出口
人間が物事を考えるときには母語を使っているので、僕は国語を大事にしなければいけないと考えているのですが、とある先生から、「いや、たとえばハンナ・アーレントの思想を理解しようと思えば、ドイツ語を勉強したほうがいいのでは?」と指摘されました。母国語以外の言語を深く勉強すれば、人間はその言語でも考えることができるようになる。母語と第二言語の間に、絶対的な差異はないのではないか、というのです。
脳科学的には、どちらが正解ですか?
池谷
第二言語として英語を学び、非常に流暢に話せるようになった日本人がいたとします。その人が第一言語である日本語と、第二言語である英語を話しているときの脳の様子をfMRIで調べると、使っている部位が違うことがわかります。ですから、「どちらの言語で考えても同じ」とはいえないでしょう。
もう少し詳しくいうと、実は流暢に英語を話す日本人も、脳の中では第一言語の脳、つまり日本語の脳を使いながら、第二言語の回路を活性化させて話しています。当の本人は「いちいち頭の中で和訳などしていない」というかもしれませんが、思考そのものは無意識のうちに日本語でやっているのです。
スポンサーリンク
内山 直
2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!