勤労の道徳は奴隷の道徳であるが、近代世界は奴隷を必要としない


今回紹介するのはバートランド・ラッセル著「怠惰への賛歌(平凡社ライブラリー)」。
ラッセルといえば、やはり有名なのは以前も紹介した「幸福論」だが、これはそれより数年後に書かれている。

そこにはこんな文章が。

“勤労の道徳は奴隷の道徳であるが、近代世界は、奴隷を必要としない。(中略)
私たちは生涯をあまりに重んじすぎるし、消費をあまりに軽んじすぎる。
その結果の一つとして、享楽や純粋な幸福には、あまり注意を払わなすぎるようになるし、また生産を、消費者が生産より受ける快楽によって批判しなくなる。“


現代社会は労働を「徳」とみなしているが、これは歴史的にはそう古いものではなく、既得権益をもっているものからの押しつけにすぎない。
暇であることは決して悪徳ではないはずだ。
働く時間を減らし、各自がやりがいをもって日々を過ごせるようになることが、資本主義が停滞しつつある現代社会には必要なことであり、それについては自著、"幸せの確率 あなたにもできる! アーリーリタイアのすすめ"の中でこのように述べている。

“そもそも人間は、いつから「生涯の大半を労働に捧げる」ことが普通だとされるようになったのでしょうか? これは実はそれほど昔の話ではなく、産業革命以来であると考えられています。
古代ギリシャ人にとって、働くことは卑俗なことであり、自由時間を得るために仕方なくやっているだけで、そこに何ら意味を見出したりはしなかったそうです。現に哲学者・アリストテレスは、「賃金が支払われる仕事はすべて、精神を奪い、弱める」という言葉を残しています。
日本でも、縄文時代の労働時間は、なんと一日に三~四時間にすぎなかったと考えられています。また、江戸時代には、定職につかず、食べ物がなくなると町にやってきて、日雇いの仕事を必要な分だけするという、フリーターのはしりのような人が多くいましたし、たとえば大工といった技術職も、懐具合によって仕事をしたりしなかったり、あるいは、夏の暑い間は長めに仕事を休んだりと、かなりいい加減な仕事ぶりだったようです。
その後、明治時代に入ると、政府が富国強兵策を打ち出し、多くの労働力を必要とするようになったため、今のような厳格な労働形態がとられるようになります。今日まで続くこのフルタイム労働は、たった一五〇年程度の歴史しかなく、しかも、そもそもの始まりは「お上の都合」だったというわけです。
現代社会において長時間働くことは、時としてまるで美徳や武勇伝のように扱われます。酒場を覗けば、仕事の多忙さを競ったり、自慢したりするかのような会話の、なんと多いことか! 古代ギリシャや縄文の時代に自らの労働量を誇ったりしたら、きっと狂人扱いをされたことでしょうし、その感覚のほうが私にはまっとうなように思えます。仕事を一生続けることが正しいことであり、アーリーリタイアなど怠け者のすることだという考え方は、近年、主に支配層の都合から生まれた倫理観であり、人類の歴史を考えてみても、決して普遍的なものではないのです。
どうせ一生働き続けなければならないのだと思えば、使えるお金で何を買おうか、どんな贅沢をしようか、という発想になるのもわかります。でも、もし「ある程度働いたら、残りの人生は好きなように過ごしていい」という選択肢がリアリティをもって与えられるならば、過剰な浪費を慎み、アーリーリタイアの恩恵を受けたいと思う人も多いのではないでしょうか?“


労働に関して、僕はラッセルと同意見、と結論づけて記事を終わりにすることもできるが・・・。
ところが、である。
ラッセルは「幸福論(岩波書店)」の方ではこう語っているのだ。
「仕事は幸福な人生を築くために重要なものである」、と。
さきほど紹介した文章とはまったく逆の論説になる。

次回はそこのところについて書きたい。



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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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