立憲民主党は検査拡充と水際対策を強化し、ゼロコロナを目指すらしい。これを今年に行われる衆院選での対立軸にするつもりのようだ(実はゼロコロナなど目指してはいないという説もあるが、ややこしいのでここでは割愛)。
個人的にはまったくの「ナンセンス」だと思っており、ツイッターでそう呟いたら山ほどのご批判を頂いた。
僕の正直な感想は「相変わらず日本は平和ボケだな」というもの。特にSNS上ではわかりやすい意見が好まれる傾向が強い。
しかし現実はいつだって、そうシンプルではない。
今日は僕が日本でのゼロコロナ戦略を支持しない理由を書きたい。
僕がうけた批判のほとんどは、
「ゼロコロナといったって、大体ゼロならいいんじゃないですか?」
「できるかはともかく、とりあえず目指すことが大切なのでは?」
というもの。これはゼロコロナ戦略というものをまったくわかっていない。
ゼロコロナは市中感染を可視化できる範囲でゼロにもっていくこと。そうすれば後は水際対策さえしっかりすれば、国民はマスクなしで自由にコロナ禍以前の生活を取り戻せる。
完全にゼロである保証はないが、もしどこかで陽性者が出たら再度その地域を徹底的に検査し、検査で陽性者がでない状況までもっていく。
立憲民主党の枝野代表はたびたびニュージーランドや台湾を例にあげているから、このタイプの「ゼロコロナ」が念頭にあるはずだ。
一方でこれが「ほぼゼロコロナ」となると、いくら水際対策を強化しても、人が自由に動けば感染は再拡大する。
例えば昨年の5月。緊急事態宣言の効果もあり東京での新規感染者数は5月22日に3人、23日に2人まで減少した。
あれが「ほぼゼロコロナ」と言っていいだろう。今後はクラスター対策でなんとかなるのではと多くの人が考えた。
しかし5月25日に緊急事態宣言を解除したところ、その1か月後には第2波に襲われることになる。
これが「ゼロコロナ」と「ほぼゼロコロナ」との決定的な違い。交通事故やいじめで「ゼロを目指そう」というのとは全然話が違うのだ。「ほぼゼロコロナ」の政策は言い換えれば厳格バージョンのハンマー&ダンスに過ぎない。
長期間行動抑制策を続けたあげく「すぐに元通りでしたねテヘペロ」では経済的には多大な損失を生んでしまい、最悪の選択のひとつにもなりうる。
そもそも日本での非常事態宣言をどのくらい続ければ新規感染者をゼロにできるのか?
第3波の新規感染者数を7日平均線でみると、一番高かったのは1月10日頃の6600人。1か月後の2月10日には1900人前後にまで減少している。
1カ月で約30%にまで減少。
このペースが続けば6か月後の7月10には1日の新規感染者数は約10人。
あと1人になるまではさらに2か月、つまり9月までかかることになる。観光、飲食産業でどれだけの人が廃業することになるのか、見当もつかない。
もちろんこれは机上の空論に過ぎない。最近では現に新規感染者数は下げ渋っていて、ある程度下げてからのさらなる一段下の達成がどれほど難しいかを伺い知ることができる。
ちなみに僕が「ゼロは難しい」と考える一番わかりやすい説明は「韓国でもできないから」。
韓国は日本よりはるかにすぐれた検査数と接触追跡能力を誇り、一時はK防疫と絶賛されたことは皆さんも記憶にあるはずだ。
昨年の4月30日には市中感染ゼロを達成。ところが5月の初旬にはクラブで集団感染が発生し、以来ゼロコロナは達成できていない。
韓国の接触追跡はすさまじい。というのも、クレジットカードの利用履歴や防犯カメラ映像を駆使して感染者の動きを徹底追跡するのだ。日本では絶対に真似できない(人権上の理由もあるが、そもそも日本ではカードの利用率が低い)。
マスクをしていれば濃厚接触者にならないのは日本と同じだが、防犯カメラの映像から、鼻がマスクで覆われていないのを確認すればアウト。そして陽性者や濃厚接触者が隔離に従わなければ実刑判決。
検査に関しては昨年12月にそれまでとっていたクラスター追跡方式を一部撤回し、「いつでも誰でも匿名PCR」や「各世帯から1名検査し、陽性者が出れば世帯ごと隔離」といった政策を打ち出し、日本よりもうまく感染を抑制している。「大量隔離」も「ロックダウン」もなしでやっている国の中では、もっとも優秀と考えていいだろう。
しかしその韓国でも、1日の新規感染者数は400人前後で下げ止まってしまっている。
日本がかなり検査を増やし、接触追跡能力を高めたところで、ゼロコロナには到底至らなそうだということがご理解いただけただろうか?
ちなみに僕は立憲民主党が掲げる「検査の拡充」「休業要請には補償」「水際対策の強化」には大賛成だ。感染初期から一貫してそう主張してきている。
僕が言いたいのは「安易にゼロコロナなどと謳わないで欲しい」のただ一点につきる。
そういうと「中国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド。現にゼロコロナに成功した国はたくさんあるじゃないか?」と返ってくる。
本当にわかって言っているのかと、耳を疑いたくなる。
明日はそれらの国がどうやってゼロコロナを達成したのか、解説するつもりだ。
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