水に顔をつけられない子を、半年で個人メドレーで泳げるようにするなんて、無茶ですよ!~M先生とのこと1


M先生という方がいる。御年87歳。
息子たちがお世話になっている「海洋クラブ」の主宰者だ。
始めてお会いしたのは7年前。子供たちに水泳を教えようとしたのだが、なかなかうまくいかず、困り果てたのが発端だった。
うちの子供たちは皆ビビリで、当時幼稚園の年長と年少だった下二人は、顔を水につけることさえできなかった。そんなとき妻が「ママ友」から、どんな子でもあっという間に泳げるようになるクラブがあると聞いてきた。
それが海洋クラブ。
僕が妻から得た内容は、
・市営プールで夕方に泳ぎを教えてくれる
・日曜日を含め毎日やっているので、都合のつく曜日に行えばいいし、毎日行ってもいい
・夏には海で2週間、連日遠泳教室が開催される。その最終日は5時間遠泳を目標とした遠泳大会。
・費用は年会費として1家族1万円。水泳教室費用が、これは子供1人当たり年1万円。
・指導者に任せっきりではなく、保護者の参加・協力は不可欠
というもの。
最初に聞いたときの印象は、(なんだか胡散臭いな)というものだった。
希望すれば毎日泳ぎを教えてもらえて、会費が年1万円では安すぎる。なにか政治的、あるいは宗教的な背景でもあるのではと訝しんだ。
子供たちを加入させるのだから、親としては当然慎重になる。

とりあえず体験参加ということで、子供たちをつれてプールへ行った。
そこで僕は初めて指導者のM先生に会う。当時御年80歳。もちろん海水パンツ一枚の姿で、プールサイドから子供たちに激を飛ばしていた。
なんともお元気なご様子。
レッスンの合間にプールサイドでM先生と話をすると、すぐにすべての疑惑が氷解した。
簡単にまとめると、こんな内容だった。
・小学校教諭をしていたころ、児童が海で水死する事故があり胸を痛めた
・そこで「溺れないための水泳教育」の必要を感じ、海洋クラブを立ち上げる
・指導陣は自分も含め全員ボランティアだが、拠点となる海の家の維持費が必要なので、最低限の費用を徴収している
・早く泳ぐことではなく、長く泳ぐための泳法を日々プールで教え、夏の遠泳大会で5時間泳ぎきることが目標

なぜ5時間なのか?これにはちゃんと理由があって、海で遠瀬に流されたとき、救出されるまでにかかる時間はほとんどの場合5時間以内なのだそうだ。
5時間海で浮かび続けることさえできれば、まず生還できるということになる。

素晴らしい考えだと感銘をうけ、ぜひ子供たちをお願いしたいと申し出た。
「うちの子たちは怖がりなので、指導には手を焼くかもしれません。よろしくお願いします」
と頭を下げると、
「ほお、怖がりねえ」
と笑って、プールの中にいるうちの子供たちに近づいていく。予想した通り、M先生が脅してもすかしても、意地でも顔を水につけようとしない子供たち。
M先生はやれやれといった顔で、僕がいるプールサイドに引き上げてきた。
「ははは、ふたりとも強情だ。でもねえ、お父さん、信じられないとは思いますが、あの子らは半年後には、100メートル個人メドレーを泳いでますよ」
まさかあ・・・。
自信たっぷりのM先生に、「それはない」と否定するのも失礼に思えたので、「はあ」と曖昧に頷くにとどめたが、内心ではそんなことが起こるはずがないと確信していた。
(先生はうちの子たちを甘くみていますよ。この子たちの臆病具合といったら・・・)。

それから週に1度の指導をうけた結果、半年後には、本当にふたりとも個人メドレーを泳げるようになっていた。
めきめきと上達する子供たちの泳ぎを驚きながらみている僕に、M先生は「ほらね」と笑う。
それに加え、日本の古典泳法も習い、両手を後ろで縛られた上でプールに投げ込まれてもスイスイと泳いでいく。
M先生いわく、「これでいつ無法者たちに縛られ、川に流されても大丈夫」とのこと(そもそも、そんな目に会うような人生を選んでほしくはないが・・・)。

というわけで、今や水泳はうちの子供たちにとって得意種目になった。数年後、5時間遠泳に成功したときは、陸に上がった後も、「もう5時間くらいはいけるよ」と日焼けした顔を誇らしげに上げていた。
M先生のおかげで、弱虫どもがいっぱしの少年に成長してくれたというわけだ。

明日もこの人生の大先輩、M先生について書いてみたいと思う。




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内山 直

2016年、47歳でセミリタイア。地方都市でゆるゆると生息中。
「お金、地位、美貌」で得られる幸福はたったの10%で、遺伝が50%。
残りの40%に目を向ければ、幸せはすぐにやってきます!

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