新型コロナはどうなる? 今後の日本を占う。


今後、新型コロナウイルスによって日本はどのような事態を迎えるのだろうか?
今日は僕の考えをまとめたい。かなりの分量になるが、ワイドショーを見るよりはずっと情報は多いはずだ。
このウイルスに興味がある方、今後の日本を憂いている方にはぜひ読んで頂きたい。

まずはここまでの展開。皆さんご存じの通り、日本での人口当たりの死者数は世界のほとんどの国よりずっと少ない。それを受けて「日本はうまくやってきた」と解説する自称・知識人も多い。
日本はうまくやってきたって? 具体的には何をしたの?
ほとんど何もしていないじゃないか!

なぜ日本で死者数が少ないのか。まずは致死率を考えたい。
検査陽性者数を分母とした致命割合(CFR)は、日本は決して低くない(参照記事;致死率は0.5%から1%。日本で特に低いわけではない)。
そう言うとよくある質問がこれ。
日本は検査数が少ないからではないのか?
答え。その分陽性者も少ないから、CFRの数字としては問題ない。指標となるPCR陽性率でいえば、たとえばイタリアなどのほうがよほど高い(すなわちCFRは高くなりやすい)。
あるいは、日本では致死率が下がっているはずだけど、という質問。
答え。これは日本に限ったことではなく、世界的な傾向だ。若年層で感染が広まり、かつ検査数が増えれば当然致死率は(計算上は)下がっていく。究極的には感染致命割合(IFR)レベルにまで下がりうると考えるべきだ(参照記事;新型コロナウイルスの致死率はどのくらい? 本当にインフルより怖いの?
また、報告された限りでいうと致死率は中国、韓国、台湾といった東アジアの国々(地域)よりも高いことは押さえておきたい。

ちなみにこれはそのIFRの国際比較。抗体検査陽性者を分母にしていることが多い。

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年齢調整を行っているため、少子高齢化が進んだ日本では数値が高く出ている面もあるのだが、45カ国中日本の致死率が最悪となっている(グラフの右端)。
このようなデータがあること、そしてこのような事態が実際に起こりうることは記憶にとどめてほしい。

「致死率が低くはないらしいのはわかったけど、日本人は体質、免疫、BCG接種といったファクターXのお陰で感染しにくいんじゃないの?」という意見もある。
しかしそれをはっきりと示す所見は今のところみつかっていない。あくまでも仮説であって、なんの証拠もないのだ。
それに、このグラフをみてほしい。

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8月1日の時点での新規感染者数だ(対数グラフ)。グラフの右側、7月あたりの動きを見ると、ヨーロッパのほとんどの国々より感染拡大率が高いことがわかる。これは6月下旬に感染が拡大したことを意味する。
6月には確かに人出が増えた。5月で緊急事態宣言が解除されたのだから当然の動きだろう。しかしほとんど皆がマスクを装着していたし、引き続き外出を自粛していた人も多かったはずだ。
それなのに新規感染者数はこれだけの伸びを示したのだ。「日本人は感染しにくい」と信じ、好き勝手に行動するわけにはいかなそうだとわかる
ではなぜ日本は第一波をあのレベルに抑え込むことができたのか。一番の理由はやはり「マスク」だろう。
米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は7月14日、新型コロナウイルス感染予防のために米国民全てがマスクを着用すれば、現在の感染拡大を4-8週間以内に抑え込むことができるとの考えを示した。
7月21日にはトランプ大統領さえも「マスクには効果がある」と認め、全てのアメリカ国民に対してマスクを着用し「愛国心」を示すよう求めたことは、報道で知っている人も多いと思う。
さらにマスクには「感染者が人にうつしにくくする効果」に加え、「自分自身をウイルスるから守る効果」も大きいことが分かってきている

感染拡大初期から当たり前のようにマスクをしていた国々では、欧米のような感染爆発が起きなくて当然だった可能性が高い。皆がマスクを装着する対策をユニバーサル・マスキングと言う(参照記事;ユニバーサル・マスキングとは? 僕がもっとも有効と考える新型コロナウイルス対策)。
ちなみに僕は以前からファクターXはマスクであると考え、主張してきた(僕が考えるファクターX ~ 前編 感染者数)。それを裏付ける所見がどんどん出てきて、さらに確信を深めているところだ。
例えばこれ。権威ある医学誌、The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE に掲載された論文

