抗原検査によるスクリーニングは「事前確率」が低い日本でも機能するのだろうか?


昨日、欧米ではスクリーニング目的で抗原検査が活用されていると書いた。しかし「だから日本でも」とそのまま取り入れるわけにはいかない。
というのも日本は幸運なことに欧米ほど感染が拡大していないので、検査するときの「事前確率」が低いのだ。
これはちょっとややこしいのだが、まず事前確率が低ければPCRの偽陽性は起きにくい。日本の専門家の一部は「事前確率が低ければPCR検査の偽陽性率は増える」と言っているが、これは恐らく間違い。
偽陽性の大半は陽性検体からの汚染によると考えられるので、感染が広がっていない地域での偽陽性は起きにくいはずだ(汚染以外の偽陽性はPCR検査の性質上考えにくい)。
かたや抗原検査の偽陽性は、汚染以外の原因で一定の割合で起きてしまう(つまりPCR検査より特異度が低い)。
逆に事前確率が高ければ、PCRではすでに感染性がないウイルスの保持者も捉えてしまうから、感染性のある人をみつけるという意味においては偽陽性(本来の偽陽性とは定義が違う)が多くなる。
これは欧米で抗原検査による偽陽性がさほど問題視されていない理由のひとつと考える。
事前確率が高ければさほど気にならない抗原検査による偽陽性が、事前確率が低い地域では目立ってしまうことになるのだ。

これを軽くする(ゼロにはできない)一番簡単な解決策は他系統キットでの再検で、ハーバード大准教授のマイケル・ミナ氏が以前から提唱している。
抗原をひっかけるための抗体が別物なら、同じ理由で偽陽性が出ることは考えにくい。となれば単純に掛け算できる。
偽陽性発現率が0.7%(富士レビオ・エスプラインがこのくらいだ)の2つのキットで検査すれば、両方のキットで偽陽性が出る確率は0.0049%。すなわち10万人に5人程度にすぎなくなる。
これなら事前確率が欧米より低い日本でも、十分許容範囲内と考えていいのではなかろうか。
5人の偽陽性者には申し訳ないが、1日マスク着用で自宅で静かに過ごした後、翌日、再検査してほしい。まさか翌日また偽陽性が出ることもないだろう。
そしてもちろん、事前確率が限りなく「ゼロ」に近い地域では、抗原検査をする必要がそもそもないことは付け加えておきたい。

日本でも医療施設などで抗原検査によるスクリーニングが先月からできるようになったが、指針では陽性時はPCR検査で再検することとなっている。
施設内で、かつ検査数があまり多くなければそのやり方でいいと思うが、さらに拡大するのなら前述した他系統キットでの再検も検討してほしいところだ。そのほうが迅速で、かつPCR資源を温存できる。
PCRはより正確な診断を必要とする「有症状者」そして「濃厚接触者」に、滞りなく利用されるのが最優先事項のはずだ。

明日は抗原検査について、SNS上でみかける不可思議な意見を紹介してみる。




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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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