僕たちは自然選択によって、食やセックスを求めるよう設計されている ~ なぜいま、仏教なのか1


今回、紹介するのは、ロバート・ライト著「なぜ今、仏教なのか(早川書房)」。
原題は過激で、「Why Buddhism Is True」。
すなわち、なぜ仏教は真実なのか? となる。

著者は僧侶ではなく、さらには仏教徒ですらない、アメリカ人科学ジャーナリスト。科学的データを中心に議論を展開していく。この本が、滅法おもしろい。
最初は図書館で借りたのだが、朱線を引きまくらずにはいられない誘惑にかられ、すぐさまアマゾンで購入した。アマゾンでの評価もすこぶる高い。
そりゃあ、そうだよなあ。僕も科学者の端くれ、一生に1度はこんな本を書いてみたいものだ、と軽く嫉妬さえ覚えるような素晴らしい内容だった。
ここまでの名著だと引用が逆に難しい。全文を書き写したくなってしまう。
でも、もちろんそんなわけにはいかないので、このブログでは本書の冒頭部分からいくつか紹介するにとどめておく。
もしこのブログで興味をもたれるかたには購入を積極的にお薦めしておく。平易とは言わないが、よほど本が苦手な人でなければ十分に理解できる内容だと思う。
今まで信じてきた価値観が激しく揺さぶられること請け合いだ。

今日は、「なぜ快楽はしだいに薄れるのか」という命題について。ブッダは「人生は苦であり、それは欲があるからだ」と言っている。その考えに科学的整合性はあるのだろうか?
以下は引用文。

p17
“ドーナッツが目の前にあればすぐにどんなにおいしいだろうと想像するが、食べた直後にどうしてももう一つ欲しくなるだろうことや、しばらくして糖分による高揚がおさまると軽い疲れやいらだちを覚えるだろうことは想像しない。
なぜ快楽はしだいに薄れるのか?
(中略)
基本の論理はこうだ。私たちは自然選択によって、祖先が遺伝子をつぎの世代に伝えるのに役立ったこと―食べる、セックスする、ほかの人の尊敬を得る、競争相手をだしぬくなど―をするように「設計」されている。(中略)もし遺伝子を拡散するのがうまい生物をつくりたいなら、どう設計すればそれにふさわしい目標を生物が追及するようになるだろう?(中略)理にかなった設計の基本方針が少なくとも3つありそうだ。
1.こうした目標を達成することで、快楽が得られなければならない。なぜなら、人間をはじめ動物は、快楽をもたらすものごとを追及する傾向があるからだ。
2.快楽は永遠につづいてはならない。快楽がおさまらなければ、ふたたび快楽を求めることはない。はじめての食事が最後の食事ということになる。二度と飢えがもどってこないからだ。セックスも同じで、一度の交わりのあと一生そこに横たわって余韻にひたっているのは、つぎの世代に大量の遺伝子を伝えるための正しい方法とはいえない。
3.動物の脳は、1の「快楽は目標に付随して起こる」ことに集中するべきで、2の「快楽はそのあとすぐ消失する」ことにあまり集中してはならない。1に集中すれば、食べものやセックスや社会的地位などをまじりけなしの純粋な熱意で追及するだろうが、2に集中すると、矛盾した感情が生まれるおそれがある。たとえば、快楽を手にしたとたんそれがすぐに消えてしまい、もっと欲しいという渇望が残るのなら、そこまで必死になって快楽を追求してなんになるだろう、と考えはじめるかもしれない。そのうち、ものうい気分が高じて哲学を専攻すればよかったと思いかねない。“

哲学を専攻すればよかったと思いかねないって(笑)。
こういうアメリカン・ジョークって、好きだなあ。
さらにこう続く。

“以上3つの設計方針を組み合わせると、ブッダが解き明かした人間の苦しみをかなり納得のいく形で説明できる。たしかに、ブッダの言うとおり快楽は一瞬で消えうせる。そして、たしかに、ふたたび不満が残る。快楽がすみやかに消えるように設計されている理由は、つづいて起こる不満によって私たちにさらなる快楽を追求させるためだ。しょせん、自然選択は私たちが幸せになることを「望んで」はいない。ただ私たちが多産であることを「望んで」いるだけだ。そして、私たちを多産にする方法は、快楽への期待を狂おしいものにしつつ、快楽そのものは長くつづかないようにすることだ。”

“すべての根底にあるのは幸せの妄想だ。ブッダが強調したとおり、よりより気分になろうとがんばっているあいだは、「よりよい」気分でいられるだろう時間を過大に見積もってしまいがちだ。そのうえ、「よりよい」が終われば、あとには「より悪い」がつづくこともある。いらいらと落ち着かず、もっと欲しくなる。心理学者が快楽のランニングマシンについて記述しはじめるよりずっと前に、ブッダにはそれが見えていた。”


今回引用した内容について、僕自身は心底納得できているので、数年前、それなりに高収入であった開業医の職を捨てる踏ん切りがついた。お金で買えるような喜びの先に、たいした幸福はないだろうと考えている。
その経緯は、"幸せの確率 あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ"で詳述しているので、興味のある方がいたら手に取ってもらいたい。
明日以降も「なぜ今、仏教なのか」の紹介を続ける。
今日紹介した部分は序の口。すごいのはここからなのだ、ウシシシ。



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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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