日本は大丈夫!? ~新型コロナ感染状況を読み解く。

日本での新型コロナウイルス感染者が再び増加している。
こんなブログを書いているせいか、「日本は大丈夫か」との質問があちこちからくる。僕の答えは、「大丈夫。まだ余裕あり」だ。
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恒例のフィナンシャルタイムズHPより、新規感染者数(指数グラフ)。

第1波との最大の違いは、PCR検査陽性者のうち若年層の占める割合が高いこと。
これに関し、とある報道番組でゲストの医師が、「今回の波は若者が中心なので、重症者が少ないのが救いだ」と言っていたので驚いた。
そうじゃないんだって。第1波だって流行は若者が中心だったのだ。

最初と最後とで矛盾してるって? 確かにわかりにくいよね。

僕の考えはこうだ。
3~5月の流行も今回も若者が中心だった。ウイルスの特性を考えれば、出歩くのが好きで恐怖心が少ない若者のほうがうつりやすいに決まっている。
ただし前回はPCRの検査体制がひどかった。たとえ熱がつらく、味覚障害や咳があっても、それが何日も続かないと検査対象に入れてもらえなかったことは、皆さんもご記憶にあると思う。
新型コロナウイルスに感染した若者は、ほとんどが無症状か軽症だったから、たとえ症状が出ても検査を受けられず、結果としてPCR検査陽性は年配者が中心になったというわけだ。
今回の陽性者は経路をたどって検査に至った濃厚接触者が多いのも特徴だ。
それは検査体制が整ったから、と誰でもわかる。しかしそれだけではなく、「経路が追えない感染者」で若者が中心なのも、理由は検査体制が整ったからなのだ。

そんなの当然じゃないか、という人はごめんなさい。前述した医師のように、わかっていない人もいるみたいなので取り上げてみた。

検査状況がまったく違う前回の流行と今回の患者数増多とを比べるには、(タイムラグが大きいのが問題だが)重症者数や死者数を追っていくしかない。
タイムラグを嫌うなら、やはり検査数の影響を受けるので確度は落ちるが、「高齢」の新規感染者数で比較することになる(もちろんそれでも10日程度のタイムラグは出る)。
PCR検査の陽性率も指標になる。現在は東京で4~5%だから第1波より低い。それらを見る限り、まだ大丈夫。4月の流行とは比べるべくもない。
当面は感染者数が多いわりに重症者、死者数が出にくい状況が続くと予想する。
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(こちらは死者数。新規感染者数のグラフとは違う現状がみえてくる。)

とはいえ患者数がここ1カ月で増えているのは事実。
新宿区に限っていえば、ホストクラブなどの集団検査を除いても、PCR検査陽性率は37.3%にも上った(7月3日)。秋冬を待たず夏に感染者数は増えるだろう、と1カ月前に予想していた通りだ。
効果を最大限にするための「新しい生活様式」とは 参照)
緊急事態宣言全面解除以降、実効再生産数は着実に上がっていることになる。しかしそれに対し国民は几帳面に怖がっており、自粛ムードが再び高まってきている。

先週末の新宿、池袋への人出は感染流行前の50%程度にまで減少しているとのこと。このような自粛行動を自主的にとるのだから、日本人は本当にすごい。
先週末、独立記念日を祝う「密集パーティー」が各地で開かれたアメリカとは民度が違うと、某大臣が言いたくなる気持ちもわかる。
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以前も書いた通り、このウイルスと戦うのにロックダウンまでの強硬策は必要ない。自粛レベルとしては、日本だと緊急事態宣言発出前、志村けん氏が亡くなった3月の終わり頃よりちょっと緩いくらいで十分だ。
志村けんが日本を救った・・・のかもしれない
大人数でなければ、会食だってかまわないと思う。ただし僕のお勧めは「月に2回まで」というのも以前に書いた。
新しい「会食」様式について考える

今回の流行でいえば、春先より高温多湿であることも(その程度は未確定であるにせよ)有利な条件だ。
となれば首都圏では今後2週間くらいで患者数の増加は止まり、横ばいになっていくのでは、と予想しておく。
(地方は見当もつかない)
そしてこのあたりのレンジ内で上下しながらの推移というのは、実は政府や専門家の狙い通りなのではないか? 自粛ムードを損なうから、表立ってそうは言えないだろうけど。

というわけで、現状は報道で煽られているほどは悪くないというのが僕の意見。
しかし問題は、今後も多くの国民が自主的な自粛をし続けるかどうか? 日本には数多くの弱点があるのは以前書いた通りだ。
新型コロナウイルス。今後の展開を予想する
この記事は1カ月前のものだが、今のところは大体当たっているようにみえる。

そして問題は秋~冬だ。現在の対策では、こちらは乗り切れそうもない。
甚だ微力ではあるが今後も僕なりに知恵を絞り、できるだけ有益な情報を発信していきたいと思っている。


7/9 朝 雲が厚いがかろうじて晴れている。
なんと今日から次男は修学旅行!学校はよく決断したなあ。僕としては「ベスト・タイミング」だと高く評価している。
秋に延期した学校が多いみたいだけど、(残念ながら)中止が相次ぐ気がしてならない。

(僕の新型コロナ記事に興味をもってくださる方はこちらへ。お薦めの記事がまとめてあります)



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鱈のムニエル、サーモンのリエット、かぼちゃのポタージュ、アレッタのガーリック・ソテーなど。

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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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