新型コロナに対する抗原検査。その後の展開を報告する。


去年の夏から発信しつづけ、何の手ごたえも得られずにいたスクリーニング目的での抗原検査。
ここ最近、少しずつ動き始めている。

1月22日、今までは症状のある人にしか使えなかった抗原検査が、条件つきながら無症状者へのスクリーニング目的で使えるようになった。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-334.html
1月26日、衆院予算委員会で国民民主党、玉木代表が頻回抗原検査を求める質疑を行った。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-332.html
そして2月3日、与党からも細田元幹事長が自民党の会合で抗原検査について言及した。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210203/amp/k10012847361000.html?__twitter_impression=true
下記は記事からの引用。

自民党の細田元幹事長は「緊急事態宣言を出すだけの対応では、解除後に再び感染が拡大し、いつまでも事態が改善しない可能性があると強く危惧している。このやり方から早く脱却しなければならない」と指摘しました。
そのうえで「発想を変えて、どのように『国民皆検査』に近い状態にしていくかだ。抗原検査は単価が下がっていて、民間が行う検査に国が助成すべきだ」と述べ、すべての国民が抗原検査を受けられる体制をつくることで感染源の特定を図り、収束につなげていくべきだという考えを示しました。

その通り。
本来ならこういう発言は医師から発信されるべきなのだが、今の所さっぱりだ。抗原検査について積極的に発信しているのは徳田安春先生と僕くらいのものだろう。
防疫目的で抗原検査を推すふたりの政治家、細田博之氏と玉木雄一郎氏。ふたりとも東大法学部卒で官僚経験あり。
細田氏は駐日米大使に原子力工学の専門家と勘違いされたことがあるほど理系脳が強く、玉木氏はハーバード大学ケネディ校に留学した経験がある。
頭のいい政治家たちに医師や専門家が置いていかれているこの事態が、僕は恥ずかしくてならない(そして相変わらず何の報道もしないマスコミは論外だ)。

さて、アメリカ。バイデン政権になり抗原検査の活用が広がっているが、いまだに「自己診断」ができない。何らかの方法でデータを送り、診断をうけとる方式ばかりだ。
たとえばEllume社による家庭用テストキット。オーストラリア製なのだが、先日、アメリカがこれを大量に買い取る契約をして話題になった。
https://www.news.com.au/finance/business/us-awards-304-million-contract-to-brisbanebased-ellume-for-athome-covid-test/news-story/cd7403c385a8f3230cbbb68b4cb08ce0
もちろん十分迅速で機能面は素晴らしいのだが、問題はコスト。診断の手間があるため、1回あたり30ドルかかる。これでは多くの人にとって頻回利用は困難だ。
国民各自が自己診断し、500円以下で入手できる検査キットが認可されるべきだし、その日は近いと予想している。

下記はCNNによるツイート。
https://twitter.com/CNNPolitics/status/1357758676979875843

バイデン政権、3つのエリアを国防生産法で強化
・ファイザーのワクチン生産
・迅速抗原検査の拡充
・最前線従事者の防護装備

とある。相変わらず日本ではまったく報道されないが、これがアメリカの動きだ。
PCR検査一本槍ではこのウイルスと戦えないことに世界はとっくに気づいている。

PCR絶対主義者の人たちがこだわるのは感度だが、抗原検査は感染力のある人を捕捉する目的なら十分高感度だと考えられている。つまり治療につなげる目的ではなく、防疫目的に使えばいいのだ。
培養実験と絡めた論文は下記記事にまとめてある。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-333.html

これに加え、実際にそれぞれの症例のウイルス量と感染を起こした確率を追った上で、「ウイルス量が多い人は周囲に感染させやすい」という結論の論文が先日Lancet誌に掲載された。
英語や統計に強い人は挑戦してみてほしい。
https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(20)30985-3/fulltext
そもそもウイルス量が多い人が周囲に感染させやすいに決まっているのだ。それに対する科学的証明がどんどん積み上げられているのが現状。
いまだに躍起になってそれを否定し、PCR検査でなければダメと言い張っている人がなぜか日本では多い。
ちょっと頭が固いんじゃないかと苦々しく感じている。
PCR検査抑制論者といいPCR検査絶対論者といい、僕の知る限りは日本特有の現象で、海外ではまずみかけない。
日本はいろいろな意味で海外から取り残されようとしているようで、甚だ残念。




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内山 直

作家、医師、医学博士。
1968年新潟県新潟市に生まれる。新潟大学医学部卒業、同大学院修了。
2004年に独立し自分のクリニックを立ち上げ、「行列のできる診療所」として評判を呼ぶが、その後アーリーリタイアメントを決意。
2016年2月、クリニックを後輩医師に譲りFIRE生活を開始する。
地方都市でゆるゆると生息中。

「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で遺伝が50%とされています。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってくる!をキャッチフレーズに幸福の啓蒙活動を継続中。

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