伝統仏教愛好家の僕が、「1冊だけ」と言われれば、お薦めするのはズバリこの本だ。

以前にも書いたが、伝統仏教が好きだ。
特定の宗教団体に属すことはない。信心深くもない。個人的には伝統仏教は「宗教」ではなく幸福への道を説く「哲学」だと思っていて、その内容に共感しているのだ。
仏教の本はかなり読んだ。一番多く読んだのはアルボムッレ・スマナサーラ氏のもので、山ほど本が出ている。
次は小池龍之介氏。「考えない練習(小学館)」がベストセラーになったし、一時期はマスコミにも露出していたので、ご存知の方も多いだろう。素晴らしいものがいくつもある。
そんな中、もし僕が伝統仏教の本を1冊だけ勧めるとしたら・・・、ずばり、草薙龍瞬氏による「反応しない練習」(KADOKAWA)になる。
正直に言って、タイトルはよくない(賭けてもいい。著者ではなく、出版社の意向のはずだ)。小池龍之介氏のベストセラー本に便乗したと言われても、しかたがないと思う。
しかしその内容はというと、現世に生きる我々にも参考にできる伝統仏教のエッセンスがつまっていて、実に勉強になるのだ。
一部を引用する。まず46P。

”○ 悩みの原因は、”心の反応“ である。
○ “心の反応” の背景には、“求める心” や “7つの欲求” (特に承認欲)がある。
○ 心の状態をよく理解するには ―― ①言葉で確認する、②感覚を意識する、③貪欲・怒り・妄想の3つに分類する。
こうした理解によって、苦しみを作り出しているムダな反応を解消していくのです。”


そして、終盤。219P。

“人間が抱える、どんな悩み・苦しみも、きっと解決できる。必要なのは、その「方法」である―― それがブッダのメッセージです。
「方法」とは、心の使い方のこと。反応して苦しむのではなく、正しく理解し、苦しみの反応をリセットし、人生に最高の納得をもたらす考え方・生き方のことです。ブディズムとは、そういう生き方 ―― 道 ―― の実践なんだと理解してください。“

本当にそうだと思う。僕らが苦しむのは、不必要な「反応」をするからだ。
たとえ罵詈雑言を浴びせられても、「おやおや、ずいぶんイライラしているようですね。腕なんて震えてますよ。さぞかし気分が悪いことでしょう。お気の毒に。でも僕は僕で納得の上で行動していますので、あなたの怒りは受け取りません。どうぞ持ち帰って、ご自身で処理されてください」とでも考えて、涼しい顔をしていればいいのだ。
そのために必要なのは、できるだけ欲を捨てること。特に承認欲求のくだらなさに気づくこと(その人に認めてもらうことって、そんなに大切?)。
怒りは自分を損なうだけだと理解すること(どうしても収まらないときは、怒りの感情を憐れみに置き換えるのも、姑息だが有用だ)。
意識的でない「考えごと」は自分の脳内ですでに歪められており、「真実」ではないので、できるだけとらわれないようにする。そのために必要なのは、心の状態を常に客観的に観察すること。
仏教で言えば「サティをいれる」だし、心理学なら「メタ認知」にあたる。そういう気づきによって感情が暴走することを防げば、僕らは今よりもずっと平穏な気持ちで日々を過ごすことができるはずだ。

しっくりくるかな?
わかりにくいよね(笑)

いくら名著の助けを借りても、仏教の真髄を1回の記事で紹介するなど不可能だ。もし興味がわくようなら、この本で仏教の教えをチョコッとかじってみることをお薦めする。
仏教のいいところは、たとえわずかな実践であっても、やった分だけしっかり返ってくること。確実に効果を感じることができる。
ハードルを高く設定して、いきなり「解脱」を目指す必要などない。
既成の価値観が崩壊しつつある今、釈尊の教えが再び必要とされていると僕は考えていて、自著 ”幸せの確率” 、”4週間で幸せになる方法” もその影響を一部うけている。
そちらのほうも機会があれば、一度手に取ってみてほしい。



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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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