要約すると、
集団的マスク着用は新規感染率を低下させるのみならず、ウイルスの暴露量を減らすことで、無症状感染者の割合も増加させるのではないかという仮説が成立する。例えばアルゼンチンのクルーズ船で発生した最近の集団感染では、乗客にはサージカルマスクが、スタッフにはN95マスク配られていたが、無症候性感染の割合は81%だった(一方で、乗員がマスクを着用していなかった以前のクルーズ船の集団感染では、無症候性感染者は20%にすぎなかった)。
米国の食品加工工場で最近発生した2つの集団感染では、すべての労働者に毎日マスクが配布され、マスクの着用が義務付けられていたが、500人以上の感染者のうち無症状感染の割合は95%で、軽度から中等度の症状を経験したのは5%にすぎなかった。

集団的なマスク着用は、感染率と疾病の重症度の両方を低下させる証拠が蓄積されてきている。
マスク着用で感染しにくくなり、感染しても無症状ですむ確率が高い。しかもそれで免疫も得られる可能性もある。
従来から言われてきた「感染者が周囲にうつしにくくする効果」だけでなく、「装着することによって感染を予防する効果」も想定されていたより大きいことが示唆されている。
マスクがもたらす多大な効果には、もはや疑う余地はなさそうだ。
しかしもちろん、マスクがすべてなどとは言わない。
クラスター対策班や保健所職員等による献身的なクラスター対策、マラソンなど大規模イベント休止、休校要請により国民が早期(2月後半)から危機感を共有できたこと、手洗いや毎日の入浴などの高い衛生意識、ハグや握手、大声での会話などが少ない生活文化、早期から3密を避けたことも感染拡大防止に有効だったはずだし、医療レベルが高く医療崩壊が起きなかったこと、肥満率が低いこと、国民皆保険により平均的な健康状態が高いことは致死率を抑える要因になっているはずだ。

長くなってきたので、一旦ここまでのまとめ。
日本人は感染しにくい、あるいは致死率が低いと考えていい証拠はどこにもない。むしろ世界標準に近いとのデータが積み上がってきている。
それを踏まえてこれからの日本はどうなるか?
僕はかなり悲観的に考えている。

日本が抱える最大の問題は冒頭に書いた「それなりにうまくやってきた」との勘違いにある。だから欧米が科学的データに基づいて対策を検討しても「あれだけの死者を出した欧米の対策なんて参考にならないよね」と端から軽視してかかってしまう。
日本がうまくいったのは「たまたま」で、欧米で感染爆発が起きたのは「不幸な偶然」という可能性を踏まえながら考察している人は非常に少ない。
欧米は悲惨な感染爆発から多くを学び、着々と対策を進めてきている。基本方針はマスク装着、ソーシャルディスタンスの確保、高リスク施設の時間短縮や閉鎖。それに加えて最近顕著なのは、「検査数を増やし感染者を早期隔離することによって、できるだけ陰性者で経済を回す」という動きだ。
たとえばアメリカのバーバード大学。キャンパスに入る教官やスタッフには週に1-3回の検査を課すことによって、一部対面授業を再開している。
検査数や結果は誰でもチェックできるよう公開されている
イリノイ大学の検査プログラムはnature誌に掲載されている。
検体は唾液。結果は携帯のアプリに24時間以内に送られる。建物に入るには週に2回検査を受けていることを示す必要あり。陽性の学生の一部がパーティーに行き一時急増したが、その後は65%まで減少、
と記されている。最初こそ混乱もあったようだが、軌道に乗りつつあることがわかる。
ちなみにアメリカ、アボット社の抗原検査キットは1回5ドル。
10月には5000万キット(!)を生産する予定だが、それでも需要にまったく追いついていないとのこと。もちろん抗原検査の方法はこれだけではない。この商品だけでこれだけの数ということ。
その場で判定ができないというデメリットはあるものの、1回1-2ドルでできる検査も注目を集めている。
検査不足で批判されていたイギリスも、大規模な拡大に舵を切った。以下はニューズウィークの記事から引用。

