散々書いてきたように、欧米ではスクリーニングに抗原検査を使うのが一般化してきている。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-349.htmlFIREして時間がある医師として、自分のもっている知識をすこしでも広めようと活動しているのだが、抗原検査の意義を理解してもらうまでが一苦労。「精度に劣る検査で十分」との理屈を理解するには多少の思考力が必要となる。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-287.html思い込みが強い人や、確証バイアスに捉われてしまった人、それに思考が5秒以上続かない人にとってはややハードルが高いようで、多くの人が感覚的な(時としてややヒステリックな)拒絶反応を示し、まともな議論が成立することのほうが少ない。
そしてここをクリアした人が陥りがちな次の勘違いが、「欧米のキットはいいが、国産の富士レビオ・エスプラインはダメ」というもの。
SNS上で一部の、それなりの影響力がある医師たちが抗原検査の有用性を認めつつも、エスプラインは精度に劣るので使うべきでないとの主張を続けている。
その理由を質問しても返答がないか、あるいは数回のやり取りの末、ろくに資料にあたることもないまま批判していたことが明らかになったりする。
これでは科学的に真摯とはとてもいえない。
医師以外では著述家の牧田寛氏も反富士レビオ。
https://twitter.com/BB45_Colorado/status/1358445051920019456富士レビオの抗原検査キットが1千万個以上あるそうですが、それは全て欠陥品ですので、燃やすのが最も良いです。
とのこと。
根拠を尋ねると「厚労省は信用できないから」とのこと。たったそれだけの理由で燃やせとまで主張するメンタリティは僕には理解不能だ。
エスプラインの精度についてツイッター上で議論になると、多くの人が「根拠」としてこの表を提示してくる。

あちこちからの知見を吟味なくまとめただけの一覧表。作成者の名も記されていない。
たしかにパッとみると富士レビオ臨床が感度35%と悲惨にみえるが、これは検査で使われた検体がウイルス量の少ないものばかりだから。元資料を当たれば簡単にカラクリがみえてくる。
https://www.mhlw.go.jp/content/11124500/000642328.pdf製品の精度を比較するなら条件(この場合は検体内のウイルス量)を揃えた上でなされなければならない。
こんな「小学生の自由研究レベル」のことがわからない人たちが、ツイッター上ではまるで専門家より詳しいかのような断定口調で持説を開陳しており、SNSに免疫のない僕としては目を覆いたくなる。
この表もよく出てくる。

「抗原検査は発症後短期間しか陽性にならない」という表で明らかな間違い。無症状でも発症前でもウイルス量が多ければもちろん検出できる。
https://twitter.com/3Cj0MeO8oomX9C6/status/1349492286221025280様々な知見が日々更新されるこの新しい感染症において、半年以上前に作られた根拠薄弱な表を無批判に使い続ける神経がわからない。
(ちなみにこの表を和訳して広めた国立遺伝学研究所教授・川上浩一氏も熱心な反・抗原検査論者だ)
と不平不満を綴ったらかなりの量になってしまった。もちろん批判だけで終わるようなことはしない(批判だけなら馬鹿でもできる)。
今までも何度か書いたきたが、富士レビオ製定性抗原検査キット「エスプライン」の精度について、新しいデータを用いてまとめるつもりでいる。
それは明日ということで。
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