人間の心は専門化された機能単位からなっていて、行動を決定づけるのはそれらの相互作用にすぎない!?~ なぜいま、仏教なのか3


今週、紹介しているのは、ロバート・ライト「なぜ今、仏教なのか(早川書房)」。
原題は過激で、「Why Buddhism Is True」。なぜ仏教は真実なのか、というものだ。
昨日から「無我」についての部分を引用していて、今日は予告通り「モジュール」に触れる。個人的には「ウヒョーッ!」となるほど興味深い。

p110
“心理学、とくに進化心理学の分野で一般的になりつつある答えは、心が「モジュール」的な構造をしているというものだ。この考え方では、人間の心はたくさんの専門化されたモジュール―状況を判断して対処するための機能単位―からなっていて、人の行動を決定づけるのはこうしたモジュールの相互作用だ。そして相互作用の大半は本人が意識することなく起きている。”

心はモジュールからできているが、僕らはどのモジュールを優位にするか選択をしていないどころか、そのようなものに気づいてすらいない。
では、モジュールはどのように分かれているのか。これは一説に過ぎないが、ケンリックとグリスケヴィシウスはこう考えている。

p127
“ふたりは心を7つの「下位自己(内山注;ほぼモジュールと同義)」にきれいに分割している。それぞれの下位自己は、自己防衛、配偶者獲得、配偶者保持、協力関係、親族養育、社会的地位、病気回避、という任務をおびている。”

たとえばロマンス映画を見ると、その後、人は自分では意識していないものの、短期的に人ごみ嫌いになり、静かな場所を好むようになるそうだ。
これは配偶者獲得モジュールが優位になり、ライバルがおらず、親密な行為に及びやすい場所を求めていると説明される。
逆にホラー映画を見ると、人はやはり無意識のうちに人ごみを好むようになる。こちらは自己防衛モジュールが優位になるから。
見た映画の種類によって、僕らは自分でも理由を知らないまま、いつの間にか人ごみが好きになったり、嫌いになったりするというわけだ。「確固たる自我」の存在など、はなはだ怪しいということになる。

次回、自我についてさらに引用し、この本の紹介を終える予定でいる。



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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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