スウェーデンで「集団免疫」は成立したのだろうか?


以下は僕が6月7日に上げたブログ記事。失敗したスウェーデンから学ぶ適正な自粛レベルから引用する。。

“新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、比較的緩やかな独自の対策を続けてきた北欧のスウェーデン。ついに死者が4500人を超え、対策の責任者は地元メディアに対し「今よりも、もっとうまくできたはずだ」と対策が十分ではなかったことを認めた。
では優先した経済はどうなったかといえば、一国だけで活性化できるわけもなく、輸出の落ち込みから停滞。またノルウェーとデンマークは、今月15日から入国制限を一部解除し、相互の行き来を再開するが、スウェーデンは死者の数が多いなどとして対象から除外される。まさに踏んだり蹴ったりだ。
4月にはスウェーデンのやり方を支持し、「日本も自粛など必要ない」と主張していた自称・知識人たちは、それについてダンマリを決め込んでいる。"

ところが最近、それらの人々の威勢がいい。というのもスウェーデンでは「直近7日間の新規感染者数の平均値」が6月29日以降下がり続けているのだ。また1日の新規感染者数も、6月24日に過去最多の1803人が確認されて以降は、大きく減ってきている。
一時期はうなだれて見えた公衆衛生機関の主任疫学者アンデシュ・テグネル氏はインタビューで、この戦略が「かなりの程度で」成功したと語った。日本の反自粛派はこの発言に大喜びで尻尾を振り、テグネル氏の顔を今にでも舐めだしそうな勢いだ。
でも、本当にそれでいいのだろうか?

スウェーデンのやり方は一部で勘違いされているのだが、ノーガードだったわけでは決してない。上述した過去の記事でも、僕は「スウェーデン失敗www」とアホみたいに煽るのではなく、下のように続けている。

“新規感染者数の推移をみると、スウェーデンでは4月に入ってからずっと横ばいが続いている。つまり実効再生産数が「1」あたりで推移しているのだ。
感染爆発が起こらなかった理由はというと、スウェーデンでは都市封鎖こそしなかったものの、それなりの対策はしていたから。
箇条書きにしてみる。
・飲食店やバーは営業が可能だが、客同士の密集を避けるため、顧客の間には腕1本分(内山注;スウェーデン人だと80cmくらいか)を目安に適切な距離を確保するよう推奨するとともに、飲食中は常に着席することを義務付けた。
・50人を超える集会は禁止。
・教育機関については高校、専門学校、職業訓練所、大学を閉鎖し、遠隔授業を行うよう推奨。
・店舗やショッピングモールに対して、滞留顧客数を制限し、支払時に列ができずにすむ代替策や間隔を空けた並び方の掲示などの措置を要請。
・企業など雇用主に対しては、可能な限り在宅勤務とすることや、不要不急の外出や出張の取りやめ、近距離での接客の回避などを要請。
・70歳以上の高齢者や感染リスクが高い住民に対しては、公共交通機関の利用も一切避けるよう求め、高齢者には薬局や食料品店での買い物も避けるよう呼びかけ。
スウェーデンは決してノーガードだったわけではない。
考えようによっては今の日本よりもよほど厳しい対策がなされているのだ。“

これがスウェーデン政府がとった対策だ。
高校は閉じられ、50人以上の集会は禁止。
そして近距離での接客の回避が要請されている。日本ではこの要請に従わない飲食店で感染が続出しているのは、皆さんも報道で知っての通りだ。

他のヨーロッパ諸国との差は、単に「ロックダウン」を行ったかどうかにすぎない。
しかし上述したテグネル氏自身が、
「社会全体の移動は大きく減少した。北欧諸国で比較すると、スウェーデンの国内移動は近隣国と同じくらい減少している」
と語っているように、相当な移動の自粛がなされたの間違いない。国が一部旅費を援助するから、どうぞ旅行を楽しんでくださいと、政府が移動を促している日本とは大違いだ。
ちなみに僕もこのウイルスと戦うのにロックダウンは不要と、今から2か月前のブログで書いている。西欧から学ぶ、自粛レベルの目安とは?

