たまに資産額を聞かれることがある。
もたれて当然の興味だと思うから不快には感じないが、かといって正直に言えるものでもない。だから「自分でもよくわかっていないところがあって」と濁すことが多い。
ただ実はこれ、あながちウソではない。
僕は自分の資産額をかなりおおまかにしか把握していないのだ。
まず、自身の株式口座がある。これはいつでもアクセスできるから、調べればいつでもわかる(最近はめったにチェックはしないが)。
それから、銀行預金。ある程度の額はあるはずだが、妻が管理しているので僕にはわからない。
銀行に行って書類に記入して、というようなことが僕は病的に苦手なので、全部妻に押しつけてしまっている。だから預金額どころか、通帳や印鑑がどこにあるのかさえ、知らない。
僕自身の小遣いはというと、交友に必要な額を妻からキャッシュでもらい、なくなったらまた補充してもらうというシステムで、あまり格好はよくない(そしてもちろん、悪いことができない)。
自著にも書いたとおり若干の不動産もあるが、今売るといくらなのかは、さっぱりわからない。不動産屋に依頼すれば調べてもらえるのだろうが、面倒だし、もちろん費用もかかる。
そしてさらに複雑なのは生命保険。僕は開業医時代に節●目的もあって数種類にわたり、かなりの額の保険に入っている。
これのほとんどはまだ未解約で、55歳で一部、60歳で一部という具合に5年おきに解約して(保険ごとに有利に解約できるタイミングをずらしてあるのだ)、それで生活費のある程度の部分を賄う計画になっている。
資料を開けばまとめてあるのだが、細かい算出は不可能だ。というのも一時所得なので解約時の収入によって税額は変ってくるし、さらに退職金の一部になっているためその時の評価額を加味して計算する必要がある。
あまりにも煩雑。ここはそのときになったら税理士に任せればいいやとあきらめている。
そして現在の銀行預金から、今後も払い込みを続ける分は確保する必要があり。。。
……みなさん、僕の話についてきているだろうか。
だとしたら、大したものだと思う。僕は自分でも何を書いているのか、もはやよくわからなくなってきた……。
という具合で、僕は自分の資産を大まかにしか把握していないのだ。
なのになぜ、不安なく過ごせるか?それはリタイアを目指すと決めた数年前に、徹底的に計算したから。そのときは銀行預金、どの生命保険がいつ解約でき、いくら入るかまで事細かくチェックした。
計算しつくした。
出費、特に子供にかかる教育費や、親の介護費用に関してはいろいろな可能性を吟味した。
その結果、「あと2年働けば、贅沢な暮しを望まない限り、アーリーリタイアしても大丈夫なはずだ」と判断したのだ。
その時のことは、自著の序章で書いている。
今現在、具体的な額はわからなくても、その時に感じた「大丈夫なはず」という自信は、僕の中にしっかり残っていて、だから、まったく不安にならないのだ。
それを読めばいいじゃないかって?
いやまたこれが、読もうとすると自分でも頭が痛くなるような膨大な資料なのだ。数字がぎっちりと打ちこまれている。よくこんなものを作れたと自分でも感心するほどだ。
アーリーリタイアを検討しているときはそれだけ不安だったのだろう。
そして、あえて資料を開かない面もある。資産額なんてわからなくていいと思っているからだ。むしろせいせいする。
僕が気をつけるのは、不要な欲望を自分の中で育てたりはしないということだけ。高級車を買ったり、血迷って愛人を囲ったりすれば、もちろんお金は足りなくなるだろう。
でも、そういうアホなことさえしなければなんとかなるはずだし、なんとかならなくなったら、その時にどうやったらなんとかなるか考えればいい。
ナントカナル……はずだ。
以前にも書いたが、人は資産額が増えるほどそれを失いたくないという不安感が強くなって、結果、幸福度は上がらない傾向がある。
資産は常に、「失う恐怖」と表裏一体なのだ。だから十分貯めたと確信したのなら、後は「忘れる」に限る。
幸福に必要なのは、ただふたつ。ほほ笑みを絶やさぬこと、そして楽観だ。
というわけで、僕に資産額を尋ねるのは自由だが、答えを引き出すのは無理だと思ってほしい。僕も妻も、本当によくわかっていないのだ。
いろいろなことを「意図的に」わからない状態にしたまま、ある意味では「ふわふわ」と生きている。
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