を取らなかったオーストラリアでは冬の訪れとともに感染爆発が始まりつつある。
このウイルスと戦うのに、マスクはマスト・アイテムなのだ。
さらにオーストラリアでのこの状況は、感染は夏でも広がりはするものの、冬よりはかなりマシであるらしいことを示唆している。

アメリカの哲学者、チャールズ・サンダース・パースは言った。

“事実は、その事実よりも異常な仮説によっては説明できない。仮説が多数ある場合は、最も平凡な仮説を採用すべき。”


みんな、難しく考えすぎだよ・・・。

下はフィナンシャル・タイムズによるグラフ(IEではうまく開けないので、別のブラウザのご利用を)
オーストラリアvsイタリアvsドイツvs日本(指数グラフ・人口当たりの新規感染者数)

ううむ、これがサッカー・ワールドカップのグループ・リーグだったらおそろしいね。




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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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