新型コロナウイルスの致死率はどのくらい? 本当にインフルより怖いの?


まずはヤフーニュースから引用。

“国立感染症研究所は、新型コロナウイルスの感染者のうち、亡くなった人の割合を推計したところ、第2波では0.9%で、第1波より大きく減ったと発表しました。
致死率は、1月から5月のいわゆる「第1波」は、5月末時点で、5.8%で、6月以降のいわゆる「第2波」では、8月19日時点で0.9%でした。
第2波は、第1波と比較して亡くなる人の割合が4.9ポイント低くなっています。“

ふんふんと読んですぐに忘れたのだが、後日これが大きな話題になっていると知った。
反自粛の論客が「ほら、新型コロナウイルスでの致死率はインフルエンザとさほど変わらない!」と主張を強めているというのだ。
なんでそうなるの?
一般の方ならもちろんかまわないが、新型コロナについてメディア露出している人で、そのレベルの発言をしているようなら今後は口を閉ざしたほうがいい。何も理解していないことを図らずも露呈してしまったからだ。
その理由を説明する。

まずインフルエンザの致死率について。7月のブログ記事「致死率は0.5%から1%。日本で特に低いわけではない」から引用する。

“皆さんご存じの季節性インフルエンザにおける致死率は0.1%以下とされている。これを約0.1%と勘違いしている人が多いが、実際は0.1%よりはるかに低い。インフルエンザにかかった人の1000人に1人が死んでいたら大騒ぎだし、皆さんにもそんな実感はないはずだ。
これは、
「世界の医療水準が低い地域では、さほど重症ではなくても死んでしまうことがある。そういう地域でもせいぜいで0.1%」
あるいは、
「インフルエンザ関連死も考慮して推定した超過死亡を分子にすると0.1%」
といった意味。あくまでも最大で0.1%なのだ。
日本での季節性インフルエンザの致死率は0.02~0.03%で、しかもここには新型コロナの場合と違い、無症状感染者を含んでいないから、実際の致死率はもっと低い可能性がある。“

ちなみに上で書いた致死率とは致命割合CFR(case fatality rate)のこと。分子は当然死亡者数で、分母は診断された人の(推定)人数となる。
そして今回国立感染症研究所から発表された新型コロナウイルス感染症の致死率は同じCFR。分母は検査陽性者数となる。無症状者にどんどん検査を広げ陽性者を見つけ出せば、CFRは下がっていくのが当然なのだ。
特に日本ではホストクラブで集団検査を行った。若年層を対象に検査を増やし、陽性者が一定数見つかればその傾向は強まる。高齢者がほとんどいない出稼ぎ労働者の寮で集団検査をしたシンガポールでの致命割合が低いのと同じ論理だ。

さらに感染致命割合IFR(infection fatality rate)という考えがある。これは実際に診断された人ではなく、感染したであろう人の数を分母に据える。新型コロナで言えば、たとえば抗体検査陽性率から算出した推定感染者数を使ったりする。
これは検査を受けていない陽性者も含む分だけ分母が大きくなるから、CFRより数字は小さくなり、少し前のネイチャー誌の論文では世界で大体0.5-1.0%程度とされていた。しかし最近の感染は若年層を中心に広まる傾向があるし、治療技術も少しずつ進歩しているから、その後低下傾向にあるようだ。
さらに抗体ができなかった人、なくなった人、細胞性免疫などを考慮すればさらに低いという考えもある。

では上記の数値がまったく的外れかというと、その可能性は低そうだ。というのもラッセルらによってなされた報告がある。
全数PCR検査が行われたダイヤモンドプリンセス号での集団感染から得たデータを利用して、中国でのIFRを計算した結果、0.6%程度と算出している(株は武漢型ということになる)。これは分母に推定抗体保有者が使われていないという意味では利用しやすい。
しかしもちろんこの数字をそのまま現状に当てはめることはできない。主な理由は3つ。
・ 一般化するには母集団が少なすぎる
・ 若年層を中心に感染が進むことを想定していない
・ デキサメサゾンなどの治療効果を含んでいない
となれば現状のIFRはこれより低い可能性が高い。しかし同時に、これより一桁少ないとも考えにくい。

また新型コロナウイルス感染者が死亡した場合、どこまでを感染による死者にするかも問題視されていることを指摘しておく。国際的なルール作りが待たれるが、何にせよこれでIFRが半分以下に押し下げられるようなことは考えにくい。
となると今後しばらくの間、IFR は0.1-0.4%程度で収斂するのではなかろうか?
確実な根拠を示すのは不可能であり、ざっくりとした数字にならざるをえないのだが、上記知見を総合的に考えると0.5%以上のままというのも、かといって0.1%を大きく下回ることも考えにくい。
もちろん今後、ワクチンや治療薬が開発されれば話はまったく別になる。

話を国立感染症研究所からの発表に戻す。
どの国でも検査をどんどん拡充していけば、その分無症状者も捉えるようになるから、極端に言えば最終的にはCFRの数値もIFR程度まで落ちることになる。
今回の発表をうけ、
「日本での致死率は下がってきている!弱毒化したんだ。怖がる必要はない!」
と主張している人は、今日書いたような基礎的なことを理解できていないと考えていい。

今日のまとめ。致死率にはCFRとIFRがあることを理解しよう。正確な数の算出は不可能とはいえ、大体の見当をつけることにより、その病気をどの程度怖がるべきかがみえてくる。
インフルのCFRは0.02~0.03%。
新型コロナウイルスの日本でのCFRは最近下降し、0.9%にまで至った。
インフルのIFRは推定するしかないが、CFRの半分以下と考えてまず間違いない。となると0.01%程度。
新型コロナウイルスでのIFRは少し前の論文だと0.5-1.0パーセントだが、今後0.1-0.4%あたりに落ち着きそうというのが僕の予想。
つまり現時点で新型コロナウイルスはインフルより一桁致死率が高い可能性が高い。
それに加え、無症状者からの感染が多く拡大しやすく、院内感染も起こりやすい。春夏になっても自然に終息してくれないという特徴がある。
実にやっかいなウイルスと人類は遭遇してしまったようだ。

現時点でインフルと同等に扱うのは到底無理というのが僕の考えだ。


注 ちなみにimplied のIFR、IIFRという指標もある。僕のブログではそこまで踏み込まないので、興味のある方はご自身で挑戦してほしい。



IMG_6504.jpg
豚肉と仔牛レバーのカイエット。
お盆から日がたったが地元ではほとんど感染者なし。自粛度を少し緩め、妻と近所のフレンチで久々のランチを楽しんできた。
スタッフはマスク、客は手消毒あり、テーブルはひとつ飛ばしで同じグループでも斜めに席をセット、と完璧な対応。


ランキングに参加してます。
記事を楽しんで頂けたようなら、ぜひ一票を。
    ↓
にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村

お手間でなければ、こちらも。

感染症・ウイルスランキング

スポンサーリンク

内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

自著の紹介

ツイッター(更新告知など)

ブログ・ランキング参加中

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

全記事表示リンク

プライバシーポリシー

検索フォーム