下記サイトでは各国のとった対コロナ政策の厳格度が、時期ごとに分かるようになっている。とても興味深いので、お時間があればぜひ覗いてみてほしい。
現時点(8月3日)でみると日本の政策はスウェーデンよりも緩く、4月の非常事態宣言下でみてもスウェーデンとほぼ同等だ。
https://ourworldindata.org/grapher/covid-stringency-index?year=2020-07-31
日本より感染者数が多い国で日本より政策が緩いのは、大統領が「新型コロナウイルスはウオッカで退治できる」と主張しているベラルーシくらい、というのは昨日書いた。


さて、ここからが本題(前置き長っ!)。上述したようにスウェーデンでは6月29日以降、新規患者数が減少。すなわち実効再生産数1以下を実現したようにみえる。
なぜそれが達成できたのかを考えてみよう。

ひとつには「集団免疫の成立」。
この可能性は否定できないし、そうだったらいいなと僕も思う。であれば世界は少し前に想定していたより、早く集団免疫を手に入れられることになる。
しかし僕はまだ懐疑的だ。理由はというと、人口当たりの累積感染者数でみると、スウェーデンは決して多くない。アメリカ、ブラジルを始め、多くの中東諸国よりも少ない。
もしスウェーデンで集団免疫が成立しているのなら、それらの国々でも成立しているはずだが、アメリカやブラジルで流行終息の兆しがみられないのは、皆さんも報道でご存じの通りだ。
(しかし都市限定でなら成立もありうる、とは付け加えておく。)

では、なぜスウェーデンで新規感染者数が減っているのか? 集団免疫以外の2つの可能性を挙げたい。
ひとつには「夏」の影響が考えられる。このウイルスは紫外線や湿度に弱い。夏になっても一部の専門家が期待したほどは収まらなかかったが、冬よりも御しやすいのは確かだ。
日本など高温多湿の国では、エアコンの効いた国内で感染が広がったが、スウェーデンの夏は涼しい。屋外でより長く過ごしたり、屋内であっても頻繁に換気をするのが容易なのではないか。

もうひとつの可能性は学校の夏休みだ。スウェーデンの小中学校と保育園・幼稚園は一度も閉鎖されず、継続して開かれてきた。秋と春の2学期制で、春学期が終わる6月上旬から新学期が始まる8月中旬まで長い夏休みがある。
そう、スウェーデンで新規感染者数が減り始めたのは、学校が夏休みに入ったおよそ2週間後なのだ。
先日、「子ども向けのサマーキャンプで、少なくとも260人が新型コロナウイルスに集団感染していた」との報道がアメリカでなされた。また、新型コロナウイルスに感染している5歳未満の子どもは、年長の子どもや成人に比べ、鼻粘膜に含まれるウイルスの量が多いという研究も報告されている。
幼児や学童が新型コロナウイルスの「最強の運び屋」であった可能性が急浮上しているというわけだ。
スウェーデンでの新規患者数の減少は学校が夏休みに入ったためであり、その場合は学校が始まる2週間後、すなわち9月には再度感染が拡大する可能性がある。
もちろん子供だけではない。夏季休暇により多くの職場が閉まっている点にも留意したい。
スウェーデンは夏季長期休暇は絶対であり、非常に多くの人々が4~5週間の長期休暇を取得する。このことが新規感染者数の減少に寄与している可能性は頭におくべきだろう。

集団免疫か? それとも気候や長期休暇の影響か? 答えは1~2か月後に明らかになるはずだ。僕は後者に830クローナほどベットしておきたい。そちらのほうが論理の整合性が取れると思うからだ。
ただしそう言い切るほどの根拠はない。集団免疫が成立している可能性に期待した上で、今後も注視したい。



追記1 一部マスコミはスウェーデンが「集団免疫戦略」をとったと報道しているが、そのような事実はない。少なくともスウェーデン当局は認めていないことを加えておく。

追記2 スウェーデンが集団免疫を獲得したと仮定して、もしそれを日本で真似たいのなら、まず、あまり自粛はせずに新規感染者数を今の5倍に増やす。そこから自粛を開始し、実効再生産数1を3か月間続ければ、条件的には6月末のスウェーデンと同じになる。医療崩壊必至だが。
医療体制、住環境、人口密度も違う。そう簡単に真似られるものでないとご理解いただきたい。

追記 3
スウェーデンの人口は約1000万人で、報告されていない死亡者数を含めると、既に日本換算で10万人位コロナで亡くなったことになる。ちなみにストックホルムの人口密度は4600/km2, 東京23区の人口密度は15000/km2。
同様の方法をとると、日本ではその数ではすまない可能性が高そうだ。

本記事の作成には、covid-19 i Sverigeさんにご協力いただいた。感謝申し上げたい。





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ふわふわオムライス。
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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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