アンケート調査の結果、換気している飲食店が少ない地域では、感染者数が増加している傾向がわかりました【新型コロナウイルス】


日本では第一波の縮小に伴い、5月下旬に緊急事態宣言が解除され自粛が緩んだ。すると7月には人出の増加に呼応するかのように新規感染者数が増加。なんと1カ月で倍になってしまった。
一部では「湿度、気温とも高い夏は流行しないのではないか」と期待されていたが、見事に期待を裏切られることになった。
その後自粛が進むにつれ第2波も落ち着くが、お盆休暇を無事乗り切った安心感からか9月からは自粛が緩み始める。さらにシルバーウィークではGoToトラベル効果もあって多くの人の移動がみられた。
今までの自粛→患者数減、緩み→患者数増の繰り返しを考えれば、10月に入れば間もなく患者数が増えるはずだった。
ところが患者数は横ばいのまま。何故だ?
僕はこれを(勝手に)ファクターYと名付け、その理由は換気にあるのではないかと考えた。暑く、雨の日も多い6、7月に比べ、今時分はずっと換気が容易だ(換気? 頻回検査? 日本がこの冬を乗り切る策はあるのか?
各都市の人出はビッグデータからの比較ができるのだが、換気の度合いまではわからない。ちなみに僕の住むエリアでは感染者がほとんどいないせいか、積極的に換気をしている店は非常に少ない。
そこでツイッターでアンケート調査をしてみることにした。あなたのエリアでの感染状況と、飲食店での換気度合いを教えて下さい、と質問。
結果は非常に興味深いものだった。

感染者数は最近増えており、換気している店は多い。17.4%
感染者数は最近増えており、換気している店は少ない。32.6%
感染者数は横ばいか減少で、換気している店は多い。27.2%
感染者数は横ばいか減少で、換気している店は少ない。22.8%
92票 · 最終結果

「感染者数が増えているエリア」で比べると「換気をしている店」は少なく、「換気をしている店が多いエリア」で比べると「感染者は横ばいか減少」していることが多い。
これはファクターYが換気であることを示唆しているのではなかろうか?

もう少し詳しくデータをみてみる(そもそもサンプル数も少なく、正式な統計学的手法にのっとったものでないことはご了承いただきたい)。
まず、感染者が増えているエリアからと増えていないエリアからの票数がほぼ等しい。
そして換気している店が多いエリアからの票数と、少ないエリアからの票数もそうは違わない。
偶然の賜物ではあるが、非常にバランスのとれた母体となった。

この中で「4 感染者数は横ばいか減少で、換気している店は少ない」はあえて参考にしない。というのもこれは「換気が少ないにも関わらず感染者数が少ない」と考えていいのか、まったく見当がつかないからだ。
僕の住むエリアは「4」にあたるが、逆に「ほとんど感染者なんていないから、窓を開け放つまではしなくていいよね」という雰囲気だ。つまり因果関係が読み取りにくい。
しかし例えば「2 感染者数は最近増えており、換気している店は少ない」に関していえば、「感染者が増えてきたから換気をやめよう」、と考える人はまずいないだろうから、これは「換気をしている店が少ないから感染者数が増えているんだろうな」、と因果関係が推測しやすい。「3」に関しても同様に推測は容易。
「1 感染者数は最近増えており、換気している店は多い」はちょっと難しい。「換気している店が多いのに感染者数が増えている」エリアが主体だとは思うが、「感染者数が増えてきたため、地域行政の声がけもあって換気する店がこのところ増えた」エリアである可能性もあるからだ。後者のケースは設問の主旨からいえば「2」に入ることになるので、少し割り引きながら分析を進めたい。

まずは感染者数が増えているエリア限定での分析。なんと換気している店が少ないとの回答が、多いとの回答より87%多かった。しかも上述したように、換気している店が多いとの回答には「感染者数が増えたから換気を始めた」エリアも一定数あると考えられるから、これはその数字以上と考えていいだろう。
次は換気している店が多いエリア限定での分析。感染者数が増えていないエリアのほうが、増えているエリアより56%多い。これに関しても同様の理由から実際はさらに多いと考えられる。
飲食店での換気の有無が、地域の感染状況にある程度の影響を与えている可能性がみてとれる。

オフィスや学校の様子はまったくわからない。しかしこれに関しては北海道以外は現時点で大きな差があるとは思えないし、マスク着用が促されているはずだ。
感染が広まる確率が高いのはやはりマスクを外す場であり、飲食店が代表格。そこでの換気の有無が明暗を分けている可能性がありそうだ。
となると現在、日本全体では新規感染者数は横ばいとはいうものの、寒さから換気が難しくなっている北海道で感染が広がっていることも説明がつく。
そしてそれは1-2か月後には全国的な傾向になるだろうとも予測可能だ。
さらに換気の多寡によって感染者数が大きく変わるということは、空気感染が多いことを示唆する。当初言われたように飛沫感染と接触感染が主体なら、換気による変動はそこまで高くならないはずで、もしそうであれば僕らは、空気感染を前提とした感染予防対策に舵を切る必要が出てくる。
状況証拠からの推論に過ぎないことは重々承知しているが、そう的外れではないはずと思っている。

新型コロナウイルスの空気感染が想定よりも多いとなれば、今後、換気が難しくなりにつれ拡大し、一旦市中に拡大した後は3月下旬から4月、あるいは7月に経験したように新規感染者数は指数関数的な上昇を始めるだろう。
しかも冬は7月よりも屋外活動が難しく、低温、低湿度と新型コロナウイルスにとっては増殖しやすい環境が整う。新型コロナウイルスとの戦いはやはりこれからが本番になりそうだ。
僕自身ももちろん努力するが、読者の皆さんもできれば換気の重要性を周囲に説明してほしい。それにまず何よりもご自身の身をしっかりと守って欲しい。

マスク非装着での3密を徹底的に避けること。

対策の肝はこれに尽きる気がする。



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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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