ハンコック保健相はBBCラジオで「全人口の検査導入で国民が定期的に受けることが当たり前になり、自由を幾分取り戻すことができる」と述べた。英南部ポートンダウンにある政府の研究所が、より早く結果を得られるように研究所に検査を送る必要がない新たな唾液検査を試していると述べた。

これにあてる予算はたった5億ポンド(約700億円)。なぜ日本でこれができないのか、不思議でならない。

かたや日本はどうか。以下はヤフーニュースからの引用。

田村憲久厚生労働相は20日のフジテレビ番組で、冬の新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行に備え、抗原検査を1日20万件実施できる体制について11月を目指して整備する考えを示した。

これから頑張って、国として1日20万件。これは症状があるため病院を受診した患者さんや濃厚接触者の検査は、なんとか滞りなくできるようにしたいという程度の方針だ。
完全に周回遅れていることがわかって頂けると思う。

世界のほとんどの先進国が行動規制と検査により感染を抑え込み、その上で経済を回そうとしている中、日本は検査体制の構築より小手先の景気浮揚策を優先し、そこに多額の国税を投入している。ご存じGoToトラベル、GoToEATだ。
世界の先進国で唯一日本だけが、抜本的な拡大防止策に手をつけないまま、カンフル剤を打ち続けている。風邪をひいたのに安静にせず、精力剤を飲んで無理やり動いているようなものだ。
感染防止対策がないまま強引に人を動かせば、もちろん感染者は増える。そうすればいくら鼻の先に人参をぶらさげられても、国民は再度自粛し経済は停滞する。
当たり前じゃないか?
イギリスは日本の Go To Eat と同様の政策「「Eat Out to Help Out」を8月に行い、9月に入ってからは新規感染者数が急増している。そのため先日、飲食店に営業時間の短縮要請がなされた。
多大な国費を注ぎ感染を拡大させ、結局飲食店自粛で利益は帳消し。本当に馬鹿みたいな話だ。
フランスは国民に国内旅行を推奨。その結果現在、ひどい感染者数の増加に苦しんでいる。
これだけのデータがありながら、世界で唯一これらの愚策を止めず、かつ拡大させようとしているのが日本というわけだ。
現政権に危機意識が薄く、ひどく無策であることがわかっていただけたと思う。せめて欧米並みにリスクの高い業種への休業・時短要請が出せれば(もちろん相応の補償はあってしかるべきだ)、もう少し効率よく経済を回せるのだが、そこには関心がないようだ。
そのため国民は各自が自己判断の元に自粛せざるを得ず、結果としてひどく効率が悪い感染防止策になっている。経済の落ち込みは多数の死者を出したアメリカ並みに悪いという悲惨な結果だ。
日本はちっとも「うまくやって」などいないのだ。

さらに日本には独特の問題がある。これについては6月に書いた記事、新型コロナウイルス。今後の展開を予想する。から引用する。

欧米と比べて日本が不利と思われる点を並べる。
・高齢化が進んでいる
・屋台・畳文化のせいか、非常に小さな飲食店が多い
歌舞伎町が代表的だが、どの街でも古い繁華街にはこの手の小さな店が多くみられる。
これらではソーシャルディスタンスがとりにくい他、中・大規模店と比べ経営者の意識が低く、スタッフがマスクを着用しないケースが多くみられる。
・クラブ・キャバクラが多い
これらは日本独自の文化といっていいだろう。アジアでは売春とセットになっていて店舗数は少ないし、欧米ではほとんど見られない。
・ホストクラブが多い
シャンパン・コールも日本独自の文化と言っていいだろう。密閉空間での大声はマスクをしていても危険に思える
・ライブハウス、(踊る方の)クラブも欧米と比べると小さい店が多い
それに比べると欧米は大きめの箱が多く、規制によってソーシャル・ディスタンスを確保するのが容易だ
・プライバシーへの意識が高く、公に個人情報を渡すことを極端に嫌う
行政が接触者を追跡したり、迅速に補償を行うことを困難にしている
・行政の権力が弱く、休業などに際する強制力がない
・行政が硬直しており、柔軟性では世界最悪レベルといえる

という具合に、僕は6月の時点で「日本こそ」今後はしっかり対応する必要があると主張していた。おおむね予想通りの厳しい状況になっている。
この冬、日本では感染が拡大すると考えて間違いないが、おそらく医療崩壊を起こすところまではいかない。民度の高い国民が勝手に外出を自粛してくれるからだ。
しかしそれにより経済は壊滅的な被害を受けることになるだろう。
というのも本来なら、自粛は夜の街や(特に大人数の)会食程度でいいのだ。三密を避け、換気には気をつける。そうやってハイリスクな場所さえ抑えればより効率よく感染拡大を防止できるはずで、ほとんどの国ではそれに沿った対策が試行錯誤されている。
日本では政権が何もしてくれないから、国民が自己判断で自粛せざるをえない。そうすると、本来ならハイリスクではない行動まですべて自粛し、ひたすら家に籠るようになってしまう。自主的ロックダウンとでもいえる状況であり、実際の感染状況に比べ経済的損失が大きくなって当然だ。
日本の政府総債務残高(対GDP比)は237%(2018年)と世界最悪だ。EUの優等生であるドイツは62%だし、赤字国債発行額の増多が問題視されているアメリカだって104%に過ぎない(すべてコロナ禍以前の数字。現在はもっと悪いはずだ)。
身の丈以上の財政支出を続ければ、財政破綻やハイパーインフレといった破滅的状況を来す可能性もある。だからなおのこと効率的な政策に基づいた支出が必要なのだが、感染拡大中に景気刺激策を打ち、実質的な効果が出ないまま財源だけが減っていくという大変な愚策を続けている。
じゃあ、どうすればいいのか? 僕の考えは以前まとめたものからまったく変わっていないので、ここでは書かない。興味のある方は下記をご覧いただければと思う。
この冬、新型コロナから日本を救うにはこの策しかない!
これとほぼ同様のものを主要マスコミ各社に複数回送付したが、ひとつも返事は来なかった。もしこれが僕独自の発見なら、専門家でもない一医師の情報提供など無視されてもしかたがない。しかしこれははっきりした世界の動きだ。それに反応しないマスコミの能力を疑わざるをえない。
最近、アメリカ、イギリスの報道をチェックすることが増え、素晴らしい記事が多いのに驚いている。科学的記事を専門に書くライターが多くいるに違いない。
日本のマスコミはほぼ文系の記者だけで、科学論文を読んだり、科学的に思考する訓練を受けていないのかもしれない。レベルの高い記事はまずみつけられないのが実情だ。
ちなみに僕にできる唯一の(窮余の?)策として、ツイッター・リツイートで世論を後押しする草の根運動を行っている。ツイッターをしている人にはぜひ下記スレッドをリツイートしてほしい。あなたのリツイートが日本をまともな方向に後押ししてくれるかもしれない。
https://twitter.com/3Cj0MeO8oomX9C6/status/1295468577613438977

新型コロナウイルスに対し、引き続き積極的な感染防御策をとってくれそうもない菅新内閣は、高支持率で発足のこと。
もしあなたが支持者のひとりなら、この内閣で迎える冬がどれほど悲惨なものになるか、ぜひ想像していただきたい。

正直に言って、僕はあきらめつつある。なんとか冬に間に合わせたいとの思いからブログ、ツイッターで発信を続けてきたが、同調してくれる人は多くない。僕の提言が冬に間に合わないことは、ほぼ確実な情勢だ。
1年後、日本は唯一経済を回せていない先進国として、世界中から笑いものになっている可能性はかなり高いと思っている。
僕自身は自分の身を守る。株を始めて以来、初めて日本株保有をゼロにした。日本がどこまで沈むのかわからない以上、もはや日本株は持てない。
自分が感染することや、人に感染させることを防ぐため、基本的には外出自粛を続けるが、感染が落ち着くタイミングでは友人の店を訪れ、できるだけお金を落とす。
僕にできるのはせいぜいそのくらいのようだ。

言葉もないままに、あきらめの秋。
自分の無力さに肩を落としている。



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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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